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運命のヒト。《連載版》  作者: 小日向ひより
2/4

2、運命のヒトに会いに行きます。

 コンコン

「入れ」

 部屋の中から、聞き慣れたお父様の声。

「失礼致します」

 婚約破棄されてから2日。私は今、我がウィッシュ国の城へ戻って来ていました。

「ん……?リアか?お前は帝国に行っていたはず……」

 ちなみに、リアというのは私の愛称です。

「婚約を破棄されたので、戻ってまいりました」

「……はぁ⁈」

 口に含んだ紅茶を吹き出すお父様。

 あぁ……紅茶、もったいない……。

「あの婚約は帝国の要望だったはずだ。なのに婚約破棄……だと?」

「はい。皇子が、他に好きな人が出来たので婚約を破棄すると……」

「帝国め……、ウィッシュを舐めおって……挙兵の準備をする」

「……お待ち下さい」

 帝国が潰れる分には別に構わないのですが、その戦争にあの人が巻き込まれてしまうのはいけません。

「帝国はいつでも潰せます。今戦争をするのは、得策ではありません」

「……そうだな」

「あの、お父様。私に新しい婚約者様を探すことを許して頂けませんか?」

 きっと、許されないでしょうが……

「許す」

「ふぇっ……あ、ありがとうございます。……では、失礼致します」

 意外にも、あっさり許されてしまいました。

 ……まあ、私の次の婚約者は、もう決まっているようなものなのですが。

 黒髪で瞳はエメラルドグリーン。

 帝国の男爵で、名はシリウス=アーチャーです。

 ……まだ会ったことは無いんですけど。

 千里眼は、未来、過去、人の心の中までも見通せる便利な能力なんですよ。

 千里眼によると、私とシリウス様が出会うのは今から3年後。ウィッシュ国主催のパーティーで初めて会う予定です。

「3年後……ですか」

 私には時間がありません。

「姫様、もうすぐ行き遅れになりますよね」

「え……ええ」

 今、メイドのリリィに言われたように、あと少しで私は行き遅れ。

「婚約破棄された上に行き遅れになるなんてっ……そんなのっ」

「そんなの?」

「私のプライドが許さないっ!」

「……姫様って変なところでプライド高いですよね」

 今、私の悪口が聞こえたような気がしますが……気のせいですかね。

「とにかくっ、3年なんてまってられないのっ!」

「例の運命のヒトのことですか」

「ええ。3年後、私とシリウス様は出逢う。運命なの」

「いい歳して中二病……」

「違うからっ、千里眼で見たんだからっ」

「そーですかー」

「絶対信じて無いでしょ⁈」

 リリィの視線が冷たいです……。

「それで、姫様はどーするんですか?」

「私は……私は、運命を変えてみせますっ!」

「やっぱり中二病……」

「違うっ!」

「はいはい。それで?具体的にどうするんですか?」

 呆れたように言うリリィ。

「シリウス様に会いに行く」

「はい?」

「3年後出会うのなんて待っていられないので、自分から会いに行きます。一週間後、シリウス様の男爵家で開かれるパーティーに、私も参加します!」

「はぁ……。姫様……、いつからこんな馬鹿になったんですか?」

「失礼ね。他国との交流を深めるための公務とでも言っておけば、お父様も許してくださるわ」

「はぁ……」

 あぁ……シリウス様と会うのが、今から楽しみです!








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