地下室が現れた!&魔導具スキル2
「おい! どうだ見てみろ!」
俺がガッキーズの二人に得意満面で差し出したものは。
「ファイアの魔石魔導具ですか!?」
「へへへ、そうだよ」
「凄いのか、これ」
「ジャイニー、魔石魔導具つまり魔力・属性関係なく誰でも使える魔道具はな、ファイアとか基礎中の基礎魔法しか作れていないんだ。しかも作れるのは教会の魔導具部門だけだっていう」
「おー、じゃあ教会の独占を破ったわけか!」
「そーゆーこと」
「こんなの作ったら教会が何か言ってこないか?」
「言ってきそうだな。ましてやこれを安く販売したらどうなるか。それよりも、もっと凄いもんがあるんだよ」
「なにこれ?」
「ファイアボールの魔石魔導具さ」
「え! マジですか!」
「スキニー、そんなに驚くことなんか?」
「いいですか、ジャイニー。魔石魔導具ってファイアとかの基礎中の基礎魔法しか作るのに成功していないんですよ」
「ほう! するとなんだ、教会が顔を真っ赤にしそうな魔導具ってことか!」
「だな。これこそは絶対に秘匿しなくちゃいかんな」
「坊ちゃま、ファイアボールだけなんですか?」
「四属性の初級魔法ならいけるぞ」
「おお、なら領軍のレベルアップにつながりますね!」
「ああ、いままで攻撃魔法が使えない人でも魔法攻撃に参加できるようになるからな」
俺達は早速、父ちゃんズに報告しに行った。
「なんですって? 初級魔法の魔石魔導具が作れるだと?」
「とりあえず、ファイアボール、風刃、ストーンバレット、高圧水の魔石魔導具」
「儂が試射してもよいですかの?」
「うん」
「儂の属性にない風刃魔導具で試してみますわ……『バシュ』おおお、風刃が飛び出した!」
「こりゃ、魔導具界の革命じゃないですか」
「ああ、教会がうるさそうなんで、これを使う人は契約魔法を結ばなくちゃいけない。それとね、使用者を指定できるんだ」
「なるほど。盗難対策ですな。いずれにせよ、領軍の戦力向上だけじゃなく領民に配れば銃後の部隊を作れますな」
「スタンピードとか街全体で守る必要があるときは戦力の向上が著しいですな」
「問題は魔石消費率ですか」
「それがね、魔石は自動充填されるんだよ」
「「なんですと!」」
「それこそ、魔導具界の革命じゃないですか!」
「充填率は遅いけどね。改良は進めるつもりだけど」
現状では十発程度発射すると魔力がなくなる。
再度満タンになるまでには一時間ほどかかる。
「まあ、その場合は普通に魔石を交換すれば再利用可能なんだけどね」
「では、この魔石充填方式は他にも応用が効くんで?」
「だね。今さ、生活に便利になるよう、いろいろ作ってるところなんだ」
俺は短期間で次のような魔道具を発明した。
・上下水道魔道具
・温水魔道具
・氷魔道具
・冷暖房魔道具
・排泄物処理魔道具(排泄物やゴミを分解する)
・浄化魔道具(体や衣類をキレイにする)
・消臭魔道具
・防虫魔道具(蚊取り線香のような効果)
いぜれも初級魔法の範囲であり、
威力も大したことはない。
それでも画期的である。
初級魔法のせいもあって、魔石消費率も悪くない。
随時、魔力は補填されていく。
過度な連続使用をしなければ半永久的に魔導具を使用できる。
魔力はカートリッジ方式でもある。
予備の魔石を用意しておけば魔力切れにもすぐに対応できる。
これが世間にばれたら。
魔道具ギルドが飛んでくる。
いや、教会による囲い込みが始まる。
魔道具利権は教会が一手に独占しているのだ。
魔道具の歴史の教科書に載るような出来事だ。
経済的な影響も甚だしいであろう。
勿論、両親にも内緒だ。
こんなことを彼らが知ったらどうなるか。
ブヒブヒ荒い鼻息をたてて俺に迫ってくるだろう。
そして、どうあっても俺は魔道具生産工場になる。
地下に閉じ込められて。
奴らは平気でそういうことをする。
息子への愛情がないのだ。
だから、未だに俺の部屋は長年改修もされない。
ボロい部屋のままだ。
「坊っちゃん、この生活用魔道具、なんとか公表できんかなあ」
「ジャイニー、僕もそうあって欲しいけど、それは無理だって理解してるでしょ」
「わかるんだけどさ、便利な道具ばっかりなんだよな」
「ま、トイレ関係とか風呂関係の魔道具は渡しておこうか? 狭い場所で使うから、バレんだろ」
「お、いいのか? そりゃ、ありがてえ」
「ただし、初級魔法だから効果にはあんまり期待すんなよ?」
「おお、わかってるぜ。一度使ったからな。でもあるとないとじゃ、全然違うぜ」
確かに、これらの魔道具があれば飛躍的に生活が便利になるんだが……
教会にバレるとかそういう話もある。
それ以前に加工済み魔鋼がない。
あるんだが、それを作れるのは鍛冶師だけだ。
そして、それは非常に高価なんだ。
そのためには有能で口の固い鍛冶師が必要だ。
もしくは俺に鍛冶師スキルが発現するか。
【マジックバッグ】
さて、地下室から回収した聖女セット。
当然、起動させようと解析に取り組んだ。
発見から一ヶ月後。
俺は毎日のように魔導具を作っていた。
魔導具スキルが日に日に向上していく実感がある。
そして、とうとうマジックバッグの起動に成功!
しかも、俺には空間魔法が発現した。
『マジックバッグ』魔法を発現できるようになったのだ!
ただし、マジックバッグは初級である。
一辺二m程度の立方体。
それがマジックバッグの空間だ。
その大きさに入るものならば自由に出し入れができる。
マジックバッグに物をいれる。
例えば、剣を入れてみる。
すると頭の中にリストが浮かび上がる。
マジックバッグ
剣 1
マジックバッグに収納されるリストだ。
レベルがあがれば空間は広がるという。
今は二mの立方体だが突き詰めると無限大になる。
また時間の進みを止めることができるらしい。
例えば、マジックバッグに熱いお茶を入れる。
それはいつ取り出しても熱いままなのだ。
今はムリだけど。
マジックバッグ魔法が発現したことで、マジックバッグ魔道具も生産できるようになった。
「またもや、凄いのできたぞ」
「なんだこのバッグ?」
「マジックバッグだよ」
「マジックバッグ?」
「坊ちゃま、まさか、無限にものを入れられるってカバンのことですか?」
「いや、容量に限りはあるけど。あと、時間が停止することはない。その辺はレベルアップまちだな」
「なんだよ、マジックバッグって」
「そのへんの石をどんどん詰めてみなよ」
「あ? この大きいのか? 入るわけねえだろ……おお! 入った!」
「どんどん入れてみろよ」
「うおおお!」
「坊ちゃま、これ、とんでもない値段しますよ!」
「まあ、使ってくれよ。ちなみに、登録すると自分だけのカバンにできるから」
「登録ですか……なるほど、こうですね」
「スキニー、わからんぞ。どうやるんだ」
「こうして、こうして……はい、できあがり」
「これでオレ専用バッグなんだな?」
「ですね」
「人に見せないようにな。大騒ぎになるからな」
「ああ。下手しなくても強盗に会いますね。というか、歩いている人が即席強盗になりますね」
「自分にしか使えなくてもそれは強盗にはわからんからな。殺されても不思議じゃない。気をつけなよ」
「おお……わかった」
マジックバッグは父ちゃんズにも配った。
当然だが、驚愕の表情だった。
この程度のものでも百万ギルは下らないらしい。
オークションだと数百万ギルだという。
ちなみに一ギルはだいたい一円と同価値のようだ。
俺はそんな高価なものを無限に作り出せる!
通常の魔導具と違いその辺のバッグとかに付加できる。
なんなら、服のポケットでも問題ない。
出し入れできる開口部があればいいのだ。