表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無知で未知なんですが  作者: 雉虎 悠雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/33

じゃじゃじゃーん

手紙の続きでは、利害が一致した二人は結婚へと話が進みます。


母様はもとより政略結婚するために養子になられたので、より条件の良い父様は良かったみたいです。

母様にとっての良い条件はエマータ様がより長く生きられるように手を尽くすことだというのが、家同士ではなく父様と約束できたことで異義は全くなかったと。


その五年後、再会した一目惚れの相手が私のママ。

そうじゃなかったら父様は本当に酷い人になってしまいますよ。


ただ父様は結婚していることも、自分が侯爵家の人間だということも黙って付き合いはじめます。


「父様は、ますますヒドイ人になったような」

「根っからの貴族なのだと思うの、マリーヌとのことは恋愛ではないし、家のことも捨てるつもりだから、まっ更な状態で向き合って欲しかったんだと思うわ」


母様が妊娠していると判る前に再会していて、それからはママのところに頻繁に通い本当に家を出てママと結婚するつもりらしい。

けれど、姉様が産まれた頃に父様の正体に気づいたママからきっぱり別れを告げられて父様の頑張り虚しく、ママは許さなかった。

ただその時すでにママのお腹には赤ちゃんがいて、それが私と言うわけだ。


「ママ、大変だったんだな」

「言い訳に聞こえると思うけど、とても頑張って説得したり交渉したりしたのよ。でも、あなたのお母様はとても冷静で何よりこの領地のことを考えてくれたの」

「……わかります。町のこと大好きだったから、平和で豊かなことが誇らしそうなほど」

「私とこの子のことを思うなら、どうぞこの領地を守り続けてほしい。その言葉であの人はこの屋敷に留まった。遠くからだけど、見守っていたのよ。でもあの事故は防げなかった」

「あれは誰にもどうにもできなかったと思います」


ママが魔物に襲われたのは不慮でしかない。

噂の魔導師様でもない限り助かる見込みはないほどの出来事だった。


「……それでも誰かのことを恨みたくはならない?」

「私が父様を恨んでると?」

「その様には見えないけど、まだ子供のあなたには受け入れがたい現実だと誰もが理解しているの。だからこそ今までどう接すればいいか迷ってしまって。そのせいで余計に変な噂まで広まってしまって」

「それは気にしていません。とても良くしていただいてますし、本当に誰のことも恨んではいません」


だってママの最後の願いを叶えることができたから。

ママは魔物から受けた傷が原因だけど、三日ほどベッドで死の縁をさ迷ってからだったので、ほんの少しだけ会話ができた。


ずっと笑顔だったママがその時だけ悲しい顔をしているから、私はそれをなんとかしたかった。

痛みや苦しみは魔術で和らげてもらっていたから、ママの悲しみは私のこと。

正直なことを言えば、私はあまりママがいなくなってしまうことを理解できていなかった。だからどうにか笑ってほしいとそれだけを願って行動して、最後は笑ってもらえたからそれだけが今の救いだ。


「ママを笑顔にできたのは父様のおかげです。だからとても感謝しています」

「笑顔?」

「ママは私に家族がいなくなることをとても心配していたんです、だから父様が最後に来てくれたからママは安心できたと思います」


ま、だからと言って未知な存在である父にいかにして打ち解けるかは、甚だ疑問ではあるんですが。

前世での父親は家の中ではわざと気配を薄くしているような、かなりのカカア天下な家庭でいまいち参考にならない。


だから父様との距離感は今のままがベストな気がする。正しくは昨日までのかな。

今朝のあれは本当になんだったのかなー、どちらかと言えば物静かな印象だったんだけど。

ウォリーシック家の当主であり、王城でも重要な役職を務めていっしゃる姿は氷のようだと言われていると聞いていますよ。


「父様はすごい人だと思います」


いろいろまとめて言ってみるとエマータ様は少しだけ声を大きくなされます。


「だそうですよ、良かったですね」

「シャルエッタぁぁーあああ!!」


バターンっっ!! どころか、ドゴォーーンって音がしてドアが開くと父様が駆け寄ってきて、私に辿り着く前にヴィヴィに何か……ボディーブロー?

まさかね、ヴィヴィはメイドではあるけど本来私よりしっかりお嬢様なんだから、そんな華麗に鳩尾みぞおちにワンパン決められるはずがない。目の錯覚でしょう。

父様も一瞬膝から崩れ落ちそうになりましたが、堪えて笑顔で私の前に立ち上がられました。


それにしても朝お会いしたばっかりなのに、忙しいはずのお仕事は……。


「あの、お仕事は?」

「そんなものシャルエッタに勝るはずがないッ!」


そんなはずはないと、同意を得ようと周りをみるとエマータ様は笑顔で頷かれており、ヴィヴィをみると頑張れとでも言うように一つ力強く頷いた。


お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ