02 願い石
昼間。
私室にて、暇を持て余していたアスウェルの元に、休憩時間中の使用人の少女が やってきた。今日はカチューシャをしているようだった。
レミィ「アスウェルさんは、願い石って知ってますか」
アス「役に立つ知識か」
レミィ「知らないんですね」
ベッドに腰かけるアスウェル。
その前で何故か正座しているレミィが、願い石とやらの説明を始める。
レミィ「アスウェルさんは旅人さんですしね。願い石っていうのはウンディで流行っている、特別な石の名前なんです」
レミィ曰く、その石を持っていると、小さな幸せが運ばれてくるらしい。
具体的には洗濯物が乾くのが少しだけ速くなったり、
炒めものの火の通りがよくなったり、
……らしい。
レミィ「ということですごい石なんです。私も持ってるんですよ」
と、レミィは自慢げに親指の爪ほどの、透き通った緑の石を見せてくる。
レミィ「好きな色を持っているといいらしいんです」
ということは、レミィの好みは緑ということか。
カチューシャも、首元のリボンも緑であるので容易にその想像はついたが。
レミィ「きっと良い事がありますよ」
楽しそうにしているレミィ。
アスウェルはそれに対する正直な気持ちをそのまま伝えた。
アス「それは気のせいだ」