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薬屋さんの錬金術師  作者: エイキ
第1章、薬屋さんの息子は錬金術師
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8 ギフト錬金術

 食事も終わり、俺は家に帰ってきた。


『アルミス薬屋』


 それが我が家の店名だ。出入口は3ヵ所あるけど、お店が開いてる時は店から入る。


「ただいま~」


「いらっしゃ……って、ユリトちゃんじゃない。おかえり。ローザなら事務所にいるから挨拶して安心させてあげな」


「おかえり。ユリト」


「ユリト君、おかえりなさい」


 俺をユリトちゃんと呼ぶのは母さんの友達でもあるシミリスさん。冒険者が来る店なので揉め事が起きた時の用心棒もかねるゴルポさん。そして、シミリスさんの娘さんであるクラリスさん。この3人がこのお店の表側の仕事をこなしてくれている。


「うん、母さんに挨拶してくるね。それと、お店が開いてる時にミュースさんが俺を訪ねてくるかもしれないから来たら呼んでね」


 そう言って俺はカウンター裏から奥に入っていった。シミリスさんが、あいよー。って言ってたからこれで大丈夫なはずだ。

 商品保管庫を抜けて、事務所に到着。ノックしてそのまま入った。


「母さん、ただいま」


「ユリト! おかえりなさい。ケガはない? 大丈夫だった?」


「母さん、今日は薬草採取しただけで戦闘は一切なかったから大丈夫だよ」


「それならいいけど、無理はしないでね」


 1人での行動は今日が初めてだから色々心配になってるらしい。だけど、冒険者をやっている父さんと恋人になり、結婚した母さんなんだからいずれ慣れるだろうと思う。


「出来る範囲でやるから大丈夫だよ。それよりこの時間から事務所に入ってるって事は、薬で手伝うことはないかな?」


「ええ、在庫は十分にあるから他の皆にまかせておけば大丈夫よ。それより、こっちの仕事手伝ってくれる?」


 母さんはこの店1番の調薬師だ。でも、お店の帳簿とかそういう仕事もやっているため午前は指導、午後は事務所にいることが多い。

 帳簿とか事務仕事できる人増やせばいいのになぁと思うけど、お店の状態がわからないから口出しはできない。

 そもそも、12歳に口出される事じゃないか。それでも、計算とかは手伝わされる。これは将来、俺がこの店を継ぐからだ。

 継ぐと言っても母さんと俺じゃ色々違うから、教えられるだけ教えておけば困らないからって事みたいだ。 お店の経営って大変なんだね……。


「手伝うのはいいけど、先にポーション作っちゃっていい? 今日の夕食、守護者の人達が一緒に食べようって誘ってくれたから」


「夕食はいらないのね、わかった。それじゃ作り終わったらこっちの手伝いお願いね」


「わかった」


 事務室を出て、調剤室へ向かう。そしてそのまま部屋に入り自分の席につく。下手に声をかけると細かい事をしていた時に失敗することがあるからだ。

 

 席に着いた俺はまず桶を用意して、その中に魔法のウォーターを使って水を一定量貯める。水が貯まったらその中に手を突っ込んで水に魔力を流す。

魔力を水に流し馴染ませると魔力水になる。それが終わると桶と30cmくらい離して薬草を置く。薬草はポーション1本に対して1束だ。だから10束用意する。今日採取してきた薬草だ。つまり今日のポーションは材料費タダである。ウハウハである。魔力の消費量が激しいのがきついけどね。

 ポーションの材料は、魔力水と薬草だ。普通に作るとこれから色々な作業があるが、俺が使うのはギフト錬金術だ。

 ギフト錬金術はどのような物かと言われたら俺は、魔力を使い過程を省略して最高の結果を出す。それがギフト錬金術だと答える。


 準備は整った。薬草と魔力水を材料として指定する。


「錬金開始」


 そう言うと、魔力が白い線を引き、薬草は囲うように、魔力水は入っている桶の底に、それぞれ魔法陣が浮かぶ。

 その魔法陣を魔力線が繋ぎ、2つの中央に新たな魔方陣が描かれた。薬草と魔力水は徐々に光になって魔力線を通して中央に集まる。

 中央の魔力陣も変化が現れた。芽が生え、成長し20cmくらいの白い木が姿を現した。その木にピンク色の花が咲き始め、満開となった。

 満開になった花は中央の木から広がった光に押されてふわっと散っていく。散っていく様は花吹雪とでも言えばいいのだろうか?

そして、光が収まると中央の魔方陣があった場所に10本のポーションが出来上がっていた。もちろん瓶に入っている。 


 ふぅ……と一息つく。 

 1回に出来るポーションの最大数は10個だけど、魔力がそこそこまとめて減ったのでその反動で精神的に疲れる。

 実際疲れてる訳じゃないし、魔力もあるから少し時間がたてば感じてる疲れはとれる。でも、今日は少し急いで仕事に入ったので疲れがとれるのに少し時間がかかりそうだ。

 今の時間に作るポーションは明日の分になるので、夕食を食べて魔力を十分に貯めた状態で作るのだ。


「いつ見ても錬金術はきれいねぇ」


 いつの間にか、イレーネさんが近くで見ていて声をかけてきた。イレーネさんは母さんがいない時の調剤室をまとめてる人だ。そしてこの薬屋最長老だったりする。

 母さんのお師匠様で、自分の店を持っていたが歳で引退したが暇を持て余していたらしい。そこで母さんが指導者として招いたと言ってた。

 指導者と言う割には色々働いてるが、自分ができる範囲の事をしてるらしい。ある意味1番自由な人だ。


「俺はもう見慣れてるけど、あの花にはものすごく心惹かれるんだよねぇ」


 机に体を預けて、疲れてますの姿勢でイレーネさんに答える。


「そうかい、そうかい。でも、あれはなんなのかねぇ? 見たこともない花さ。ま、長生きだけして、外には出てないから知らないことは多いけどね」


「初めて使った時から、ああいう見た目だったからなんなんだろうね~」


 それからイレーネさんと話をして、疲れを感じなくなったので事務所に戻って母さんの手伝いをした。


 母さん……いや、母さんだけじゃなくて事務所におられる方よ。もう少し計算をしっかりしてください。子供にミス指摘される回数多いですよね?

 ユリトが優秀で助かるわ? 助かるんじゃなくて、しっかりやってくださいよ。それで前に役所から怒られたの知ってるんですからね。

 だから母さん、そろばんを導入しましょう。異世界からの道具だから便利なはずですって。実はすでに持ってる? 挫折した?

 じゃぁそれ貸してよ! 俺がんばるから貸してよ! けっきょく俺が計算しまくり、この日はいつもより早く終わった。

 その後で、皆様にそろばん教室を開いた。 ……あれ? 俺どこでそろばん覚えたっけ? まぁ使えたんだからいいか。


 予想外に事務所で時間を使い、部屋で休憩をしてないなぁなどと思っていたら


「ユリトちゃーん! ミュースちゃんが来たわよーー!!」


 と、シミリスさんに呼ばれた。あれ? 意外と早く迎えに来たな


「今行きますー!! 母さんそれじゃ行ってきます」


「はい、いってらっしゃい。迷惑かけないようにね」


 分かった。と返事をしてミュースさんの所へ向かった。


「お待たせしましたミュースさん」


「ん、行こ」


 短く答えるとミュースさんは手を掴んで歩き始めた。


「ひっぱらなくてもちゃんと付いて行きますから! い、いってきます」


「いってらっしゃ~い」


ニヤニヤした顔で送り出してくれる受付の皆様方、くぅ……顔が熱い。

すっかり忘れてましたが。 ポーションは瓶詰め状態でできあがります。

なので、ポーションが出来上がったところに追加文章を加えました。


始め→初め 何か所か修正しました。

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