#11
扉を開けた?(切り裂いた)先には半径500メートル高さ50メートルほどの円形の闘技場があった。ただナーガと戦った所と違う点は大きな岩が転々とあるぐらいだ。
中心に高さ3メートル、ほどの黄金色の人型のゴーレムが俯いていた。その周りに一回り小さな様々な色の金属で出来たゴーレムも待機していた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「んー、なんか期待外れ…なんで人形なんて相手にしなきゃいけないんだ…」
そう小言を言いつつも、迷いなく中心に向かい歩いて行くのは流石である。
優たちが、中心にある黄金色のゴーレムの約10メートルまで近づいた時のことだった。
突然ゴーレムの目が紫色に光ったと思ったら、黄金色のゴーレムを始めとし、周りのゴーレムを目から怪しい光を発しなら動き始めた。
このことをまるで「分かってました」とでも言わんばかりに、優は2匹の龍を本来のサイズに戻した。
本人曰く「だってゲームでも定番やん」だそうだ。
「優と俺が前衛をやるから、ミオは後方支援と周りのちっこいの粗方叩きのめしてくれ。優はシラユリとヤシャをミオの護衛と援護に回してくれ。」
「んー、翔ー!真ん中のやつ殺っちゃっていい?新しいスキルを試してみたいし。」
言わずもがな優は戦闘狂である。
「やってもいいけど、こっちに被害出すなよ!」
「分かってるから、心配すんなって!」
「こっちに被害出たらあとでお説教ね。」
……ミオさんのお説教が1番怖いです…
「あ、はい」
『私(我)もミオのお説教は勘弁ねぇ(だ)』
ちょっとした小話を挟んでいるその間に、黄金色のゴーレムが砲弾の様なスピードでこちらに突っ込んできた。
それを何事も無かったかのように、躱す翔とミオではあるが、優はその場から動かない。なお、シラユリとヤシャは小話をしている間に取り巻きのゴーレムを処理してるようだ。
傍から見たら、一瞬優の体を可視化出来るほど膨大な魔力が包み込んだと思った直後には右には光すらも飲み飲むような漆黒、左には神々しいオーラを発する白銀の龍翼を背中に生やし、瞳の色が金色に染まり、右肩から先が漆黒と白銀のオーラをお互いに相殺させることなく纏わせている優の姿があった。
そして優に向かい黄金色の塊が衝突した。
「はぁっ!………」
凄まじいスピードで向かってくるゴーレムに対して優はオーラを纏った右手で相手の腕に当たる部分を掴んだ。
その場でバキッと音を立てて、黄金色のゴーレムの腕が砕けた。
「へー、これが【龍神化】かぁ…すごいな。でも全身を龍神化させたら、さすがにヤバそうだ…主に制御が難しい。」
そのようなことを呟いてる間に黄金色のゴーレム(以後フロアボスと呼ぶ)の方から先が細く伸び、砕かれた腕と繋がり元の状態に戻ってしまった。
「優っ!少しそこどけ!」
「りょーかーい」
そんな軽い返事を返しながら上空に優が後退した。
それと同時に殆どの人が捉えることすら叶わないほどのスピードで翔が切りかかってきた。もちろん剣には当然のように灼熱地獄が付与されていた。
「燃えちまえっ!」
この前のオーガラミアの時に比べて比にならないほどの爆炎がフロアボスを包み込んだ。その余波だけで近くにいた取り巻きのゴーレム数体がHPが0になりコアが砕け散り機能を停止した。
なお、優は上空に逃げたため熱をモロに浴びていた。
「ちょっと、翔もう少し考えて魔法付与しろ!上空に俺がいるのに炎系統の魔法を使うな!」
「いや、上空に逃げるとは思わんし……」
普通に考えれば翔の判断は正しかったのだが、流石の翔でも上空に退避するなど思ってもみなかっただろう。
翔の攻撃で真っ赤に染まったフロアボスに追い討ちのようにミオの水魔法が直撃する。
急激に温度が下がった為か、フロアボスの表面に数え切れないほどの亀裂が走った。
その隙を見逃す優では無かった。いや、普段の優なら見逃していたかもしれないが、今の優は目も龍神化している。それこそ見ている世界が違うのだ。
「我が求むは凍結なり 我が魔力を糧にここへ永遠に等しい眠りを還元せよ【永遠凍棺】」
フロアボスを万物をも凍りつかせるほどの地球では考えられないほどの冷気が覆い、あっという間にフロアボスを閉じ込めるように巨大な氷の棺が完成した。
なお優が使った魔法は禁呪に分類される第10階級魔法以上の魔法である、氷系統魔法の最上位魔法のひとつである、第11階級魔法の【永遠凍棺】である。
「シラユリ、ヤシャあれを砕け」
いや俺の力じゃ無理だからね…体格的に
『あの氷でいいのねぇ?』
「おう、頼む」
優に頼まれたシラユリとヤシャは交互に前脚や尻尾を使い極限の状態まで冷却されたフロアボスを砕いていく。そして人間で言う所の心臓がある位置が砕け、紫色の魔石と銀色のゴーレムコアが出てきた。
それを翔が投げつけた安物の短剣が半分に砕く。
そしてフロアボスの眼光が消え、タダの金属塊になった。
しかし、優はまだ龍神化を解かなかった。なぜかというと優の眼にはまだ金属塊から発せられる異様なオーラが見えていたのだ。
「翔、ミオ、まだ油断するな!」
下で成し遂げた感を出している翔とミオに注意を促す。2人からしたら「はぁ?」と言った感じだろう。
そしてフロアボスのちょうどキン〇マのあたりが銀色と紫色が混じったような光が漏れだし、周りにいたゴーレムを引き寄せ、吸収していき最終的にはグリフォンの様な姿になった。