旅の相棒3
とりあえず街道まで出てきた。なかなかしっかりした街道で車2台分の幅がありそうだ…というのは良いが…どちらに行けば街があるのだろうか?
どんどん暗くなっていく空を見つめながら「うーん…」と悩んでいると遠くの方でガラガラと何かを転がすような音がしてきた。
馬車だろうか?遠くに馬が見えてきてだんだんこちらに近づいてくる。とりあえず通行の邪魔にならないよう端に避けておくことにした。
じっとそちらを見ていると大きな馬2頭立ての馬車がやってきた、御者台に乗った恰幅の良いオジサンがこちらを見て驚いた顔をしたまま通りずぎて行く。
とりあえず同じ方向に行けば人の住む街くらいあるだろう。
「ジュノ、おいで」
俺の横にちょこんと座っていたジュノを抱き上げて馬車の方を向くと少し先で馬車が停止し、荷台から真っ赤な鎧をつけた騎士が降りてきていた。腰に長剣を下げ手を添えている。え?切られる??
ガシャガシャと重そうな音を立てながら騎士はこちらに歩いてくる。ちょっとでかくて怖い。いや俺が小さいだけなんだろうが…。
「…君、こんな時間にこんな場所で何をしている?」
おや?女性だろうか?顔を隠している兜で顔は見えないがどうやらこの騎士、女性のようだ。
「あ、えっと…私は街に行きたいのですが、方角はこちらであっていますか?」
なるべく丁寧に答える。少し不安だったが言葉がわかるのはこの体の元の持ち主である少年のおかげだとすんなり理解できた。
「……」
全身赤鎧の女性は黙ったまま剣とは反対側の腰に下げた袋から小さな輪っかを取り出し、目元に当てた。その輪っかはぼんやり青く光っているように見える。なんだろう?
「あの…?」
沈黙がつらすぎて声を掛けるとやっと動いた。
「すまない、こんな街から離れた場所に君のような少年がいたので暴きの輪で見させてもらった」
赤鎧さんは手に持った輪っかをひらひらさせて近づいてきた。
「暴きの輪?」
なんかどっかで聞いたなと思いながら首を傾げると、赤鎧さんは兜の前を上に開けて不思議そうな顔をした。キレイな青い目が印象的な美人さんだ。年齢は20くらいだろうか?
「なんだ?暴きの輪を知らないのか?」
「はい」
まぁあとでゆっくり教えてやろう。そう言って赤鎧さんは俺の手を取るかと思ったらそのまま抱きかかえられてしまった。
「うわっ!重たいですよ!歩けますよ!」
抱き上げられてグンと視界が上がる、はっきり言ってめっちゃ怖い。落ちそう。降ろしてくれるように言ったが赤鎧さんは、あっはっは!軽い軽い!と笑いながら歩き始めてしまい、そのままポイッと馬車の荷台に放り込まえてしまった。
コロコロっと2回転くらいして止まった、というか何かにぶつかって止まった。
「あらあら、まぁまぁ…大丈夫かしらぁ??」
頭上から優しく柔らかい声がした。
「いてて…はい、なんとか大丈夫です」
ジュノを潰さないように抱いていたせいで、あちこちぶつけてしまった肘や肩が少し痛いが、大きな怪我もなく問題ない。
顔を上げると、俺は白っぽいローブを着た女性に支えられていた。ぶつかったのはこの人だったようだ。
パッパッと手で俺の服についた砂埃をはらって、更にはローブの袖の部分で頬まで拭おうとしてくれた。
「わっ!大丈夫です!きれいなお召し物が汚れてしまいます!」
危ない危ない、せっかくきれいな服なのにな。
俺は白ローブさんの手を制する。
「ジュノ、お願い」
ニャンと小さい鳴き声とともに顔周りのザラザラが水に流される。
「どうです?汚れは落ちたでしょうか?」
「「 ……… 」」
にっこり笑って見たのだが返事がない…ただの…あれ??




