地の力を手に入れろ!2
「でもよぉ」
帰路についていた四人。
不意に上がった声に立ち止まり、ハヤトに視線が集まる。
気難しそうな顔をされ顔を見合わせていると続けた。
「この期間、ダークソルジャーだけでなくデスボルグさえ動きを見せないってどういう状況なんだろうな」
「そういえば、最近は負のエネルギーを集めに来ないね」
有り余っているという訳ではなさそうだが、動きは見せない。
ニトロの力を優先しているのだろうか。
ゼノンですら姿を見せないとなると気持ちが悪い。
力の探索も警戒した方がいい。
そう話しているとリノが小さく笑う。
「なんか、私達ってチームしてるよね」
「は?」
「真剣に話し合いとかさ、不思議な感じがするなって」
「まぁ、世界を守らなきゃいけない訳だし?」
世界を救うという使命を抜いても四人で一緒にいられる事が嬉しいと言って歩き出す。
マサヤは何かが引っかかったような気分になり腕を組む。
エミリに伝えられた言葉。
それを思い出して小さく声を発する。
「四人……じゃない、俺達はまだ仲間が存在する」
「どういう事だ?」
いきなり何を言うのかと戸惑いつつ聞き返す。
確か、暗号では五人と言っていたと言われ全員は思い出した。
五人のパートナーが世界を救う。
何故、気付かなかったのかと思うがそれよりも残りの一人は何処にいるのか。
炎龍達の他に、世界を救う為にやって来た生命体がいるとしたら探さなくてはならない。
しかし、手掛かりが全くといって無かった。
「俺達、なんとなくここまで来たけどさ……」
「まだいろんな事が壁となって存在しているんだね」
ユウキの言う壁に頷く。
「んな事でいちいち立ち止まっても仕方ねぇだろ、今まで通り気ままにやろうぜ」
ハヤトの言葉に何故か重荷が降りた感覚がして息苦しかった胸が解放感を覚える。
いい加減な言葉に聞こえなくもないが、気ままにという言葉が全員の緊張を解いてくれた事には変わりない。
「とにかく、俺達は力を探す事を優先して動かなきゃいけないんだから考えるのは終了して帰ろうぜ」
ニッコリと笑って提案され、全員は止めていた足を動かす。
日も落ちて暗くなりかけの道を歩く。
四つの影が伸びていき交わる。
それはまるで、終着点を現しているかのようにも見えた。
■□■□
「エミリ、そろそろ終わりにしないか?」
「もうそんな時間?」
エミリはパソコンにから目を離して時計を見る。
既に夜の時間を差している針を見て溜め息を吐く。
集中しすぎると朝になるまで気付かない事が多い。
佐嘉に差し出されたコーヒーを飲んで一息を着くと椅子から立ち上がる。
「……私達はあの子達がいなかったら何も出来ないまま世界がどうなるのかを見ている事しか出来なかったって考えるとね、どうしても協力出来る事は無いかって夢中になってしまうの」
きっかけを逃した自分にチャンスをくれた事が嬉しい。
エミリの言葉に佐嘉は頷く。
大会でハヤトと炎龍を見なかったら、そのまま見ている事しか出来ないで全てが終わっていたかもしれない。
だからこそ、最後まで出来る事をしたいと思った。