85 新しい道のはじまり
同日に84話投稿してますのでそちらを先にお読みください。
その後、色々と追及されたがなんとか納得してもらった。
正直俺としてもわからないことが多いのだ。ただ、少しだけ感じた誰かの気配はもうどこにもなかった。
アルタとサオリは俺が本当は桜井悠斗なんだと思って喜んでくれたのが心苦しかったが、正直に話せば納得してくれた。アルタ曰く
「僕とユートは赤ちゃんの時からの付き合いだから僕が見抜けないはずがないんだよ。でも、ユートがそこまで怒ってくれてたのを知れたのは嬉しかったよ」
って言ってた。ユートっぽいから話してると楽しいけど、やっぱり違うんだそうだ。そんな話をしてアルタ達は王都に戻って行った。
「桜井君も召喚に巻き込まれたのかな?」
「どうだろうね」
色々落ち着いたある日、思い出すようにサオリがそんなことを言ってきた。巻き込まれたのなら転移でもいいはずなのにそうではなく情報の1部を持ってるだけ。まったくわからない。
「アルタは元々同い年だったのが今は俺の1つ下な訳だし、それでいてこっちでは俺は18年こっちで生きてる。時系列がぐちゃぐちゃだろ? だったら桜井悠斗は長生きしてたって可能性も十分あると思うけどな」
「本当にそうかな? ユリトは覚えてる? 私のギフト」
「えーっとなんだっけ? ラーニングの印象が強くてほかは覚えてないな」
「魂の守護ってあったの覚えてる? その時にユリトが言ったんだよ。誰かに私を守ってるって」
そうだっただろうか? イマイチ覚えてない……。
「覚えてなさそうね。たぶんだけど、桜井君が私を守ってくれたんだと思うんだ」
「そうなのか? そこまで親しかったのか?」
「ただのクラスメイト、友達でもなかったよ。だけどあの時は本気で私を助けようとしてくれてた。その後吹き飛ばされたけど、その時の勢いがすごかったの。あんな勢いで飛ばされてぶつかってその後に飛ばされた机とかが桜井君にぶつかったのを見たの……あの時きっと……」
「どうだろうね、でもどれだけ話をしたって結論はでないさ。その後を見る事はできないんだから」
「そうだね……もう全部終わったんだよね」
「何が終わったのか、俺にはわからないけど人生これからだろ?」
「そうだね。人生これからだよね。ユリト、これからも一緒にいてくれる?」
「もちろん、ちゃんと責任は果たすよ」
「そっか、それじゃこれからもよろしくね」
あれから勇者は色々な所を歩き回ってお披露目をしつつ、女の子を連れ込んでいるとレーリックおじさんから聞いた。でもけっしてこの町には寄る事はなかった。
魔物もかなり大人しくなった。2月に1回くらい奥にまで行くとウォーリアーに遭遇するかも? くらいの頻度だった。どうやら、奥の方は基本がウォーリアーでそれがたまに生まれて来るらしい。
それでも一時に比べれば仕事量はかなり減ったのでのんびりとポーション作りながら生活をしてる。
そしてサオリがここで生活を始めて3年が過ぎた、新しい家族も増えていた。
「ただいまサオリ、納品してきたよ」
「おつかれさまって言うには近すぎるかな? おかえりユリト、ほらパパが帰って来たよ」
「あ~あぅ~あ!」
「ただいま、サクラ」
俺の人生はサオリが来て勇者と話をつけるまでは本当に色々あって大変だった。これからは家族3人でのんびり仲良く暮らしていきたいと思う。
……こんな事ポーラ姉さんに聞かれたら私の居場所が無いじゃない! しかもすでに老け込んでるし! とか言われてしまいそうだ。
家族は多くてもいいか。俺達夫婦の間にも子供が増えてもいいしね。俺と兄さんみたいな事にならずにすむようにしないといけないかな? まだ気が早いけどこういう家族計画を考えるのは楽しみだ。
願わくばこの平和が続きますよに、けれど召喚というものがなくなる事を切に願います。
これにて薬屋さんの錬金術師終了です。
最後の方は駆け足で終わらせてしまって申し訳ないです。




