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地下室が現れた!&魔導具スキル1

 本日は珍しく訓練のない日だ。

 だから、俺は家でのんびりしていたんだが、


「あれ? なんだ、このハッチみたいなの」


 物置で探し物をしているときに、床に扉のあることに気づいた。


「(これ、もしかすると女神様の言っていた秘密の地下室か? 俺のレベルが上がると、地下室の隠蔽魔法が解けるとか言ってたよな)」


 鍵はかかっているが、ハッチに触れると


 『カチッ』という音とともに、アンロックされた。

 

 ハッチをあけると、地下に降りていく階段が。


「(間違いない。地下室がある)」


 おれは火魔法で小さな明かりをともしながら階段を降り、地下室を眺め渡した。

 広さは十畳ぐらいだろうか。

 ホコリまるけのガラクタ状のものが山のように積まれている。


「ゲホゲホ……長年、誰も入ったことなさそうだな」


 それでも、俺には目指すものがすぐにわかった。


「(これか!)」


 辺境伯邸図書室の天空本のように、うっすらと光を発していたからだ。


「(まずは……この巻物。天界言語巻物中級編)」


 この巻物を読めば、俺の脳内にある様々なスキル・魔法のうち、中級レベルのものを発現できるようになる。

 発現するにはさらなる訓練が必要であるが。



「(あとは、何だろう)」


 このうすく光る三つのもの。


「(これは魔導具みたいだな)」


 稼働していないようだ。


(中級回復魔法魔導具、中級清浄魔法魔導具、中級マジックバッグの三つの聖女魔導具セットです。稼働させるにはそのレベルにあった魔導具スキルが必要です)


 おお、久しぶりにガイダンスが聞こえた。

 中級回復魔法とかマジックバッグとか破格の魔導具じゃないか。


 でも、聖女魔導具セットか。

 この魔導具にふさわしい人が現れるのか? 

 いずれにせよ、魔導具スキルが発現していない。

 

 それにしても、転生前のレナルドだったら

 この地下室を発見できなかったろうな。

 レナルドのレベルは低空飛行のまま、鍵の開くレベルには到達できなかったろう。



【魔道具スキル】


 その魔導具スキルであるが、天界言語巻物中級編を紐解くと俺のステータスに表示された。


「(魔道具スキルか。ワクワクするな)」


 俺は前世ではガジェット大好き人間だった。

 ガジェットとは小道具とか小物とかを意味する。

 特に電子機器の小物を指すことが多い。

 スマートフォンとかタブレット、イヤホンとかな。


「この世界の魔道具がどうなってるのか、教えてもらえんか」


 俺はスキニーをつかまえてそう頼んだ。

 スキニーは頭のいい人間で、俺達の知恵袋・作戦担当のような面がある。


「坊ちゃま、改めてどうしたんですか」


「俺な、魔道具スキルが発現したんだよ」


「え、それは羨ましい」


「でもさ、ほら、俺達って魔道具使ったことなかったろ? ていうか、使えなかったろ? だから、俺は魔道具に無関心でさ」


「ああ。僕もそんなに知識があるわけじゃないですけどね」


「ある程度習熟したら、おまえらにもスキルが根付くか、ためしてやるから」


 俺はグルスキルによって、他人に俺のスキルを発現させることができる。

 ただし、そう簡単ではない。

 適合条件があるのだ。


 

 以下はスキニーの解説。


 この世界では魔法を行使するには、魔道具を通すのが普通だ。


 魔道具には魔法陣が刻み込まれている。

 その魔法陣に自分の魔力を注入、魔法を発動するのだ。

 難しいことはわからんが、魔法を発動する意思を魔道具が変換し、魔法語に変換するらしい。

 

 ああ、コンピュータソフトみたいなものか。

 PC言語で記載されたソースコードをコンパイラすることで命令を実行する。


 だから、刻み込まれた魔法陣の魔法しか発動はできない。

 いろいろな魔法を使いたければ、それらの魔法に応じた魔道具を持つ必要がある。


 その魔法陣を刻み込むのが魔道具スキルであり、生業にしているのが魔道具師だ。


 なお、自分の魔法属性に合わない魔法は発動できない。

 属性は火魔法なのに、水魔法の刻まれた魔道具は行使できない、ということだ。


 俺達は魔道具なしでいきなり魔法を発動する。

 これは常識を大きく逸脱している。


 さらに、俺達が四属性を持つのは規格外だ。

 普通は一属性だ。

 複数属性を持つとかえって魔力が劣化する、と言われているし、そういう人が多い。


 俺達が人前で魔法を発動するのには注意が必要なのだ。

 だから、人前での魔法の行使を控えている。

 知っているのは父ちゃんズだけだ。


 俺達はフェイクの魔道具を持つ。

 あくまでその魔道具で魔法を発動している、そういうふうに見せかけている。



 魔道具は魔杖だけではない。

 魔法陣が刻み込まれていれば、何でもいい。

 よくあるのは装身具を魔道具にすることだ。

 耳飾り、指輪、腕輪などだ。

 個人的にはジャラジャラしていてカッコ悪い。


 だが、様々な魔法が使える証である。

 偽物の魔道具を身につけている人もいるのだ。

 見栄をはりたいのである。


 ただし、刻み込むのは加工された魔鋼だ。

 その加工スキルはまだ俺には発現していない。

 通常、鍛冶師がそのスキルを持つ。

 


 魔道具には別な性質を持つものがある。

 それは魔石を利用した魔道具だ。


 魔石を利用すると、初級魔法の一部に限って自分の属性関係なく魔法を発動することができる。


 現状で成功しているのは基礎魔法である。

 ファイア、ウォータ、ウィンドなどの。

 より強力な魔法を発動することが魔導具師界の目標だ。

 魔法の利便性は飛躍的に向上するからな。


 例えば、ファイア魔道具。

 通称、チャッカマン魔道具と俺が呼んでいるが、これを持たない家庭が少ないぐらいだ。

 スライムの魔石で相当長期間もつ。

 これを扱う魔道具ギルドつまり教会は莫大な利益をあげているとされる。


 ただ、魔石魔道具は複雑・高度なものが作れない。

 魔道具士の多くが日夜研鑽を重ね、新しい魔法を発動できるように頑張っているが、成果は芳しくない。


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