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高等学院合格

「すげーな、オレ様って優秀だったんだな」


 俺達は学院まで合格したか見に来た。

 正面の建物の玄関先にでかでかと合格者番号と名前が発表されていたのだ。

 席次付きで。

 それは自動的に入学後のクラスを示していた。


「僕はいつでも言ってたでしょ。ジャイニーはちゃんと勉強すればできるんだって」


「ちゃんと? 随分酷い目に合わされたぞ。寝たら雷魔法とか。そのために魔道具の椅子を作るって、スキニー、お前はSだったの初めて知ったぜ」


「おお、そんなに喜んでもらえて嬉しいですよ。ジャイニーの父上からも今後もよろしくって言われてます」


「ちぇっ。父ちゃんも余計なことを」


「ふふ、優秀も優秀、トップ20に入ったからな。学院のA組ということじゃないか」


「5位だぜ。オレ的には奇跡の順位だな。でもだな、そういう坊っちゃんは2番だし、スキニーは4番だったぜ。ちょっと距離ができちまったな」


「しかも、レッドが20位ってのも驚いたな」


「普通、獣人は魔法が使えないってのが相場なんだけど、学院の先生たち、驚いたろうな」


「オレ様も驚いたぜ。レッドの魔力が凄い伸びてるのは知ってたけどよ」


「だけどさ、俺達、テスト後に検討会を開いたよな。答え合わせの」


「ですね。少なくとも、座学のテストは全員同じでした」


「つまり、満点だったってことだろ?」


「ありゃ、簡単すぎたぜ」


「じゃあさ、実技で順位がついたってことじゃないか」


「だけど、順位のつきようがないですよね。僕達十名全員、全ての的のど真ん中にあててましたよ」


「レッド含めて俺達4人は的を破壊してたから、点数が伸びたのかな」


「坊っちゃんと差があるのはよく分かるけどよ、オレ様とスキニーに魔法の差なんてねーよな。採点と基準を教えてほしいぜ」


「まあ、前期テストの結果で再度クラス編成するらしいからな」


「この学院って、1年は前期・後期制で、そのたびにクラス編成が行われるんだよな」


「つまり、あと3回クラスが変わるかもしれんということ」


「そして、2年の後期テストで最終的な席順が決まると」


「もう一つ、席順のかわるシステムがあるって聞いたぞ。決闘システム」


「決闘システム?」


「単に両者の揉め事を鎮めるためにも使われるんだが、席順をかけて争うことにも使われるらしい」


「ほう。そんなことがあるんか。熱いじゃねえか」


「でもよ、席順がどうであろうと、俺達全員あんまり関係ないんじゃないですか?」


「ああ。全員、フェーブル領から外に出てくつもりはないだろうし、実社会で結果もだしてるしな」


「まあ、他領の奴らと馴染になるのはいいじゃないか」


「いや、ジャイニーなんかは敵を作りまくったりして」


「スキニー、なんてこと言うんだ。それ言うんなら、坊っちゃんだろ。相変わらず短気なのが治んないしな」


「それはお互い様だろ」


「へへへ、面目ない」



 王立高等学院の最大の目的は、貴族同士の知り合いを作るため・連れ合いを探すため・派閥を強化するためなど、疎遠になりがちな貴族間の交流を目指すことにある。


 合わせて、平民の中から優秀な才能を見出す。

 もっとも、平民と言っても何らかの形で貴族階級に縁をもつものがほとんどだ。


 爵位を継げるのは、通常長子となる。

 ということは、次男以下は爵位を継がない。

 それでも、彼らは独立しても貴族待遇を受ける。

 彼らの子どもも貴族待遇を受ける。

 しかし、彼らの子孫は平民扱いとなる。

 つまり、先祖は貴族だった人は王国には大勢いる。


 そして、彼らはビジネス的には優位にある。

 貴族に強いコネクションがあるからだ。

 経済的に成功するものも多い。

 親の経済力と学院合格者との間には強い相関関係がある。

 これは前世の日本でもそうだった。


 ガッキーズの三人は貴族階級にある。

 俺達は小さい頃から勉強も剣・魔法訓練をさせられた。

 身にはつかなかったが。

 

 しかし、孤児のような純然たる平民はまともな教育を受けない。

 しかも、魔力になるとある程度の年齢を重ねると伸びなくなるとも言われている。


 ところが、レッドや孤児たちは曲がりなりにも全員が学院に合格した。

 これは驚くべきことなのだ。


 ◇


 さて、合格したのならすべきことがある。

 宿舎の建設だ。

 土地は購入してある。

 学院の正門まで歩いて5分。

 学院門前街の裏側だ。

 何かと便利な場所にある。


「さて、オレ様の出番だな」


「家の建設ときたら、ジャイニーがフェーブル領でも一番だもんな」


「どうする?」


「3階建てで2,3階が個室。1階は会議室と食堂・台所、地下室がトレーニング室と風呂・シャワー室、研究室、転移魔法陣ってところか」


「よっしゃ、取り敢えずアウトラインを作ってみるか。できたら、開口部や細部を詰めていこうや」


 あと、入学式までに事務手続きと制服2セットをもらいにいった。


 制服は上下ともに純白。

 胸には王立高等学院を象徴する模様で金の刺繍が入っている。

 浄化魔法のようなものが練り込んであるらしく、

 汚れにくいそうだ。


 靴は革靴。

 伸縮性があって履き心地が良い。

 なんとかという魔獣の皮を使用するらしい。


 僅かな期間であるのに、百人分・二百セットの制服を用意したのか。

 着てみると、俺のサイズぴったりだ。

 

 汚れや破損、あるいは小さくなったときなど、事務局に伝えれば新しい制服がもらえる。


 授業料も合わせ、これらは全て無料である。


 

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