赤い子と白い子2
ニアによると、この村には宿屋というほどのちゃんとした宿泊施設はないらしく、村長の家に泊まるか、空き家を借りて泊まるか、村の外で野宿するかの3択だそうだ。
今日は運良く村長の家に部屋を借りれるそうなので、そこに1泊するらしい。街道沿いの村なのでまぁまぁ人が通るようで、他にも村に滞在する人が居れば野宿になることも多いのだとか。
村長の家や、村内の空き家に宿泊できるメリットは大きい、野盗やモンスターなどの被害を心配せずゆっくり眠れるし、場合によっては体を清める用のお湯ももらえ、更には食事も出してもらえる。まぁちゃんと対価は支払うそうだが。
荷台からそれぞれ小さめの手荷物をおろしている2人を見てハッとした。
「……どうしよう」
俺、お金なんて持ってないぞ…。
アワアワしながらポケットをまさぐっているとニアにポンと頭を撫でられた。
「子供が何を心配している、さぁおいで」
慈愛に満ちた表情でニアとカエラがそれぞれ手を繋いでくれ、村長の家に入る。
村長さんの奥さんが夕食を用意してくれるそうで、それまで部屋でお待ちくださいとお湯の入った桶と布を渡された。ニアがそれを抱え、俺達は2階に案内してもらった、御者のオジサンは奥の部屋に「ではまた後で…」と一人で入っていってしまった。え、オジサン!?俺はこっち?!
「ほら、おいで」
「いや!でも俺男だし!」
「雇い主と同じ部屋に泊まれるわけ無いでしょぉ」
なるほど…わかった、けど駄目だろぉ〜!!!
抵抗むなしく、俺はニアとカエラに引き摺られて行ってしまった…。
ニアは鎧を脱ぎ、カエラはローブを取って体を拭いている。
「はぁ〜お湯をもらえたのは良かったな、さっぱりするな」
「そうねぇ、でも髪がゴワゴワで気持ち悪いわぁ」
薄着の女性たちが目の前でキャッキャしている…俺はベッドの上で正座したまま硬直してしまている。目のやり場に困るのだが。
「ほら、ミツオミも拭いてやろう。脱ぎなさい」
ニアが早く脱ぎなさいと言いながら脱がせようとしてくる!やめて!えっち!!お嫁にいけなくなる!!
「だだだだだっ大丈夫!!!ジュノにキレイにしてもらうからっ!!!ジュノ!!」
急いでジュノにお願いする。ニャンとジュノが鳴いて、水の膜が俺を撫でるように出現し、あっという間に消えた。
ちなみに服も素肌もスキャンするように洗うイメージをしてるので服の下もキレイになっているはずである。
「本当に魔法じゃないわねぇ…服まですっかりキレイになってるしぃ、それにほら全然濡れてないわぁ」
カエラが興味深そうにジュノと俺を見ている、服を引っペがされなくて良かった…。子供が何を恥ずかしがるんだとニアは言うが心は大人なので、まぁ、その、うん…。
「それは私に試してもらうことは可能だろうか?」
ニアがワクワクした顔で言い出した。どうなんだろう?俺のイメージ次第なので出来るとは思うが。他人にしたこと無いので失敗しても怒らないでくださいと言うと、ニアは笑って、やってみろと胸を張った。オパール様ほどではないが良いおっぱいなので目のやり場に困る…。
「じゃあ、ジュノお願い」
ニャンと鳴き声とともに先ほどと同じような水の膜がニアを洗っていく。ニアは水に潜るときみたいに大きく息を吸って止めていた。そんなことしなくでも良いのに。たぶん。
終わりましたよと声を掛けると、プハッと息を吐いて目をぱちくりさせている。
「……すばらしい!」
目をキラキラさせてニアが自身の体をまさぐっている。
スンスンとタンクトップのような下着を嗅いでみたり、真っ赤な髪をサラサラ〜とCMのようになびかせてみたり。洗ったことでニアの髪は更に鮮やかな赤に見える。とてもきれいな赤髪だ。
続けてカエラもして欲しいというので同じように洗ってあげた。カエラのラベンダー色の髪も艶々でふわふわになりとても喜んでいた。ついでに鎧とローブも洗った。流石に傷は取れないがピカピカの新品のようになった。満足満足。
すごいすごいとキャッキャしていると、コンコンっとドアがノックされ食事の用意ができたと声がかけられた。
その途端、俺のお腹がくぅっと鳴ってしまった。そういえば何も食べていなかった。異世界での初めての食事!とても楽しみだ。