ゴミ箱よ、さらば。
「で……何なんだ、コレは……」
さて、今度の標的は、机の上。
繰り返しになるが――山積みになった書類、デオドラントスプレー、ライター、紙くず、エッセンシャルオイル、本、お香、アクセサリーケース、ダイレクトメール、香水のビン、マンガ、綿棒入れ、文房具類。
なぜだ。
なぜ、こんなアホみたいなことに?
「まず……一番の問題は、ゴミ、だな……」
それも、主に紙ゴミ類だ。
いらない書類、いらないダイレクトメール、キャンディーやガムの包み紙、レシート、メモ用紙――
「捨てろ! 今すぐに!」
という、もっともな意見が各方面から聞こえてきそうだが……
それが、捨てられないのである。
理由はひとつ。
ゴミ箱に、これ以上、ゴミが入らない。
「捨てろ! そのゴミを!」
分かっている。もちろん、それしかない。
でも――
面 倒 く さ い ん だ よ !
ゴミ箱にかけてある袋を取って、口を縛って、捨てて、新しい袋をゴミ箱にかけて――
この、一連の行為が、ものすごく面倒くさい。
特に面倒くさいのは「ゴミ箱から袋を外す」という作業だ。
こういうふうに書いてくると、私には人間としてどこか根本的なところにバグがあるんじゃねーかという気がしてくる――いや、気がするだけでなく、絶対そうだと思うのだが、何しろ事実なので、そのままに書いておこう。
とにかく「ゴミ箱から袋を外す」という行為が面倒くさいので、なるべくギリギリまで「ゴミ出し」をせず、入るだけ、物理的な限界ギリギリまで詰め込むことになる。
すると、ふちに折り返してかけてある袋が、だんだん外れて、ゴミ箱の内側に押し込まれていってしまうのである。
その上から、さらにどんどこどんどこ、ゴミを押し込むため、そろそろさすがに袋を入れ替えようか、と思ったときには、
「袋? どこなんだ……?」
という状態に陥っている。
袋の持ち手を探して、ごそごそするうちに、あふれたゴミが床にぽろぽろ。
「……っああああーっ! イライラするッ! めんどくさーい。もういいや」
と、なってしまうワケだった。
「そんな、アホみたいなことになる前に、こまめにゴミ出しをしろやあああ!」
分かっている。
やれるもんなら、とっくにやってる。
でも、やりたくないんだから仕方ないじゃん(←開き直った)。
まあそういうわけで、ゴミ箱の中身は、常に飽和状態。
そこへ新たなゴミを投げ入れたりしようものなら、かろうじて微妙なパワーバランスを保っている先住民たちが、一気に反乱を起こして雪崩落ちかねない。
かといって、新たなゴミが出るたびに、いちいち別室に持って行って捨てるのも面倒くさい。
まあ、いいや。
腐るものでもないし、とりあえずこのへんに置いとこう。
――これこそが、机の上がゴミ箱と化してしまう、魔のシステムだった。
「ってことは、ゴミ箱からゴミ袋を出して入れ替える、っていう段階を省ければいいんだよな……」
そ ん な ゴ ミ 箱 は ね ぇ 。
あったら、4次元ポケットかブラックホールだ。
だが、敢えて、そこを何とか、どうにかできないだろうか!?
しつこく考えた末、
「あ!」
私は、画期的な方法を思いついた!
とりあえず、大きなゴミ袋を持ってきて、ゴミ箱内、および机上のゴミをすべて廃棄する。
それから、ふたつあるゴミ箱そのものを、ゴミ捨て場に持ち出して捨てた!
――もはや、こいつらに用はないのである。
どだだだーっと1階に降り、大工道具を仕舞ってある箱のところへ行き、ネジ式のフック(壁とかにねじ込んで使うやつ)を2本取る。
それから、台所へ行き、ストックしてあるスーパーのビニール袋を2枚取る。
そして自分の部屋に戻ってきた私は、
「これでどうよ!?」
自分の机の天板の右横に、2つのフックをねじ込んで、そこに、それぞれビニール袋を吊るした!
これが今日から、私のゴミ箱(←箱じゃない)というわけだ。
実際に使ってみたところ――
いや、これは、実に使い勝手がいい!
まず、右手にごく近いため、机に座ったままで、パッとゴミを捨てられる。
そして、ぶら下げてあるため、ゴミ箱のように床面積を取らない(紙ゴミと容器包装プラスチックの分別のために、ゴミ箱が部屋に2個もあるという状況には、もともとうんざりしていたのである)。
さらに、取っ手を束ねて吊るしているため、袋の口が広がらず、ゴミがあふれ出るということがない。
床置きしたときのように「横倒しになって中のゴミがあふれ出てくる」という危険もゼロ!
半透明のビニール袋を使っているので、パッと見ただけで、中身がどのくらいたまっているか一目でわかり、パンパンになると見た目に汚いので「そろそろ捨てなきゃな……」と自覚しやすい。
そして!(ここポイント!)
ゴミ捨ての際は、かけてある持ち手をパッと取って、キュッと縛って、持ち出すだけでOK!
手も床も汚れず、超簡単!(←テレビショッピングみたいになってきた……)
まあ、客観的な目で見た場合、ビジュアルとしては、まったくもって全然美しくないが、間違いなく言えるのは、机上がゴミ箱と化すよりも100万倍はマシだということだ。
「ゴミ箱は、要るもの」という既成概念にとらわれず、自分の「めんどくさい度」「片付け能力」に見合った、抜本的な対策をとる――
そうすることで、片付けが極度に苦手な人でも、ストレスなく、キレイな状態が保てるようになる(かもしれない)のである!
(ちなみに現在では、紙ゴミ用の袋は「紙袋」にしている。
袋自体も紙であるため、ゴミ出しのとき、何も気にせずそのまま紙ゴミ用の大きなゴミ袋に放り込むことができる。ストレスフリー!)