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無知で未知なんですが  作者: 雉虎 悠雨


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いらっしゃいませ

少しすると応接間にノックが響き、お二人が入ってこられました。

もちろんその後ろに制服を着た騎士の方が二人と、オルバ様付きの執事の方がいます。


「ようこそ、お越しいただきありがとうございます」


姉様に習い、半歩後ろで同じように丁寧にお辞儀をします。


「こちらこそもっと早くに来られず申し訳なかった」


立場上頭を下げられるようなことは結してありませんが、本当に申し訳なさそうにしている姿からジェイク様の優しさが滲んでいます。


それにしてお二人は十二才にしては背か高いのではないでしょうか。

ただ日頃他のお子様に会うことはありませんし、前世の記憶でも子供の成長の平均なんて記憶はないから真相が判るのは学園に入学する四年くらい先になりそうですが。


ソファーに腰を下ろすとお茶が運ばれてきます。


「体の加減はどう?」


オルバ様の柔らかい笑顔のまだ子供の高い声での質問に姉様が答えられます。


「もうすっかり良くなりました。ご心配いただきありがとうございます」

「高熱が出たと聞いたが」


ジェイク様は以前お会いした時より声が低くなられたような気がします。もしかしたら雰囲気がそう思わせてる可能性もなきにしもあらずの年々鋭くなってく眼光です。


兄様の人を見透かしそうな鋭さとは違い、自分にも他人にも厳しくあろうとする姿勢が目元にも表れていると言った感じでしょうか。


会話は主にオルバ様と姉様が日常の話などをして、時折ジェイク様が言葉を挟むと言った感じで、私は微笑み頷いているだけです。

ここで大事なのは単調な相槌ではダメだということ、バリエーションとリズム感を大切に、それを会話の邪魔にならず目立たないようにします。

印象に残らないってのが肝ですね。


そうしながら私はふと、もう少し子供らしく遊んだりしないのだろうかと、前世の自分が大人な視点で疑問を投げ掛けてくる。


これくらいの年頃、前世では無駄に走っていた私だからそう思うんだろうけどさ。

別に遅刻するわけでもないのに走り、運動場に出てはナンチャラ鬼で走り。

そういえばあの鬼ごっこって地域で呼び方とかルールが違って、そんでもってどんどんオリジナルルールが加わって、なんだか意味分からない競技になるんだよね。


女子の人間関係って子供の頃からややこしいところあったけど、一緒に走って遊んでくれる子とは自然と仲良くできていたような気がする。


私が単純にできているからかもしれない。


そう思うと今は私の周りの大人達がよく遊んでくれる。

ヴィヴィは隙あらば庭で駆け回ったり庭師に摘んでもいい花を確認しては私に花束を作らせてくれたり。

先生も勉強部屋の中で小さな積み木で空間認識力を高めるためとか言って何日もかけて途中からは魔法まで駆使して大きなお城を積み上げたり、他にもいろんな映像を見せてくれたり、実験も多い。

他のダンスの先生も作法の先生も、遊びを織り混ぜながら教えてくれていた。

刺繍も先生自ら奇抜なデザインを披露してくれる。


いや~、本当に素晴らしい先生達。

もちろんきっちり基本も応用も身に付けさせてくれているから尚凄い。


ただ他の子供にはお屋敷に来てから一緒に遊ぶってことがなかったから、この前世では小学校の高学年くらいのお子様達の大人のお茶会のような雰囲気に違和感を感じてしまうのですよねー。


控えている大人達が全く関わってこないのも、改めて見ると不思議な空間です。


まあ、だからって私が急に立ち上がって遊び出したりはしませんけども!

こうしてても苦痛でもないところが教育の賜物の気もします、ありがとう先生達!


それにしても姉様のなんと愛らしいことでしょう。

ジェイク様を前に平静を装いながらも、僅かに滲み出るハッピーオーラが私には分かりますよー。


視線を合わせる回数はオルバ様と変わりないですが、ジェイク様から視線を外す一瞬だけ、ほんの一瞬だけですが目を伏せられて感嘆の息を飲み込んでいる様子です。


それが分かる私はどんだけ食事の時に眺めてるんだい! と、自分で突っ込むほど些細な仕草ですけど、それが醸しちゃう姉様の魅力に絶対お二人はメロメロのはずです。


ですので、そろそろオルバ様をこの場から連れ去らなくてはならない頃合いですね。


さて、どうしましょうか。


考えること五秒で、またも救世主!


父様が颯爽といらっしゃいました。


今度はあのときの敵が今日は味方という訳ですか、本当に仕事は大丈夫なのでしょうか……。


「やあやあ、よく来てくれたね。どうだい最近の調子は?」


父様の仕事を私が心配しても仕方ないので、ここは素直に感謝しましょう。

お読みいただきありがとうございました。

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