3、シリウス様に会いました。1
今回は少し短めです。
あっという間に一週間が過ぎ、私は今、シリウス様主催のパーティーに来ていました。
「えっと……自然豊かな良い所ね」
「“物凄い田舎町ね……”っていう本音が丸出しですよ、姫様」
「リリィ、主人の心を読むのはやめなさい……あ、あれっ」
私の視線の先には、シリウス様がいらっしゃいました。千里眼で見た通りの優しそうなお方です。
私は、シリウス様の方へ歩んで行きました。
【シリウス視点】
「お……」
視界の端に、此方に歩んで来るエミリアたんが映った。
……一国の姫を“エミリアたん”と呼ぶのは非難されるだろうが、そんなことはどうでも良い。
…………一目惚れだった。
10歳の時、エミリアたんを初めて見たその時、俺は彼女に恋をしてしまった。
けれども、男爵の俺と姫のエミリアたん、余りにも身分差があり過ぎる。
それに加え、エミリアたんには婚約者がいた。
帝国の第二皇子の、レオ・アルバータだ。
その婚約者と結ばれて、本当に幸せになれるのなら、俺も身を引こうと思ったが、きっと気の多いアイツと婚約しても、彼女は幸せになんかなれない。
エミリアたんには申し訳なかったが、2人の婚約が破棄されるように、仕向けさせてもらった。
レオの好みそうな女を平民の中から見積もり、俺の親戚の男爵家の養子とした。
レオとエミリアたんの婚約は破棄された今、俺ことシリウスが、エミリアたんと婚約する運命にある。
千里眼を持つのは自分だけだと、エミリアたんは考えているはずだが、それは間違いだ。
エメラルドグリーンの瞳を持つ俺も、千里眼を持つ者の一人。
さあ、この能力を駆使して、エミリアたんを手に入れてみせようじゃないか。