11 誕生日
ロウソクの立ったケーキを前に、レミィは笑顔の花を咲かせる。
レミィ「皆さん、ありがとうございます」
この屋敷にアスウェルが来て明日で一ヶ月になる。
今日、屋敷の一室、懇親会の行われた部屋で催されるのは少女の誕生日会だった。
やることは懇親会とさして変わらない。
アスウェルの立ち位置がレミィに変わっただけだ、祝いの言葉と誕生日プレゼントを渡しケーキを平らげる、その後の流れはほとんど同じだった。
酔い潰れる人間が続出する中、酒を誤飲しそうになって止めたかいもなくレミィは空気に酔い始めていた。
レミィ「うー……」
アス「どけ、暑苦しい」
レミィ「やですー……。すびー」
レミィにしがみつかれるアスウェル。
ただでさえ暑苦しい室内の中、さらに暑苦しい状況に陥った。
会の主人公そっちのけで盛り上がるこの場にもはや用はない。
アスウェルは少女の体に隠れて酔いつぶれていたネコモドキを回収してレミィを、少女の私室に運ぶことにした。
レミィ「すー、ふふふ……」
笑い声をもらすレミィだが、恐らく現在位置は夢の中だ、ベッドに寝かせておく。
部屋の中を見渡すと、机の上に男の人形が置いてあった。
アスウェルはその隣に檸檬色の髪をした人形を置いて退出した。
次の日の朝の騒々しさに思いをはせながら。




