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28.どうしてこうなった

 聖魔法には呪いを解く解呪の魔法や、失われた四肢さえも繋げてしまうハイ・ヒールなんて魔法があるが病気に対しては対処療法しかないんだ。

 体力を付けさせる、痛みを和らげる……なんてことはできるが本人の自然治癒力に任せる他はない。

 もし聖魔法で病気を癒すことができたのなら、俺がここに召喚されることもなかっただろうし……。アリシアは病を患っていると聞いた。

 だから、俺を呼んだと。

 時間の止まった今ならば、アリシアの病気の進行も同じく停止しているはずだ。だけど、彼女の時間を動かすことができたとしたら、今度は病気の問題が露見する。

 

 っと。今はニクだ。アリシアのことを振り返っていても仕方ない。

 

「モニカ。アンゴラネズミって、それほどマイナーなペットじゃないんだよな?」

「はい」

「それなら、隣の村に行かないか? 獣医さんくらいいるだろ」

「ですが……それは……」


 モニカが小さく横に首を振る。

 

「お金なら心配いらない。宝石や貴金属を持っている。ニクの薬代と診療費くらいなら余裕だ」


 持っているというよりは、聖女装備の一つとしていろいろ持たされていたんだよ。


「ダ、ダメです。もし行くにしてもわたしだけで」

「それはダメだ。モニカが俺と一緒にここで暮らすと言ってくれた。現にそうしてくれている。だから、村に行くにしても一緒じゃないとダメだ」

「ソウシ様はわたしには計り知れないほどの努力を積み重ね、聖女としての役割を終えたのです。村へ出ては元聖女として」

「それなんだが、俺に案がある」


 正直このままでも髪色と声でバレやしないと思うんだがな。


「ちょっと待ってて」


 二階にあがり、荷物部屋からハサミを持ちすぐに戻って来る。

 

「ハサミで何を。まさか、その美しい黒髪を切ろうなどと言うのですか?」

「うん、髪の毛を男っぽく短髪にしてしまえば、誰も聖女だと思わないさ」

「そ、それは……いけません」

「もう聖女としての役割も済んだんだしさ」

「わ、分かりました。ですが、髪はわたしに切らせて頂けますか?」


 お、おお。

 髪の毛は以前から切ろう切ろうと思っていたんだけど、モニカが悲しむかなあと思って躊躇していたんだよな。


「もう一つございます。わたしにソウシ様のコーディネートを任せて頂けますか? あの魔道具はまだお持ちなんですよね?」

「持っているけど……」


 変異の魔道具は確かに保管している。

 ベルンハルトが万が一の時のために持っておけというから。

 

「変異の魔道具は何もアリシア様の髪色と目の色を真似るだけではないのですよ」

「そ、そうなのか!」


 そいつはいい情報を聞いたぞ。


「ソウシ様が髪を切り、そのままのお姿で村に行ったとします」

「うん」

「すると必ずソウシ様の神々しいオーラが噂になります。すると、ここに誰かが訪れるかもしれません」

「そうなのか……」

「ですので、ここにいるソウシ様と別人だと思わせれば良いのです。探していた人とは違う、となれば村を訪れたソウシ様ではないと思ってもらえるでしょう」

「で、でもそれって、結局ここに来た人は俺のことを神々しいと思うんだよな?」

「はい。それはそれでよいのです。その時は世捨て人の聖者と名乗れば、そうなのだと理解してくれます」


 ちょっと整理が追いつかない。

 俺だと分からないように変装してハッキリと顔を見せたとしよう。

 すると、隣村を訪れた俺とここにいる俺は別人だと隣村の人には認識される。

 隣村に訪れた俺を探しにここに隣村の人が訪れる可能性があるかもしれない。

 ここまではいい。だけど、この先が分からない。


「世捨て人の聖者と名乗ったら、どうなるの?」

「それ以上詮索しに人は来なくなる可能性が非常に高いです」

「え、えっと……」

「俗世と離れて僻地で生活している偉人は、こう……人との接触を嫌うのです」

「そういうことか」


 意味がやっと分かった。

 人きらいの力を持つ魔法使いに興味本位で近づこうとする人はそうそういないだろう。

 村を訪れた俺を別の人だと思っている隣村の人に、世捨て人だと警告することで来なくしようってことか。

 なるほど。理解した。

 

「分かった。モニカに変装を任せるよ。ちゃんと顔を見せた方がいいだろうから、頼むぜ」

「お任せください」


 随分力がこもった返事だなあ……一抹の不安を感じながらも彼女に全て任せることにした。

 

 ◇◇◇

 

「えっと、モニカ……」

「目を閉じていてくださいね」


 いや、あのお。

 何でお化粧をするのかな?

 よく分からないんだけど……。

 髪の毛も確かに切ってくれたよ。ロングがセミロングになるくらいにはさ。

 で、サイドテールにされたんだが……。

 

 あれよあれよという間に化粧が終わり、今度はモニカが服を持ってきた。

 うん、薄々感じていたよ。こうなるんじゃないかってことは。

 

「それ、モニカの服だよね?」

「違います。ソウシ様の体格に合う服です」


 どこをどう見てもスカートなんだけど! それも丈が短い。

 俺にこれを着ろというのか。今まで女装はしてきたが、ずっと聖女用の聖衣だぞ。足元まで覆う静粛な。

 それが、どうだこれは。

 冒険者用というのか旅装といったらいいのか……静かで粛々とした雰囲気とは真逆の活動的で狩りにでも行けるような衣装だ。

 

「これ着るの?」

「はい。こういう時もあるかと思い、準備してまいりました」


 モニカの持ってきた服なんてチェックもしていなかったよ。まさかこんなものを準備していたなんて。

 「ささ」と衣装を抱え、俺に差し出してくるモニカにいっそこのまま断ってやろうと思うが、「任せる」と言ったのは俺だ。

 仕方ない。

 白いシャツのようにボタンがついた裾の長い服はワンピースのように見えて、そうじゃない。

 裾が少しヒラヒラしていて……膝上10センチくらいまでの丈になる。

 その上から中央が交差した紐になっていて胸辺りから腰までを覆う紺色のレザーを装着。ゴムがないから前を紐で結ぶってわけかな。

 紐付きの靴みたいに。

 こげ茶色のブーツの下には白のニーハイソックスを履いていて、ブーツの高さは膝下くらい、と細かいところまでモニカの拘りが行き届いている。

 

「こ、これでいいんだろ」

「すごく、お似合いです。あとはこれを」


 変異の魔道具を渡される。

 

「ん?」

「そのまま魔力を込めるだけで髪と目の色、声が変わります」

「調整してくれたんだな」

「はい。元に戻すのもお任せください」


 仕事が異常に早い。

 できるメイドはこういう時でも早かった。

 

 こうなりゃもうやけだ。やるところまでやってやる。

 変異の魔道具を首からかけ、魔力を込める。

 すると、髪の毛の色が鮮やかな赤色に変わった。

 

「目も赤色かな?」

「はい。ご認識の通りです。鏡が無いのが口惜しいです。きっとソウシ様も気に入って頂けると確信しております」


 いや、鏡なんて見たらひっくり返るよ。

 声もちゃんと変わっているし。アリシアでもモニカでもない別の女子の声にさ。

 これモデルの声は誰なんだろう。フェリシアでもないのかな。

 

「その声はわたしの姉の声をイメージしています。できればアリシア様の声がよかったのですが……」

「あ、うん。モニカも着替えるの? この格好とメイド服じゃあ、合わなくない?」

「大丈夫です。わたしはソウシ様のメイドですから」


 意味が分からん。ま、まあ、コーディネートしたモニカが言うのだから大丈夫だろ。

 


よろしくお願いします!

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こちらも間もなく完結となります。

ぜひぜひチラ見していってください!

・タイトル

最強ハウジングアプリで快適異世界生活

・あらすじ

異世界の戦場に転移してしまった主人公がど真ん中にハウジングアプリというチートを使って誰も侵入できない無敵の家を作って戦争を止めたり、村作りをしていくお話しです。

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― 新着の感想 ―
[一言] いくらソウジが変装しても一緒にいるモニカがいつもと同じ格好でいればそこから疑問を抱かれてしまうのでは……
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