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悪役ってそういうこと

 早い、早すぎる……。

翌日の昼過ぎには姉様の姿は私の部屋にあった。


「姉様を苛める悪役ではないんですか?!」


 姉様は昨日よりは幾分冷静になったようで、人払いしてからまずは謝罪から話始めた。

どうやら悪役令嬢と私の事を言ったのを気にしていらしたようなんだけど、今の屋敷の中を思えばそう言われるのも仕方ないと伝えればそうではないと言うのです!


「ゲームの中のシャルエッタ・ウォリーシックは、ヒロインの恋路を妨害する役なの」


 姉様だけでは飽き足らず、赤の他人にまで害をなすとは。

いや、実際は何もしてないよ!

でも将来はするようになるのか?


「私はあと何年かで随分陰湿になるんですねー」


 他人の恋愛に関心を抱くほど、人が変わるのだろうか私。

前世でも自分の恋愛度はかなり低めだったのに、その反動か?

思春期になると鼻息荒く肉食系になるのか?


「想像しがたいですね」


 思わず本音が溢れる私に姉様はこれはあのパターンねっと謎の返し。


「シャルちゃんが何もしなくても勘違いや取り巻きの子達の行動によって主犯にしたてあげられるのよ」

「なんて迷惑な」


 誰の取り巻きかは知らないが酷いことをするものだ。

私が若干呆れる横で、姉様は顎に手をやりそんな事をする理由の謎を解く。


「ゲーム補正の一つね」

「えーっと、ゲームのシナリオ通りにするための強制力ってところでしょうか?」


姉様は嬉しそうに微笑まれて頷かれました。


「シャルは飲み込みが早くて凄いわ」


 テレビ好きは無駄知識が豊富なんです。

宇宙意思に近いのかなと思ったわけですよ、例えば過去に戻りいくら歴史を変えようとしても似たような事案にとって代わり大筋が違うことにはならないという、SFの概念の一つというか。

 ゲームのストーリーの為に目に見えない力が働き、何かしようにもゲームの進行中は難しい可能性があるということだ。


 まだ確定したわけじゃないけど、どうなるか知っていればできることが違う。備えあれば憂いなし。


「姉様、ゲームのエンディングでは姉様と私はどうなるのですか?」


 始まりがあるなら終わりもある。

ゲームの中では終わっても、人生はめでたしめでたしでは終わらない。

めでたくない終わりで人生も終了ってこともゲームではありえるだろう。

 姉様も言い澱んでいる感じですし。


「エリー・ウォリーシックは元々出番もないですから無難に学園生活を終えるの、シャルエッタは……」

「悪役ですから成敗でもされますか?」


 軽い口調ではっきり聞いてみれば、姉様は目を伏せて頷く。


「そうなの……ヒロインがよっぽど下手をしなければ没落エンドと言えばいいのか」

「没落!? 何かウォリーシック家に迷惑をかけるんですか?!」


 それはまずい、それだけはまずい!

これだけお世話になっているのに、恩を仇で返すような真似をしては申し訳なさ過ぎる。

 けれどもそれ以上に姉様は申し訳なさそうにして教えてくれた。


「……あくまでもゲームではよ、シャルエッタを切り捨てて一人平民に下げられるの」


 良かったー、どこまで働くか分からないけど例え強制力が全力を出したとしても問題ない。


「それなら大丈夫ですね、寧ろ学園に入るまでお屋敷に置いてもらえてるかも怪しいんですけど」


 私の力が抜けたのを別の意味に取った様で、姉様は私の手を握る。


「誰もシャルを追い出したりしないわ!」


 絶望したたわけではないのだと、それどころか安堵したんだと伝わるように笑顔で姉様の手を握り返した。


「そうしてもらえるように頑張ります。けれど、私一人が平民に戻るくらいで終わるならそんなに気にする必要はないですね」

「今から対策を立てれば大丈夫よ! シャルエッタをウォリーシック家から出ていかせるようなことしない」


 力強く言ってもらえるのは嬉しいけれど、侯爵家に貢献できることもほとんどないから、迷惑をかけないなら未練もない。

 でも姉様の強い決意を無下にするのも悪いような。


「対策ですか……まだ何年もあるようですができることはあるのですか?」

「ストーリーは学園に入学してからの二年間。十四歳から十六才の出来事になのだけど、ヒロインは同じ年で入学するまで出会えないと思うの。でもその攻略対象の男性とは私達知り合ってるの」


 王道恋愛ゲームの相手なのだから、相手はカッコいい素敵な人達に違いない。それこそ王子様なんて感じの……。

 私達の身近な王子様なんて、簡単に想像できますよ姉様!

まさか姉様の……許嫁のあの方もそうなんですか?

そうだとしたら聞き捨てならない。

単純に放っておけばいい話じゃなくなるよ。



お読みいただきありがとうこざいました。

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