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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界恋愛

ケダモノ王子との婚約を強制された令嬢の身代わりにされましたが、彼に溺愛されて私は幸せです。

 

「ミーア=キャッツレイ。そなたを我が息子、シルヴィニアスの婚約者とする!」


 王城で開かれたシルヴィニアス王子の誕生日パーティにて。


 国王の口から飛び出た突然の婚約宣言により、それまで賑やかだったフロアがシンと静まり返った。


 誰もが驚いた表情を浮かべ、会場の中央に立つ国王へと視線が集まっていく。



「結婚式は十五歳の成人となる五年後だ。そして第二王子であるシルヴィニアスだが……本日の誕生日を持って、正式に王太子とする!!」


 止まらない衝撃的な発言に、今度は会場にどよめきが起こった。


 まさか第二王子の婚約者が突然決まっただけでなく、将来の国王まで発表されるとは。


 あまりの急展開に、参加者の誰もが動揺していた。



「う、うそ……わ、わたし……」

「父上……」


 驚いていたのは、婚約が決まった当事者たちも同様であった。


 王の前に連れて来られた二人は、揃って顔面を蒼白にさせながら震えていた。



 どちらもまだあどけなさの残る、十歳の少年少女たちだ。ミーアは緑色の瞳を濡らし、小さな身体をさらに縮こませている。


 一方のシルヴィニアス王子はオロオロと周囲を見たあと、逃げるように下を向いてしまった。



 彼女らが困惑してしまうのも、仕方のない話だった。


 なぜなら二人が顔を合わせたのは、今日が初めてだったのだ。さらに言えば、お互いに交わしたのは簡単な挨拶だけ。



 それでも国王は、どういうわけか息子の婚約者を一方的に決めてしまった。


 おかげで楽しいパーティは一変し、地獄のような有り様になっている。




「――発言をお許しください陛下!」

「貴様は……キャッツレイ侯爵か。発言とはなんだ」


 会場の皆が固まる中。焦りを隠せない様子の男が王の前に飛び出し、その場で平身低頭となった。


 見た目は四十代ぐらいの初老の紳士。彼はミーアの父、キャッツレイ侯爵であった。



「非常に申し上げにくいのですが、実は……娘には以前より、想いを寄せている相手がおりまして……」

「なに? 王子の他にか?」


 王はミーアを上から見下ろす。


 驚いたミーアはビクッと身体を大きく跳ねさせ、視線を会場の中にいた同世代ぐらいの男の子に向けた。



「それは婚約者か?」

「え、えぇ。そのようなものです……」


 キャッツレイ侯爵の言う通り、ミーアは幼馴染の令息に恋をしていた。


 相手は伯爵家の三男坊で、明るく愛嬌のある好青年。つい先程まで、ミーアはその彼と楽しく談笑していたところだった。


 背伸びをして頑張ったメイクも、苦手なダンスの練習も、すべては彼の為。


 キャッツレイ侯爵も、娘の頑張りを微笑ましく応援していた。それがまさか、国王によって妨害されるとは。



 彼女らを見て事情を理解した王だったが――ゆっくりと首を横に振った。


 若者の淡い恋に水を差したくはないが、彼にも譲れない事情があるのだ。



「ふむ、なるほどな……だが我が息子、シルヴィニアスが珍しく女に興味を示したのだ。この機会を逃すわけにはいかぬ」


 視線をミーアから横にずらし、今度はシルヴィニアス王子を見た。


 王子はずっと俯きっぱなしで、猫のように柔らかな銀髪が顔を覆っている。表情は窺えないが、耳が真っ赤に染まっていた。どうやら彼は人見知りのようだ。



「貴殿もこの国の貴族なら、血筋を残す重要性を分かっておるだろう。特にシルヴィニアスの場合はな」

「殿下の()()()()、ですか……」



 この世界には、()()と呼ばれる神様がいる。


 普段は動物の姿をしているが、家族の危機ならば姿を変えて助けに来てくれる。そんな家族思いの、優しい神様がこの世界のどこかにいるそうだ。



 大陸の覇者である神聖ウルフェン王国。

 この国の始祖は神である神獣と結ばれ、王となって国を(おこ)したという伝説がある。


 そして神獣の血は今もなお受け継がれ、王家や貴族となってこの国を治め続けてきた。



「神獣の血を色濃く引くシルヴィニアスは、神聖なる神獣人だ。本人は気弱で、その片鱗は中々見られぬが……」


 神獣の血を持つ人間は膨大な魔力と強靭な力、さらには驚異的な回復力を持つ。そしてその者は身体に神獣特有のとある特徴が現れることから、畏怖を込めて神獣人と呼ばれていた。


 その神獣人は王家にとって……いや、王国にとってかけがえのない存在。その上、最近では神獣人が生まれることも少なくなり、その希少性は高まっている。


 その血を強く残すためにも、国王はシルヴィニアスの嫁探しに必死だった。



「これは王命である。異論があれば、早急にシルヴィニアスの伴侶に相応しい者を用意せよ」


 王はそれだけ告げると、王子を連れて会場から去って行ってしまった。



「お父様……」

「すまない、ミーア。私の力ではどうにもできなかった……」


 さめざめと泣くミーアを侯爵が腕の中に抱き寄せた。


 悲嘆に暮れる二人だったが、その場に居た他の貴族たちはミーアを羨望の眼差しで見つめている。


 普通に考えれば、次期王の妻。この国の王妃となれるのだ。玉の輿を狙う令嬢からしたら、羨ましくないわけがない。



 だが王の言う、王子に相応しい者というのが問題だった。


 なにしろどんなに魅力的な令嬢にも、シルヴィニアスは一切興味を示さなかったのだ。


 そんな彼が生まれて初めて興味を示したのが、よりによってミーアだった。



 だが彼女にとって、それはあまりにも唐突に引き起こされた悲劇でしかない。


 幼いながらに(あわ)く燃え始めた、初めての恋心。これからゆっくりと育まれるはずだったものが、大人の都合で無情にも踏み(にじ)られたのである。それも、たった一晩の間に。



 国や貴族の事情でそう決まったから、と言われて到底納得ができるものではない。


 彼女はパーティ会場から帰る馬車の中で、父親である侯爵に(なぐさ)められながらポロポロと大粒の涙を(こぼ)し続けた。



 愛妻家で、子煩悩で知られるキャッツレイ侯爵。彼は(なげ)き悲しむ娘の姿を見て、心を深く痛めていた。



 ――王妃の父になれる? そんなものはどうだっていい。


 愛娘のミーアがいつまでも笑顔で居てくれる方が、彼にとってよっぽど大事だった。




 泣き疲れてしまったのか、ミーアは父親の膝の上でスヤスヤと寝息を立て始める。


 そんな彼女の頭を優しく撫でながら、侯爵は少し疲れた様子で馬車の外をぼんやりと眺めていた。



 星空は闇よりも黒い雲に覆われている。


 天より落ちる冷たい雨は吹き荒れる風に乗って、馬車をザァザァと激しく打ち付けていた。



 来た時は気持ちの良い晴天だったのに。それが今では、まるでミーアの心中を表したかのような酷い荒れ模様だ。




「ああ、どうにかしてやれないものだろうか。私に、もっと力があれば……」


 可愛い娘の為ならば、なんだってしてやりたい。だが相手は王家で、しかもあの神獣人だ。いっそ、何か不慮の事故であの王子さえ居なくなってしまえば……



 不穏な考えが、脳裏を一瞬だけよぎる。


 だが、そんなことをしては駄目だと(かぶり)を振った。



「……ん? なんだ、急に」


 もうすぐ我が家に着くというところで、馬車が急停止した。


 何か問題が起こったのだろうか。馬車の外が、何やらザワザワと騒がしくなった。



「んっ……どうしたんですか、お父様……」


 異変に気が付いたのか、ミーアが身じろぎをして起きてしまった。


 心配するなと彼女を(なだ)めつつ、事情を説明しにやって来た御者と護衛に何事かと尋ねる。



「すみません、旦那様。実は……」



 彼らによれば、道端に行き倒れが転がっていたので、慌てて馬を止めたのだと言う。



「そうか、なら仕方がない。ミーア、このままでちょっと待っていなさい。お父さんが様子を見てくる」

「はい、お父様。お気をつけて……」



 普通の貴族であれば部下に任せて処理させるか、そのまま()き殺していくだろう。しかし彼は貴族には珍しい、心優しき善人だった。


 雨に濡れることもいとわず、彼は護衛を連れて馬車の外へと降り立った。



「おい、こんな所でどうした……って、まだ幼子(おさなご)じゃないか!!」


 御者に案内された場所に来てみれば、地面で倒れていたのは小さな子供だった。


 全身が泥まみれで、着ている服もボロボロだが、間違いなく生きた人間の女の子だ。



「……ミーアとよく似た顔をしているな。まるで双子のようだ――だが」



 ミーアとは身体つきがまるっきり違う。


 服の隙間から見える肌はガサガサで、あばら骨が浮き上がるほどに痩せていた。明らかに栄養が足りていない状態だし、雨に濡れて衰弱もしている。



 放っておけば、いまにも死んでしまいそうだ。


 この冷たい雨の降りしきる、嵐の暗闇の中たった独りで。



「可哀想に……おい、誰か手伝ってくれ! 急いで我が家で治療するぞ!!」







 ◇


 ――あの嵐の夜から、五年の月日が経った。


 十五歳となったミーアは、美しく成長した。


 必死に教養と礼儀作法を身に着け、王妃に相応しい淑女へと生まれ変わったのだ。



 肝心のシルヴィニアスとの関係であるが、意外にも仲は良好だった。


 ミーアは婚約者を拒絶することもなく。二人は定期的に顔を合わせ、ゆっくりと親睦を深めていた。



 ポツリポツリと会話をしながら、静かにお茶を飲んだり。


 王城の庭園にある花畑を無言で散策したり。


 それをデートと呼ぶには、あまりにもささやかなものではあったが……それでも二人の間には、何かが芽生え始めていた。




 ――そして冬のある晴れた日。


 シルヴィニアス王子は乗馬に使う純白の正装に身を包み、馬に乗って街道を駆けていた。


 毛並みの良い白馬に(またが)り、美しく伸びた銀糸の髪は太陽の光でキラキラと流星のように煌めいている。



 十五歳という若さながら、長身で程よく筋肉のついた、均整の取れた身体つきだ。


 顔も五年で幼さが取れ、あの頃の弱気な彼はどこにもない。


 令嬢たちは彼を見ただけで、思わず頬を染めてしまうほどの美男子となっていた。



「あぁ、我が愛しのミーア。早く君に会いたいよ」


 何より彼のこれから会えるのが楽しみで仕方ないといった笑顔は、女を芯から(とろ)けさせる魅力を持っていた。


 彼にそんな表情をさせているのはもちろん、婚約者であるミーアだ。


 そして彼は今、ミーアに会うためにキャッツレイ侯爵家に向かっていた。



「遂にこの日が来たか。うーん、緊張するなぁ……」


 この国では、新婦となる者を新郎が馬で迎えに行くという習慣がある。それはたとえ王族でも例外ではない。


 なんでも初代の国王が妻となる神獣を迎えるために、彼女が住まう聖地に自ら赴いたのだそうだ。彼らのような幸せな夫婦になれますように、という願いが込められているらしい。



 当然、シルヴィニアスもこの日の為に準備を重ねてきた。


 白馬のヴァイスを相棒として育て、騎士団と共に身体を鍛え、プロポーズの言葉を図書館で本を読みながら考えた。



 二人きりの時はあまり、好意を表に出さないが……見ての通り、シルヴィニアスはミーアにどっぷり惚れ込んでいた。


 あくまでも彼は大人しい彼女に合わせ、猫を被っていただけ。本当はもっとお喋りがしたいし、手も繋ぎたいし、キスだって……



 だが彼は紳士だった。――彼女に嫌われたくなかっただけ、とも言えるが。



「さて、着いたか」


 白馬の王子様は姫の待つ屋敷を見上げた。



「僕の一世一代の見せ場となるか……ヴァイスはここで待っていてくれ」


 一連の流れは何度もシミュレーションしてきた。あとは手筈通りに侯爵から彼女を奪い去り、ヴァイスの背中に乗せて無事に城へ帰るだけ。


 最後にもう一度気合を入れると、シルヴィニアスは愛馬に見送られながら、屋敷の入り口へと向かうのであった。



「み、ミーア?」

「――はい。シルヴィニアス様」


 案内された部屋に入ったシルヴィニアスを出迎えたのは、純白のドレスを身に纏ったミーアだった。


 彼女を彩るのはドレスだけではない。


 銀で緻密な細工がされたティアラに、ルビーのような赤い宝石の嵌まった指輪。


 しかしどんな高級なアクセサリーも、彼女の美しさには敵わない。



「綺麗だ……」

「……ありがとうございます、シルヴィニアス様」


 鏡の前に立ち、少し恥ずかし気に己の婚約者を見上げている。


 その嫁入り姿は、彼が必死で考えてきたプランを全て吹き飛ばすほどに美しかった。


 あまりの感動で言葉もロクに出ないのか、シルヴィニアスはその場で立ち尽している。



 そんな飾らない反応が嬉しかったのだろう。普段はあまり表情の変わらないミーアも、彼のストレートな褒め言葉に頬をピンク色に染め、ニヨニヨと口元を緩ませている。



 そんな二人の姿を、侯爵家の使用人たちは微笑ましそうに見守っていた。その中に、人一倍感慨深そうな表情を浮かべている人物がひとり。



「本当に綺麗だぞ、ミーア。昔の頃の母さんを見ているようだ」

「もう、お父様まで……」


 キャッツレイ侯爵は手放しで娘を誉めそやす。その彼の瞳は少し潤んでいた。



 彼の妻である侯爵夫人はミーアを産んですぐに亡くなっている。


 侯爵が母の分も愛情を注いだだけあって、娘を嫁に出すのは複雑な気分なのかもしれない。



 そんな父娘のやり取りを眺めているうちに、シルヴィニアスも冷静を取り戻した。当初の計画を思い出し、実行に移す。



「……ミーア」

「はい」


 ミーアの面前に向かい、その場で片膝を突いた。


 そして彼女の手を優しく取ると、瞳を真っ直ぐに見つめながら語りかける。



「我が愛しのミーアよ。これからはこの国の王妃として……いや、僕の愛する妻として共に生きて欲しい。一緒に城へ来てくれるかい?」

「……はい」


 照れ臭そうに、コクンと頷くミーア。


 シルヴィニアスはニッコリと微笑んで、その手にキスを落とす。


 そして立ち上がると、「ありがとう」と言ってミーアを優しく抱き寄せた。



「それではキャッツレイ侯爵。本当にこの娘を、我が(きさき)として良いのだな?」

「はい、殿下……自慢の娘です。どうか良くしてやってください」


 複雑な想いを心の中で(とど)めながら、父として娘を笑顔で送り出す。


 これでようやく肩の荷が下りた、彼はそう思ったのだろう。だが――



「侯爵。その言葉に嘘は無いな?」

「……え?」


 ――キャッツレイ侯爵は目の前の人物が誰なのかを忘れ、油断していた。



「……そうか。だ、そうだよ、名も知らぬ少女よ。君の育ての親は、実の娘可愛さに貴女(あなた)を売るらしい」

「なっ……殿下!?」

「シルヴィニアス様……」



 突然、ミーアを知らぬ女性だと言い始めた。


 まるで人が変わってしまったシルヴィニアスに、静まり返る侯爵家の面々。先ほどまでの和やかな空気が一瞬で凍り付いた。



 シルヴィニアスの笑顔は変わらずだが、瞳に殺意が込められている。


 少なくとも彼に、ふざけているつもりは無いようだ。



「残念だよ、キャッツレイ侯爵。いつか正直に打ち明けてくれるかとも思っていたが……最後まで僕を騙すつもりだったんだね」

「ま、まさか……」

「ああ。最初から気付いていたさ。僕の神獣人としての能力は、ずば抜けた嗅覚と聴覚。一度嗅いだ人間の匂いは決して忘れない。見た目では誤魔化せても、匂いで僕を騙すのは不可能なんだよ……五年前のパーティで会ったミーアと、五年間会っていたこの少女は全くの別人だ」


 シルヴィニアスはスンッと鼻で匂いを嗅ぐと、部屋の中をぐるりと見回した。



「うん、確かにこの屋敷には、本物のミーアの匂いが残っている。ふふっ、どうやら彼女は死んだわけじゃなさそうだね」


 その言葉を聞いたキャッツレイ侯爵の顔が、みるみるうちに青褪(あおざ)めていく。そして服が汚れることも(いと)わず、その場で床にひれ伏した。



「なんだ、思っていたよりもあっさり認めるんだね。……まぁ、僕もこれ以上問い詰めるような真似はしたくはなかったけどさ」


 シルヴィニアスは自分より倍以上も年上の侯爵に、冷ややかな鋭い瞳で見下ろしている。


 嫁ぐ寸前の娘の前で、床に這いつくばる父親の姿はあまりにも無様だった。



 侯爵も自身のやってしまったことの重大さは、十分に理解している。


 だが、彼にも譲れないものがあった。



「も、申し訳ありません!! しかし殿下や王家に叛意(はんい)があってのことでは無いのですっ!! 私はどうなっても構いません……ですがっ、どうか娘だけは!!」

「その娘とは、どの娘だ。ミーアか? それとも身代わりにされた、この少女のことか!?」

「そっ、それは……!!」


 この国で一番怒らせてはいけない人物の逆鱗に触れてしまった。


 ましてやシルヴィニアスはあの神獣人であり、次期王と(もく)されている人物だ。そんな神にも等しい人間を怒らせたら、一族が重罪に問われてもおかしくない。




 しかしシルヴィニアスが本当に怒っているのは、長年自分が騙されていたことに対してでは無かった。


 それもそうだろう。二度目に会った彼女がミーアではないことなど、すぐに分かっていたのだから。



 シルヴィニアスは自ら侯爵家を調べ上げ、あの嵐の夜に起きた真相を(つか)んでいた。それでも彼は、()えて自分から問いただすような真似はしなかった。


 ――少なくとも、彼女を迎えに来た今日までは。



 では何故、侯爵を()めるような演技までしたのか?


 五年もの間、ミーアと(いつわ)った少女と婚約者ごっこを続けた意味は?



 今この場で、その理由を明かすつもりはシルヴィニアスには無いようだが……。




 シルヴィニアスの威圧を受けた侯爵は脂汗をダラダラと流し、床でブルブルと震えていた。


 殺意を隠そうともしない王子は、まるで死神のように一歩、また一歩と罪人へと近寄っていく。


 命を刈り取る鎌の代わりに、腰元の剣を抜こうとした瞬間。



「……それはどういうつもりだい?」


 少女が侯爵を(かば)うようにシルヴィニアスの前に飛び出してきた。


「もう、お止めください。全ての責任は私……ターニャが取りますので」

「そうか、キミの本当の名はターニャというのか。だが、ターニャの言う責任とは……?」


 遂にシルヴィニアスは腰元の剣を抜いた。


 それでも侯爵を殺させまいと、両手を広げて立ち向かい続けている。彼女の表情は殺されても良いと覚悟の決まったもので、剣を持つ彼を前にしても怯んではいなかった。



 ――ターニャは本気で侯爵を守ろうとしている。


 懸命な彼女の姿を見た彼は、少しだけ殺気を抑えることにした。



「シルヴィニアス様を今まで騙していたのは、他でもないこの私です。婚約を破棄し、私の首をその剣で()ねてくださっても構いません。……ですが、キャッツレイ侯爵家の皆さんをこれ以上(とが)めるのは、どうかお許しくださいませ」

「た、ターニャ!!」

「……侯爵は少し黙っていろ」


 こんなにもハキハキと喋れたのかというほど、ターニャは流暢に話している。


 周囲の者も驚いて目を丸くしているが、シルヴィニアスにとって今はそれどころではない。




「……ターニャ。むしろ君は被害者だろう。いくら拾われた恩があるからといって、そこまでする義理はあるのかい?」


 侯爵とは違い、彼女に対しては終始優しい態度をとるシルヴィニアス。


 だが手は剣に置いたままだ。誰かが不穏な動きをすれば、すぐさま切り捨てるつもりなのだろう。



「……家族だから」

「家族……? それは命を懸けるほどの理由なのか? もしも事前に、侯爵からそう言うように言われていたのなら……僕は君にも容赦をしない」

「――あの嵐の日、私は死を覚悟しました。それでも私は良かった。生きる意味も無く、親にも道具のように使われる毎日でしたので。……だけど!!」



 ターニャは生みの親に名も与えられず、最低限以下の食事だけで働かされていた。


 やがて衰弱して動けなくなった彼女は、壊れた玩具(おもちゃ)のように道端へ捨てられた。


 彼女は本当ならあの日、あの場所で死んでいたはずだったのだ。



「それでも私を拾ってくれたキャッツレイ侯爵家のお陰で、こうして生まれ変わることができました! 私にも、大好きだと思える家族ができたんです!!」



 侯爵はミーアの身代わりの為とはいえ、ターニャを二人目の娘として愛情を持って育ててくれた。


 ミーアも妹のように可愛がり、毎日のように謝ってくれた。


 ターニャはこの侯爵家に来たことで、家族が居ることの幸せを初めて知ったのだ。



 それでもなお、シルヴィニアスは彼女が理解できなかった。


 貴族の言う家族とは、いかに駒として利用できるかが重要なのだ。


 父である王だって、自分の事を“神獣人”だから大事にしているだけ。


 他の兄弟たちには目も向けず、愛情すら与えてこなかった。


 それなのに、目の前の少女は家族のために命を捨てられるという。とてもじゃないが、自分では考えられない発言だった。



「――可哀想に。ターニャは貴族のことを、あまりにも知らなさすぎる」

「シルヴィニアス様は、家族の本当の愛を知らないだけです!」

「そんなことは……!! いや……そう、かもしれないな」



 事実、シルヴィニアスは愛に飢えていた。


 自分は父のように、愛情を利用して他人を動かしたりなんかしない。もし自分が侯爵の立場だったら、彼女を身代わりにはしなかった。自分こそは真実の愛を貫けるのだ――と、そう思い込みたかった。


 もしくはキャッツレイ侯爵とターニャとの家族愛が、ただ単に羨ましかったのかもしれない。



 本当はシルヴィニアスも分かっていた。


 この五年の間、ターニャたちが本当に愛し合っていたということを。分かってしまうが故に、心の中でモヤモヤが(つの)っていく。




 誰も言葉を発さず、沈黙の時間がしばし流れる。


 ジリジリと高まる緊張感。このままでは命の恩人が、大事な家族が罪に問われてしまう。



 意を決したターニャが口を開いた。


「さぁ、シルヴィニアス様。私を罪人として連れて行って「待て」――え?」



 突然ターニャの言葉を(さえぎ)ったかと思えば、シルヴィニアスが剣を抜いた。



「逃げなさい、ターニャ!」

「いやです、お父様!!」


 この状況になっても、お互いを庇い合う二人。


 ――だがシルヴィニアスは冷静に「静かに」と二人を制した。



「……不穏な足音がする。キャッツレイ侯爵。貴殿は今日、僕以外に誰か客人を招いたか?」

「――は? い、いえ!! 今日は殿下をお迎えし、そのまま私たちも城へ向かう予定で……なっ、誰だ!?」



 侯爵が大きな声を上げた。


 突然部屋の窓が割れ、何者かが侵入してきたのだ。



 見れば、布で顔を隠した盗賊のようだった。


 ただし動きが素人ではなく、洗練されている。



 そうしている間にも、廊下からも使用人たちの悲鳴が上がり、そちらからも押し寄せてきた。



「襲撃者か!? くそっ、よりによってこんなタイミングで……!!」

「だが僕が居合わせていたのは残念だったね。神獣人を相手に、盗賊ごときが……いや、違うな。僕が居ると最初から分かっていて、誰かがお前たちを寄越したな?」


 シルヴィニアスはセリフの途中で気が付いた。彼らは自分の姿を見ても怯んでいない。


 侵入者たちは一様にして、手に怪しげな筒状の道具を持っていた。



「それは一体……?」



 その道具をシルヴィニアスたちにではなく、床に向かって一斉に投げつけ始める。


 その瞬間、薄い紫色の煙がもくもくと部屋を埋め尽くした。



「こいつら、我が屋敷で火事でも起こす気か!?」

「いや、コレはおそらく……()()()()だ」

「なっ……!? 神獣殺しですと!? 貴様ら、まさか禁忌に手を出したのか!?」



 特に嗅覚の鋭いシルヴィニアスは、これが何なのかを瞬時に判別することができた。



 ――神獣殺し。


 初代国王と神獣が出会い、一時期共に暮らしていたと言われる聖地が、この大陸のどこかに秘境として隠されている。


 その聖地でのみ自生する神獣草を使って作られるのが、この神獣殺しという薬草だ。


 これは神獣が人となり、初代国王と結ばれる為に使ったとされる伝説の薬だった。



 だが神獣殺しの名の通り、王族から貴族まで、神獣の血を持つ者に対してのみ効果を示す毒薬でもある。


 つまりこれは神獣人であるシルヴィニアスにとって、致命的な影響を与えるということ。



「どうやら狙われていたのは僕の方だったようだね……恐らくは兄上か、叔父上か。いや、全員か? ははっ……どちらにせよ、僕の存在が相当邪魔だったようだ」



 “シルヴィニアスは弟なのに……。自分の方が王に相応(ふさわ)しいはずなのに”


 そんな嫉妬や執念が人を簡単に狂わせる。それはたとえ、家族が相手だとしても。


 今まではあからさまな妨害はしてこなかったが、まさか今日を狙って命を奪いに来るとは(つゆ)とも思わなかった。



 ――幼い頃は弟である自分の面倒を見てくれる、優しい兄だった。


 ここにきて家族の裏切りに、シルヴィニアスは心が張り裂けそうになる。



 だが今はそれどころではない。毒の煙で視界も悪い……が、自分一人で襲撃者たちを討伐せねば。



 どうにか意識を失わないように耐えながら、一人、また一人と敵をなぎ倒していく。


 それでも次第に剣を握る手が(しび)れ、視界もボヤけてきてしまった。



「くっ、手ごわいな……」



 この日のために相当訓練されていたのだろう。人形のように一言も発さず、仲間が倒れようとお構いなしに次々と襲ってくる。


 それまで善戦していたシルヴィニアスも遂に力尽き、床に膝を突いてしまった。



「足が動かない……ここまでか……」


 目を開けているのも(つら)くなってきた。


 ――もう、無駄に抵抗するのもやめよう……。



 頭を項垂(うなだ)れさせ、最期の瞬間が訪れるのをじっと待つ。


 ……が、その時が何故か一向にやって来ない。



 いったいどうしたのかと、おそるおそる顔を上げてみる。


 毒草の効果が切れたのか、立ち込めていた煙が晴れてきた。そしてそこには――



「どうして……どうしてターニャが!!」

「シルヴィ……ニアスさ、ま……」


 彼の視界に入ったのは、腹部を短剣で貫かれているターニャの姿だった。それもシルヴィニアスを庇うようにして。



「わた、し……貴族じゃ、ないから……動け……」

「そうだがっ、そんな事を言っているんじゃない! どうして逃げなかったんだ!! どうして僕なんかを庇った!!」


 床に崩れ落ちるターニャ。痺れる身体をどうにか引き()りながら、彼女の元へ()っていく。そして純白のドレスを自分の血で赤く染めていく彼女を抱き寄せた。



「だって、しるヴぃ、さまは……私の、家ぞくになる人だ、から……」

「おいっ、ターニャ……しっかりしろっ!!」

「わた、しは、貴方を……」


 ターニャは愛するシルヴィニアスの頬に、震える両手を添えた。


 彼は涙を流しながらその手を必死に掴み、彼女の名を叫ぶ。



「ターニャ……死んじゃ駄目だ、ターニャ!!」



 彼の願いもむなしく、彼女の瞳は次第に光を失っていく。


 それでも神に(すが)る様に、シルヴィニアスは願い続けた。



「たのむ神獣様……僕のターニャを……家族を助けて……」


 彼のその悲痛な願いが通じたのだろうか。シルヴィニアスの身体がぼんやりと光り始めた。



 異変に気付いた襲撃者たちも、慌てて彼を止めようとするが……それはもう手遅れだった。


 (まばゆ)いほどの銀光がシルヴィニアスを包み込む。


 まるでサナギから蝶へとなるように。彼の身体が変わっていく。


 頭部から狼のようなフサフサの耳が生え、口には鋭い犬歯が揃い。そして背中には、もふもふの尻尾。



 ――そう、これが本来の彼の姿だった。


 シルヴィニアスは己を解放し、真の神獣人となったのだ。



「……ありがとう、ターニャ。そして神獣様。これで僕は――愛する家族を失わずに済む」


 心からの感謝と愛を込めて、ターニャの唇にキスを落とす。その瞬間、出血が続いていたターニャの傷がシュワシュワと音を立てて塞がっていった。



「さぁ、起きてターニャ。目覚めの時間だよ」

「う、ん……?」


 先程まで死に掛けていたターニャも、深い眠りから目覚めるかのように、ゆっくりと目蓋(まぶた)を開く。



()()()()……? なんだかキレ、い……」

「ターニャはそのまま待ってて。すぐに終わらせてくるから」


 ぼうっと自分を見つめてくるターニャを優しく床に降ろす。そして顔を恐ろしい獰猛(どうもう)な笑みへと変え、襲撃者に向き直った。


「さぁ、僕の大事な家族を傷付けた罪を、君たちの命で償ってもらおうか」





 それから起きたのは、圧倒的強者による蹂躙(じゅうりん)だった。


 襲撃者はリーダーを残して全滅し、そいつも尋問の末に処分した。



 けが人は出たものの、(さいわ)いにも侯爵側に死亡者は出なかった。


 神獣殺しによって昏睡状態だった侯爵も、数時間後には意識を取り戻すことができた。



「ターニャ!?」

「旦那様、お目覚めですか!!」

「ここは……ターニャは!? あの後どうなった!!」

「じ、実は……」


 目を覚ましたは良いものの、屋敷の中に娘と王子の姿がなかった。


 すぐ傍に居た使用人に聞けば、彼らはここを出る準備をしていたと言う。


 侯爵が慌てて屋敷の外へと出てみれば、シルヴィニアスがターニャを馬の後ろに乗せて、何処かへ向かおうとしているところであった。



「悪いが、もうお別れだ。僕たちはこの機会に、この国を出ることにした」

「――はっ?」


 侯爵は言葉の意味を理解できず、間の抜けた声を出した。



「僕はこの力を得た時に、神獣様の意思を感じたんだ」

「神獣様の……ご意思ですか?」


 その現場を見ていなかった侯爵には、なんのことか分からない。シルヴィニアスは彼に先ほど自分が神獣人として目覚めたことを説明した。



「かつての神獣様が護りたかったのは、自分の血なんかじゃない。愛した人や家族だ。国を作ったのも、こうして家族同士で殺し合いをさせるためでも無かったんだよ」

「それは……」

「年々、神獣様の血に宿る力が小さくなったのも、恐らくはそのせいさ。この国にはもう、王家に神獣の血は不要となりつつある」


 神のように崇められ、羨望の眼差しを向けられている神獣人。


 だがその血を巡って争いが起きるキッカケとなるのは、神獣としても望む未来では無かった。



「このまま国に残っても、いずれ僕たちは狙われ、いつかは殺されてしまうだろう。だから僕たちは、どこか辺境の地で静かに暮らすことにした。……だから、侯爵。義理の息子の、最後の願いをどうか聞いてやって欲しい」

「は……願い、ですか……?」


 馬上の美しい銀の貴公子は、侯爵の瞳を真っ直ぐに見て頷いた。



「そう、これは命令ではなく、あくまでも僕からのお願いだ。……僕は、この襲撃で死んだことにしてほしい。逃げる時間をできるだけ稼ぎたいんだ」

「ああ……そう、いうことですか」

「ふふ。うん、そういうことなんだ」


 シルヴィニアスの言葉の意味を考え、侯爵は合点がいった。


 侯爵家がシルヴィニアスを騙して、ターニャを押し付けたことは不問にする。その代わりに、自分たちを見逃してくれ。要約すれば、つまりはそういうことなのだろう。


 シルヴィニアスを死んだことにすれば、本物のミーアが本命の相手と再び婚約できるかもしれない。後継ぎのいない侯爵家としても、そうなればメリットとなる。


 ……というより、侯爵にシルヴィニアスの願いを断るなんて、できるはずもないのだが。



「――分かりました。王家にはそう報告致します」

「頼んだよ、義父上。それと、これは助言として受け取ってほしいんだけど……」


 後ろにいるターニャを一瞬だけ見た後、少し悲しげな表情で言葉を続ける。



「人とは、いずれ変わってしまう生き物だって今回の事で良く分かったよ。たとえそれが、本人が望んではいなくともね。義父上が持っているその家族への愛が、偽りへと変わらぬよう……くれぐれも気を付けてほしい」


 彼のセリフは、誰を思い浮かべての発言だったのだろうか。


 ともかく、侯爵はその言葉の意味を深く胸に刻み込んだ。



「……では、お元気で」

「お父様、今までありがとうございました……」


 美しい毛並みの白馬にターニャを乗せ、二人は風のように去っていった。






 ――数週間後。


 聖地の先にある古びた小さな家に、ターニャとシルヴィニアスの姿があった。


 あの襲撃の後は追手が来ることも無く、初代国王と神獣が出逢った地でこうして平穏に暮らせていた。



「どうやら君の父上は、僕との約束を守ってくれたようだ。まぁ、彼は嘘を言わなかったけど……ターニャは本当に愛されていたんだね」


 神獣人の鋭い嗅覚や聴覚は、人間の匂いをただ嗅ぎ分けるだけでは無かった。


 悪意があるか、嘘を吐いていないかといった、感情的な部分も分かるのだ。


 おそらく、発汗や脈拍、フェロモンといった様々な要素から判断できるのだろう。



 それは王子の家族しか知らない、シルヴィニアスの秘密だった。


 だからこそ彼らは、シルヴィニアスを恐れてしまった。自分が(よこしま)な感情を持っていることがバレる前に、彼を亡き者にしようとしたのだろう。



「シルヴィは本当に……私が妻で良かったのですか?」

「もう、まだ言っているのかい? 元より僕はキミを妻に迎えるつもりだったと、あれから何度も伝えたじゃないか」



 ベッドの上で布団にくるまった状態の二人は、そんな惚気(のろけ)話をしていた。


 彼はあの戦いで瀕死になった時にターニャが口にした、シルヴィという愛称が気に入り、それからずっと彼女にはそう呼んでもらっている。



「どうして? シルヴィニアス様は、あのパーティでミーアお姉様に一目惚れしたのでは?」

「あはは、僕がいつ彼女に一目惚れをしたって言った? 僕が最初に恋をしたのはターニャ、キミにだよ」


 ミーアとの婚約は父である国王の独断だ。


 自分に興味を示さない彼女を珍しいとは思ったが、好きだと感じてはいなかった。



 一方で次期国王や神獣人といった肩書きに(とらわ)われず、等身大の自分を見てくれたターニャには本気で惚れていた。


 だから迎えに行った時の覚悟は紛れもなく本物だった。侯爵が何と言おうと、必ずターニャを妻として連れ帰ると心に決めていたのだから。



 この五年間で、嘘や悪意に染まらず育まれた愛情は。


 人間不信にならず、あの心静かに過ごしたかけがえのない時間は。



 シルヴィニアスにとって、それらは紛れもない真実の愛だったのだ。



「分かりました。信じます」

「いいの? もしかしたら、僕の吐いた嘘かもしれないよ?」


 シルヴィニアスが意地悪な口調でそう言うが、ターニャは怒ることもなくクスクスと微笑んだ。



「大丈夫です。私は神獣人じゃないですけれど……好きな人の考えていることは、手に取るように分かっちゃうんですからね?」

「……なら、僕がこれからしようとしてることもバレバレだったのかな?」

「もうっ……」


 ターニャが開きかけた口を、シルヴィニアスが強引に塞ぐ。


 この調子では、二人の間に結ばれた絆が(ほど)けることは無いだろう。




 ――事実。ターニャとシルヴィニアスは誰にも邪魔されることなく、この地に自分たちだけの国を築いた。


 そして少しずつ家族を増やしながら、いつまでも楽しく、心安らかに暮らしたそうだ。







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― 新着の感想 ―
[一言] ここの王家はもうダメだな!(笑)
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