4、シリウス様に会いました。2
シリウス様と出逢ってから、半年が過ぎました。
その間……
特に何もありませんでしたぁっ!
あぁ、何故でしょう……。私、凄くすっごーく頑張ったのに……
「姫様、あれは頑張ったと言えるのですか?」
城にある自身の部屋の中ベッドの上、幼子の様に足をジタバタさせながら転がりまわっていた私に、リリィが冷たい目を向けて来ました。
「頑張ったわよ〜」
「はぁ……。先月、姫様はシリウス様に会おうと帝国まで行きましたよね」
「えぇ」
「でも、途中で恥ずかしくなって引き返しましたよね」
あぁ、そんな事もあったわね
「やっとの事で会う約束を取り付けた時には、直前になって熱を出しましたよね」
………。
「挙げ句の果てに、彼方からお誘いがあったのに、恥ずかしいからと断りましたよねぇ」
「あぁもうやめてっ……私の失敗を掘り返さないでぇっ」
後悔してるんだからぁ……。
「はあぁぁぁ〜。姫様っていつもは頭が回るのに、シリウス様のことになると凄く馬鹿になりますよね」
「馬鹿って何よ馬鹿って……」
まったく……人聞きが悪い……。
「私、姫様には幸せになって欲しいんです」
「ん……。ありがと」
リリィが入れてくれた紅茶を口に含み、私は少し違和感を覚えました。
少し、ほんの少しだけ、いつもと味が違う。
紅茶に、何かが混ざっている様な……。
これは………………薬っ⁈
「リリィ、こりぇにゃにか混ざってにゃい……?」
……っ呂律が回らない。
段々、意識がまどろんで来て……。
私の意識はブラックアウトしました。
最後に見えたのは、何処か困った様なリリィの顔でした。
ーーーーーーーーーー
ゴツゴツとした、冷たく硬い感触。
「…………ん?此処って……」
私は、石畳の無機質な小部屋に連れてこられたようです。
目を覚まし、真っ先に視界に飛び込んで来たのは、綺麗な黒髪。
私がずっと会いたいと思っていた、シリウス様その人でした。
なんでこんな所にシリウス様が……。
「ふぅ……」
落ち着きなさい、私。
こういった時は、まず落ち着いて情報収集するのが一番よ。
まず、天井付近にある窓から入って来るのは月明かり。
私が眠らされてからかなりの時間が経っているはず。
窓には鉄格子がはめられている上、かなり高い所にあるから、そこからの脱出な不可能。
次にドア。かなり分厚く鉄製のドアで、鍵がかかっている。
ドアを壊しての強行突破も不可能。
シリウス様は、眠っている様子。
「あぁもうっ訳わかんないっ」
薄暗い部屋に、私の叫び声が響き渡った。