なんでしょうか……
お墓参りの日。
本当に父様も母様もご一緒です。
天気は晴れているような、薄く雲が掛かるときもある少し肌寒い日です。
けれど雨の心配はなさそうです。
朝御飯の後大きな馬車で共同墓地の傍まで行き、同じ形の小さな墓石が敷き詰められるように並べてある間の細い道を迷わずに進む。
ママは今もまだ人気者のようで、花がたくさんある場所を目指せばそこがママが眠る場所。
「今年も花盛りになってるね、ママ」
墓石なんかこれっぽっちも見えなくて、最早そういう競技なのではないかと思えるほど花束が積み上げられている。
そして私もその競技に参加して、ヴィヴィと一緒にお庭で貰ってきた小さな花束をその上に崩さないように乗せる。
小さいことが効をそうして無事供えられた。
「シャル、毎年思うがこれは乗せなければいけないのだろうか」
私とは一緒ではなかったけど、父様も毎年こられていたのですね。
その教訓がいかされているようで、父様は花束ではなくて、リースのように輪に編まれた花飾りを私と同じくそっと上に重ねていた。
私は心の中でママに一年の報告をする。
その後、この共同墓地には墓守りのおじさんとお兄さんがいて、毎年大量の花を片付けてもらっているので、墓地の横にあるお家に伺い丁寧に挨拶とお礼を渡している。
父様達も顔見知りの様でご挨拶されていました。
そしてその程近くにある休憩用の東屋で一息つきます。
すると父様が脈略もなく話始めました。
「シャルのこと本当に大好きだよ。これからもウチの子として大事にするからね」
「父様?」
「急に私たちの態度が変わって驚いているのは理解している、もう一緒に住んでるから時間をかけてゆっくり仲良くなっていけばいいなんて思っていたから」
「ゆっくりしすぎよ、あなたはいつもそうなんだから。仕事以外は本当にダメね」
そういいながら母様は慈しむような表情をされています。
「母様……」
「私は直接会ったことはないの、シャルのお母様には。でもとても素敵なお母様だったことはあなたを見ていれば分かるわ。だからその子を残して逝かれてしまったことがどれほどのお気持ちだったか……」
それ以上何も言われませんでしたが、私より両手を握ってくださいます。とても暖かい手です。
「シャルには寂しい思いをさせてしまった。けれどこれからはそんな暇は絶対にないからね」
「……どう、されたのですか?」
その答えはくれずに、父様は私の手を引いて一歩東屋から出て、父様を見上げる私の後ろを指差しました。
振り向くとそこにはママが勤めていたお店の店長さんがいらっしゃいました。
「カルエさん!」
とてつもなくスレンダーなボディーは全く変わっておらず、ただ色気以上の豪快さが滲み出ている笑い顔が素敵な方です。
「あら、良かった。覚えていたんだね」
「もちろんです、その節はお世話になりました」
カルエさんは私の方までやってきてくれてぎゅっと抱き締めてくれました。
最後にそうされた時のことを思い出して、少し胸がきゅっとしますが、身長が伸びたことで顔がダイレクトにお胸様に埋もれてしまうので呼吸の危機でもありました。
体を離して見上げると大きな口が、にっこりと笑っていました。
「別人のような喋りだけど、シャルエッタだと分かるね。どうだい、元気にしているかい?」
「ここのところは元気すぎるくらいですよ」
「それなら良かった、体調を悪くしたと聞いて心配してたんだ」
「そうなんですか、ご心配をお掛けしてしまって」
「元気ならいいんだよ、それより少し話があるんだよ」
「お話ですか?」
「ゆっくり話したいからね、場所を変えたいんだ」
私は思わず東屋の中で座る父様と母様を見ました。
父様は珍しく不安そうな表情をされていて、母様も優しく頷いてくれていてもどこか落ち着かなさそうな笑顔です。
父様が立ち上がり私の目線に合わせるように屈まれました。
「大丈夫、行っておいで。ここで待っているから」
「ここでは冷えてしまうかもしれません、せめてどこかもう少し暖かい場所で」
「ここで大丈夫だよ、ちゃんと待っているから」
「……いいのですか?」
「護衛はしっかり付けるから安心して行っておいで」
「分かりました、いってきます」
久しぶりに会えたカルエさんともう少し一緒にいられる喜びもあるのに、少しの不安を感じるのは何故なのか自分でも分からないままに、私はカルエさんは付いていきました。
お読みいただきありがとうございました。




