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カフェで〇〇相談を...

「ゼェ...ゼェ...疲れた...」

「.................」


 先に行った(逃げた)俺は、猛ダッシュをしてカフェについた。街中で全力疾走したので周りの人から視線を集めていたが、非常事態だったので気にしない気にしない。そして―――


「マティルドお前...ゼェ...大丈夫か?」

「................」

「あっ大丈夫じゃないやつだこれ」


 今マティルドの魂は体から抜けていた。いや、まさか後ろから同じく走りながら追いかけてくるとは思わなかった。ある意味街中での追いかけっこみたいだけど,,,,振り向いたときに見たのは、獲物を食い殺さんと言わんばかりの捕食者の目をしていたけどね。あっうつろな目に色が戻ってきた。


「だ...大丈夫ですか?」

「.........」

「あのー...無言で睨むの止めません?」


 思わず敬語に戻っちゃたよ!いやマティルドが追いかけてるのを見てスピードを上げた俺が悪いんだけどね...


「...大丈夫じゃないわよ!相談に乗ってもらうためにマラソンなんかしなくてはならないの?!」

「ですよねー」

「まさか本当にカフェまで逃げるとは思わなかったわ!しかも連れに女子がいるのに一人でほったらかすって、信じられない!」

「グハッ!」


 今、俺の心に何かクリティカルヒット気がする。地味に痛い...確かにあそこでマティルドを一人にさせたのは悪手だったな...ナンパに合うかもしれないし...最悪あの用紙だから知らない黒いスーツを着た人たちに誘拐......はっ、またネガチブ思考にになっていた...危ない危ない...とりあえず―――


「全力疾走してごめんなさい!」


 腰を90度曲げて、全力で謝ろう!こういう時は、全力で謝った方が絶対にいい、というか俺が100パー悪い。


「ちょ、ちょっと街中で頭なんて下げないでよ。まるで私が悪い人みたいじゃない」

「自分の誠意を証明するためにはこれしか思いつかなかったので」

「走って疲れたけど、そんなことで怒るほど、私は器の小さい人間じゃないわよ。文句は言うけどね...」


 よっしゃ許してくれたぜ!やはり俺には日本人の血が流れているということだな。自分に非があるとすぐ腰が低くなる!...あれ...自分で言っていて目から汗が...


「文句ぐらいはどうっていうことはありまs...ないよ。とりあえずずっと外にいないでそろそろ中に入ろうか、呼吸も整ってきたし」

「そうね。走ったから喉も乾いたし、行きましょう」


 俺とマティルドが行くカフェは、フランスにはよくあるレンガ調の素材を用いた外装の建物であり、入り口の横あたりにパラソル付きのテラス席が数脚あるところだ。今回はあまり人に聞かれたくないということで中で話をするけどね。内装は木製であり、天井には控えめの赤色のペンダントライトがあった。中に入ってから左にはカウンターがあってそこで、注文をしてから席に着くのだろう。


「なんだかとても落ち着く場所ですね」

「淵君はカフェに来たことないって言ってたから新鮮でしょ?」

「そうですね...」


 俺みたいに学校行く以外外でない人にとっては、こういう大人の空間は新鮮というか珍しいかな。後落ち着かない。


「じゃあ注文するけど何が欲しい?」

「マティルドに払わせるのは悪いですよ、自分のはちゃんと払います」

「いいのよ、相談の前払いみたいなものだから」


 ここは俺が奢らなくてはいけないんだけど...それを言われたらできないなー。ここは彼女の誠意を受け取っておこう。


「.......わかりました。じゃあエクスプレッソのブラックをMサイズでお願いします」

「おーコーヒーなんて飲めたんだ。凄いね、私はあれ苦くて飲めないんだよ」

「別に飲めなくて悪いっていうことでありませんし、お気になさらないでください」

「そうよね、好みは人それぞれだし。じゃあ注文するわね、『こんにちわーアールグレイのSサイズとエクスプレッソのブラックをMサイズでくださーい』」

「かしこまりました。合計3.90ユーロ(約450円)になります」


 地味に高いな。あれだな、場所によって全く同じものなのに値段が違うやつだ。あっちも商売だから、とやかく言う気はないけど。


「アールグレイのSサイズとエクスプレッソのブラックMサイズをどうぞ。熱いのでお気を付けください」

「ありがとうございます!」

「,,,ありがとう...ございます...(ボソッ)」

「いや声小さいすぎるでしょ!ここまでコミュ障だとは思わなかったわよ。」

「ほっといてください!」


 ただでさえ、マティルドと一緒にいるときタメ語を使うのに神経を使っているのに、これにさっきの店員さん+他のお客さんを追加されると強制的に敬語に逆戻り。...もう彼女の相談以外ではずっと敬語でいよう。

 そんなことを考えながら、俺とマティルドは二階にある隅っこの席に座った。


「もう多分察しがついたのと思うけど、私があなたに接触した理由は恋愛についてよ淵君、それとも今はジェントルメイデンと呼ぶべきかしら?」

「ジェントルメイデンは本当にやめてほしいけど、この時だけは許可しよう」

「敬語はもういいいの?」

「いいんだよ、時間が惜しい。さぁ、始めようか俺たちの《《恋愛相談》》を―――

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