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恋のキューピッド?

処女作ですので、悪いところが多々あった場合ごめんなさい。


 とある家の昼飯の食卓。


「そんで、お前はいつになったら彼女を作る気になるのかな?」


 あまりにも唐突な問いに思わず口に含んでいた水を目の前の出題者に噴出すところを耐えて目の前にいる彼に自分は問い返す。


「ゲホッゴホッ........いきなり何なんだよ?」

「いや~悪い悪い、淵がこの手の話題に弱かったの忘れてたわ」


 とニヤニヤしながら返してくる金髪のイケメン、サーシャは全く反省していない様子である。


「いや、まぁほら俺も最近彼女出来たじゃん」

「ソウダネーヨカッタネー」


 サーシャに彼女が出来たおかげで(せいで)滲み出る幸せオーラにあてられて思わず棒読みで返した黒髪黒目の少年、黒曜淵こくようえんはそのまま自分の昼飯を平らげてサーシャに問う。


「そんで、そのリア充金髪イケメン君は何が言いたいのかな?」

「いやそれ単なる誉め言葉じゃん...」

「う......うるさいなー。それより話が進まないからさっさと要件を言ってくれ」


 ぶっきらぼうに返した俺に苦笑しながらサーシャが語り始めた。


「いやほら、俺が彼女を作れたのって大部分が淵のおかげじゃん」

「大袈裟だろ、俺はただ単に恋愛相談に乗っただけだ」

「恋愛相談ね~。俺にはあれは恋愛相談ではなく彼女の攻略法を直接言い渡された気がするんだけど」

「......お前がそう思っているだけだろう、俺はただ相談という面倒なことに受け答えていただけだ」

「ふーん、まあそういうことにしておいてやるよ。っととまた脱線するところだった。要はさ、俺は今彼女が出来てとても幸せな状態なんだよ」

「だろうな」


 だって彼女の惚気話をしているサーシャはいつもと違ってピンク色のオーラを纏っているからな。


「でさその幸せを与えてくれた淵にもその幸せを味わってもらいたいんだよ」

「言い方が気持ち悪いぞーっていうか与えてもらったは言いすぎだ、お前が告白して了承してもらったんだから全部お前の努力の成果だろ」

「告白したのは俺だけど、そこに至るまでのレールを敷いてくれたのは淵だろ、だからせめてもの恩返しに好きな子がいるなら手伝ってやろうかと思って聞いたんだよ」

「......ハァ…」


 俺は溜息をしながら天を仰いだ。正直に言うと、サーシャの協力的な姿勢は一般人から見たらとても真面目な子が恩返しのために手を貸そうとしているように見えるが、幼馴染の俺には別物に見えた。


「サーシャ......」

「なんだ?」

「真剣な顔をしているのはいいが、目が笑っているぞ」

「....おっとバレてしまったか、さっすが~十年来の幼馴染」

「どうせ俺に好きな子がいたらその話題でイジリ倒そうとかでも思っていたんだろう、この腹黒め」

「お褒め下さり光栄でございます」

「誉めてねーわ!」


 後ろにスパーンという効果音が付きそうなツッコミで話がある程度終わったところでサーシャの皿を見つめる。


「ん?俺の昼飯がどうした?」

「いや随分量が残ってるなーと」

「???それがどうしたんだ?」


 はてな顔で問いかけたサーシャに俺はにやりとした表情で彼の後ろにある時計を指さして言い放つ、


「頑張れよ!」


 時刻は13時50分、休日ならば少し遅い昼食と言われるだろうが今日は《《平日》》なのだ、ちゃんと午後の授業があるのだ。そしてその授業が始まる予鈴が鳴るのは14時05分、あと残り僅か15分。徒歩で学校に戻るため余裕をもっていつもならこの時間に行くのだが、今日のサーシャは喋りすぎた。俺の弱点を見つけ出そうとして時間が過ぎるのを見ていなかった。要は完全な自業自得である。


「というわけで、どっかの馬鹿が時間配分をちゃんと行わなかったせいで遅刻することをボワセ先生に報告しとくからなー」


 そう言い放った途端、サーシャの顔はみるみる青白くなっていった。


「お...おい冗談だろ...あの鬼みたいに怖いボワセ先生に言わねーよな?」

「マジマジ、まー奇跡的にその量を食べ終われば逃れられるからファイトー」

「いや......無理だろこんな量しかも残り5分って!」

「さっき俺に苦手な話題を吹っ掛けた天罰だよ、さー喋る暇があるなら食え食え」

「っ!............いいぜやってやんよ胃もたれ上等!全部食って絶対予鈴に間に合ってやる」

「そっか、んじゃ学校で待ってるぜー」


 俺も遅刻したくないので早々に幼馴染を見捨てて家を出た。そして残されたサーシャはというと、


「全くあの野郎本当に見捨てやがって」


 だが彼は《《知っていた》》、本当に手を差し伸べてほしい時、淵はいつも現れってくれるってことを。


「ちょっとはふざけていたけど、恩返ししたいことはは嘘じゃないのになー」


 そう呟いて彼は、


「全く気難しいこったうちの、いや《《皆》》の恋のキューピッド様は!」


 と言い放って家を出た。


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