おっぱい様はオパール様2
「なっ…貴様、喜んでおるのか??変わったヤツじゃのう…」
おっぱい様…もといオパール様は呆れた顔で俺を見下ろしている。
「当たり前じゃないですか、俺の住んでいた所では異世界転移、転生は人類の憧れですよ!」
「っ!?まさか…!転移転生は神々しか知らぬことぞ?お主等のような渺たる存在が知っているとは思えぬ…」
「あ、実際に転生転移をした人がいるわけじゃないですよ、そうなれたら良いなっていう思いが強くて、そういう物語が人気ってことです」
「そ、そうか、物語か…ならば良いのじゃ」
オパール様はホッとしたような顔で微笑んだ、さっきまでガミガミ言って怖い顔してたけど、笑うと美女と言うより美少女だ。巨乳美少女…良い。
「転生させるとは言うたが…お主は天命を全うしていない不完全な魂じゃ、転生は出来ぬ。肉体も時間が経ちすぎているし…転移も難しいのう…」
暫くの間、うーんと唸っていたオパール様がハッとした顔になり、ちと待てよ…、と何処からともなく現れたメロンくらいのサイズの水晶玉を覗き込んだ。
「うーむ…ちょうど良いのが居らぬのう………ちがう…可愛くない…ちょっと年増じゃ……」
ぶつぶつ言いながらどれくらいの時間が経っただろう、数分だった気もするし、数日経ったと言われればそんな気もする、不思議な感覚だった。
「ぴったりじゃ!」
オパール様の嬉しそうな声で顔をあげると、オパール様の胸に抱かれるように幼い少年がいた。羨ましい。ナニがとはあえて言うまい。
「この子は妾の管理する世界で命を落とした少年じゃ、別世界に呼ばれる予定もなく、魂もない」
「魂がない?死んでるのか…?」
ただ眠っているだけに見える少年。血色も良く、今にも瞼を開けて動き出しそうだが…魂がないと言うことは死んでいると言うことだろう。
「うむ、妾の世界には正体が分からぬ魔王が居ってな、生者の魂を喰らうのじゃ。そうすると魂は輪廻転生召喚の環に戻れぬ、肉体は動く屍となり、さ迷い続け、浄化もしくは骨まで灰にされて漸く生を完全に終える」
「じゃあ、その魂は消えてしまうのですか?」
何だか可哀想だなと思う
「この世はそれぞれの世界に魂の数が決まっておってな、普通に死ねばやがて生まれ変わる…だが魔王に食われてしまうと新たに生まれるのに時間がかかるのだ。ここ数年で魔王が魂を食い荒らしておって、妾の世界が荒れておる…」
なるほど、と思ったのと同時に浮かぶ疑問があった
「神様なんだから自分の世界の魔王なんて排除できるんじゃないですか?」
オパール様はムッとして俺を睨んだ
「神とは創造し、見守る存在。自分の創造した世界とて自身では介入できぬのじゃ!そんなことも知らぬのか!」
知るはずがない。
いとおしそうに少年の頬を撫でるオパール様は慈愛に満ち溢れ、女神様のようだ………あ、女神だった。
「で、だ。お主の魂をこの子の肉体に入れる」
「へぇ………………え?」
ふーんと聞いていたが、え?俺はこれからこの子供として生きていくってことか??
「その子の人生を俺が続けるってことか?」
「ちと違うな」
オパール様は少年の頬を撫で続けながら言う。
「この子の死は確定しておる、よって生き返る様なことはない、ただの器じゃ。この子の肉体を借りて、おぬしは妾の世界の新たな住人になる」
多少姿が変わるじゃろうな、と少し残念そうにオパール様が微笑んだ。
「え〜…もっと大人っていうか、男らしいカッチョいー感じの候補は無かったんですか?」
「………いや?おらなんだ」
…絶対いたな。
「つべこべ言うでない!!早くせぬと、お主はそのまま消えてしまうぞ?」
「消えたらどうなるんですか?」
「うーむ、輪廻の環に入れずに自我の無い物質に吸収されるか、消える前に魔王に見つかって喰われるか…?」
首を傾げなら言ってるが…もしかして詳しく知らないんじゃ…?
「まぁ、せっかく異世界に行けるチャンスだし、消えたくは無いです」
「!…そうじゃろそうじゃろ、じゃあこの子に入ってくれるかえ?」
あからさまにホッとしたな、このおっぱいめ。
「じゃあ、入ったら良い能力くれますか?」
「まぁ、おぬし次第じゃな…さぁ、早くこの少年の手を握るのじゃ」
オパール様は少年の白く小さな手を握り、俺に差し出す。
えーい、なるようになれだ!俺は両手で、その小さな手を包むように握った…
その途端、グラッと視界が揺れた、酷い目眩を起こしたような…そんな感じだろうか、そして俺は意識を失ったのだった。