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世界情勢エッセイ

NATO VS ロシア 核戦争・第三次世界大戦になる必須条件とは?

作者: 中将

◇ウクライナ紛争に関する1週間の激変



筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は「第三次世界大戦と核戦争」について個人的な見解を語っていこうと思います。



質問者:

 先週はかなりロシアとウクライナのニュースが賑わせましたね……



筆者:

 この1週間に起きた主なロシアとウクライナ関係のニュースをまとめました。(足りなかったら是非ともお申し付けください)。


17日 バイデン大統領、アメリカが供与した長距離ミサイルでロシア領内を攻撃することを許可

    ロシア軍、ウクライナ各地のエネルギー施設を標的に攻撃


18日 スウェーデン政府、食料や薬の備蓄を国民に呼びかけ


19日 ウクライナ軍、ロシアの少なくとも8つの州に数十機によるドローン攻撃


20日 バイデン政権 ウクライナに対人地雷供与を容認(国際法違反疑惑もあり)

    ロシア、プーチン大統領核兵器使用基準(核ドクトリン)引き下げ承認


21日 ロシア軍、中距離弾道ミサイルでウクライナ東部ドニプロを攻撃


24日 ロシア軍、クルスク州のウクライナ制圧地域、40%をロシア軍が奪還と報道


 特にアメリカがウクライナに対してミサイルでロシア領内を攻撃することを許可したことと、ロシアが核ドクトリンを引き下げる改訂をした時がSNSを最もざわつかせましたね。

 


◇ロシアが「核の恫喝」を続ける理由



質問者:

 まずどうしてアメリカが長距離ミサイルを容認したのでしょうか?

 これで一気に緊張が高まったような気がするのですが……。

 トランプさんが次期大統領になることと関係があるのでしょうか?



筆者:

 一部では「トランプ氏が次期大統領になる前にやれることをやっておこう」みたいな論調がありますけど。

 一つの要素としてはあるかもしれませんが主要因とは見ていません。


 実は10月20日に北朝鮮がロシアに参戦したことが確認されたことが発端になっています。(北朝鮮軍の規模は1万人~1万5千人と言われています)

 10月29日のロイター通信日本語版では『北朝鮮派兵、NATOが確認 参戦なら米は兵器使用に新制限課さず』という記事もあります。


 あんまりそのことについて話題になっていませんが僕はこれが引き金だったと思っています。

 ロシア側の方が先に「一線を越えた」のです。



質問者:

 しかし、北朝鮮軍ってそんなに強そうな感じもしないんですけど……。

 そんなに役に立つんですか?



筆者:

 まぁ、局面を変えるほど役には立たないと思いますよ。

 

 ただ、遠目に「部隊を展開している」と言うだけでも圧力にはなりますし、

 戦線で労働力として働いてくれるだけでも役立ちますよ。意外と最前線では塹壕ざんごう戦になったりしているようですしね。

 ロシアも弾薬がそんなに潤沢では無いのでついでに運んできてもらう事も出来ます。

(最悪は「肉の壁」になってもらおうとしているのかも……)


 北朝鮮側のメリットとしては東洋経済オンラインの11月13日の『北朝鮮のロシア派兵は現金と実戦経験が目的だ 800億円の収益と現代戦の経験という実利思考』という記事にあるように、外貨を稼ぐことが主な目的のようです。



質問者:

 なるほど、北朝鮮の派兵が今回の緊張感を高める要因だったかもしれないんですね……。


 本当に「第三次世界大戦」や「核戦争」が起きてしまうのでしょうか?



筆者:

 僕は正直なところ現状では起きる可能性は低いと見ています。

 

 特にロシア側としては「核戦争の引き金を引くメリットが薄い」というところです。



質問者:

 えっ……でも、ロシアの方が核兵器を使う脅しをずっと続けているような……。



筆者:

 実を言いますと核兵器と言うのは「やるかもよ!? 撃つかもよ!?」と脅しで使っている時が一番効果的なのです。


 本当に使ってしまった時と言うのは、数発程度では「世界から締め出し」という状況になります。

全てを打ち尽くせば「全世界が壊滅」という事が起きてしまうために、この核戦争の引き金を引く可能性は低いのです。



質問者:

 でも、そうなるとロシアは開戦した当初から核兵器の使用をどうして言い続けているんですか?



筆者:

 ロシアは“どのラインで核を使うか?“について「NATOの参戦」が条件としてありました。

 しかし、その「参戦」の定義については分かりませんでした。


 武器の供与を最初の段階から今の最新鋭のドイツのレオパルト戦車やアメリカのF16飛行機を使っていればウクライナ側とすれば戦局を好転させることが出来たかもしれません。

(大量供与しなくとも高性能兵器ほど訓練練度が必要なために訓練をやるだけでも意義があります)


 ですが、当初はセコセコと古い武器から供与していたのは単純に「勿体ない精神」があったことも要素としてありますが、「もしかしたら最新鋭兵器を供与したらロシアがNATO参戦と認めて核を使うかも」と恐れていたことが一番要素として大きいです。


 つまりロシアは「核の恫喝」によってNATO戦力を”逐次投入“させ、戦略的に成功したのです。


 長射程ミサイルを許可したために、NATOの緊迫感を再び引き上げるための「ロシア核ドクトリン改訂」だと思います。


 ちなみに核ドクトリンの内容は


・ロシアに対する攻撃が核兵器を保有していない国によるものであっても、核保有国の参加や支援があれば共同攻撃と見なすとし、核兵器使用の可能性を示唆。


・無人機や巡航ミサイルなどが大量に発射され、それらがロシアの国境を越えるという信頼できる情報を得た場合にも核兵器の使用を検討する。


 ということのようです。



質問者:

 そういえば、第二次世界大戦の日米戦争においても日本軍が戦力を逐次投入したことから敗北が早まったという話を聞いたことがあります……。


 現在はNATOが似たような状況になってしまっているという事ですか……。



筆者:

 ロシアが優位に戦局を展開しており、トランプ氏が国境線をロシアが有利なように確定してくれそうなので、現状が「最も核兵器を使う必要性が無い」とも見ることが出来ます。


 流石に「ロシアの首都モスクワが焦土になった」とかなら話は別ですが、

 基本的にはNATOがいくら挑発しようともトランプ氏が大統領に就任するまではプーチン氏が我慢を続ける公算が高いです。


 どちらかというと、核で焦土にするより、現状の戦力を結集して領土を今より多くすることに注力すると思います。(核は自国にも被害が出かねない)


 特にロシア領クルスク州のウクライナ兵を追い出すことに総力を結集するでしょうね。自分から仕掛けておいて失地が出てしまえば問題ですからね。



◇核戦争になる絶対2大要素



質問者:

 では逆に、トランプ氏が大統領になった際に交渉がもつれた場合はどうなるんでしょうか?



筆者:

 それが実は最も怖い状況だと思います


 領土が保障されない、その他の妥協できない条件が講和で提示された場合にはロシアは一気にブチ切れてロシアから遠い町の一つぐらい吹き飛ばすかもしれません。


 ただ、それでももう必須一つ条件をクリアしなければ核を撃つことは無いと思います。



質問者:

 そんな重要な条件があるんですか?



筆者:

 それは「核を撃っても実質支援国との関係継続することの確信」です。


 ロシア連邦統計局が11月13日発表した2024年7〜9月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は前年同期比3.1%増、ウクライナ侵略に伴う軍需などが牽引し、6四半期連続でプラス成長した――としています。


 権威主義国家の統計がどれほどあてになるのかは謎と言えば謎ではありますが、

 スイフトから排除してもBRICSを中心としたコミュニティが取引をしてくれる限りにおいてはロシア経済はそこまで問題は無いと思われます。


 ただ、核を撃てば現在貿易をしてくれていて友好・中立なインドやアフリカ辺りは一気に離れていくことは濃厚です。

 これらの国々が実は内々の話し合いではキャスティングボートを握ることになると思います。



質問者:

 確かに誰も貿易してくれなかったら経済成長していたのも一気に崩壊しますよね……。



筆者:

 ただ、「経済的保障」と言う面においては何がどうすれば保障になるのか分からないですし、約束が果たされるかも分からないです。


 ですので、プーチン大統領の“感性次第“だと思います。



質問者:

 でもさすがにそんな保障をするとは思えないのですが……。



筆者:

 分かりませんよ。トランプ氏は全世界の国に一律の関税をかけようとしています。

 特に中国に対しては60%とも言われる高い関税をかける可能性もあるので、

 よりロシアと中国は接近するでしょう。


 中国マネーはアフリカや東南アジアにもかなり入っていますから、中国とロシアに従う国と言うのはあると思います。



質問者:

 そうなると、トランプさんがアメリカ大統領になった1月20日以降のロシアとウクライナの交渉が全てという事ですか……。



筆者:

 正直なところウクライナの国民が現状の境界線で妥協できるとは思えないので、

 交渉は難航すると思いますよ。


 そして、長期戦になった上で、経済的保障があり、「核ドクトリンを満たすこと」が起きてしまった場合には、

 核戦争に発展する可能性があるという事です。



質問者:

 なるほど……それは恐ろしいですね……



筆者:

 ただ、欧米がウクライナ支援で財政状況が逼迫しており(欧州には財政赤字の限度がある)、「支援辞め時」を探っているのも間違いないと思います。


 ウクライナの戦闘は欧米の支援なしにはやっていけないと思うので、

 長期戦になるかどうかはやはりどれだけ予算を出すか次第だと思います。


 また、ウクライナ高官は汚職まみれであり「汚職の裁判から守ってやる」など身の安全を保証すればあえなく上層部を買収できる可能性があります。



質問者:

 そう言えばウクライナは汚職大国でしたね……。



筆者:

 正直、日本の支援金もどれだけまともに使われているか不透明ですよ。


 ロシアの思うがままにすれば領土紛争がある日本としてはとても不利になると思いますし、北海道の危険度と言うのも上がってくると思うので嫌ではありますが、戦争が終結するのが一番だと思います。



質問者:

 やっぱり民間人の犠牲が一番痛ましいですからね……。



筆者:

 今回はウクライナの外交上・戦略上の敗北だと思います。


 それを日本も学び何とか教訓にして欲しいですけどね……。

 ただ、日本が復興の負担を背負う事になるかもしれないのが戦争終結の際には怖いですけどね……。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回のNATOとロシアのエスカレーションは北朝鮮参戦がきっかけにあること、

 現状は核戦争などのリスクは低く、トランプ大統領になってから講和交渉決裂した場合に山場が来るかもしれないという事をお伝えしました。


 今後もこのような日本に関わりそうな世界情勢について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。

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