36 魔玉の性能と今後について
魔玉を手に入れてから俺の人生は一変しました!
今までの魔力消費量いったいなんだったのでしょうか? 今まで作れたアイテムは大量に作れるようになり、新しいアイテムもまた次々とつくれるようになりました! お金もどんどん稼げるようになり。 女の子たちもよってきてウハウハです! 本当に魔玉様様ですよ!!
なんて事にはもちろんならなかった。 ちょっと遊んでみたかっただけなんだよ。 ごめんね?
そんな訳で魔玉を手に入れてから1週間たった。 俺なりに調べた事をアレックさんに報告するためにアレックさんの部屋に来ていた。
「さてユリト君、魔玉の事がわかったから教えてくれると言う事でいいのかな?」
「はい、この1週間使ってみてわかったことをまとめてきたので、これを見ながら聞いてください」
俺は魔玉の特性をまとめたものを、アレックさんに渡した。 紙1枚の簡単なものだけどね。
「魔玉は界石で魔力の質を上げてそれを取り込み保存することができる道具みたいです。 使い方は錬金術を使う時に中央に置くだけです。 これを使うとポーション10本作る時の魔力が1割くらい少なったと思います。 ただ、ポーションプラスを作った時は減り方が違うみたいだったので、保存した魔力分の固定値で減らしてるみたいです。 使えるのは1日1回くらいです。 魔力を保存してるみたいなので、錬金術以外で魔力を引き出せないか色々試してみたんですけど、それはできないみたいでした。 えっと……こんな感じでいいですか?」
アレックさんは俺の説明を聞き、同じような事が書いてある紙を見て、何か考えてるみたいだ。 質問するべきこととか考えてるのかな?
「1日1回しか使えないものを1週間でよくもまぁ調べたものだね。 十分な資料だと思うよ。 ただ、検証項目はまだまだあるけれどもね」
「検証しようにも1個しか実物がないですし、ほかのギフト錬金術が使える人がいないと自分専用なのか、それとも誰でも使えるのかすらわからないですよ」
「その通りだね。 それもある。 う~む……どうしたものか……」
それもあるってことは別の事もまだまだあるって事かな? 何かを悩んでる様子のアレックさんに思い切って聞いてみる。
「魔玉を量産したいんですけど、ダメですか?」
「少し待ってくれないか? 考えをまとめてしまいたいからね」
そのまま考え込むアレックさん。 暇なのでお茶でも飲んでゆっくりしてます。 でも量産したいなぁ……。 理由を説明したらちゃんとわかってもらえるかもしれない。
考え込む前に言えばよかったなぁと思うけれど、今言うのはよくないと思うからアレックさんが考え終わるのをしばらく待っていた。
「量産して君はどうしたい?」
そんなことを聞かれた。 売ってお金にしたいのか? 他のギフト錬金術師を救いたいのか? はたまた別の目的か? 目的次第では止められるのかなぁ。
「1つは検証の為、複数個を部屋に置いておいてそれが全部1日1回使えるようになるなら、錬金術使うのが楽になります。
2つ目は品質向上の為、今までも経験でいっぱい作ると良い物がつくれるようになるってわかってたけど、知識が解放されてから同じものを作り続けると熟練度が上がって品質が上がったり、生産効率がよくなったりするってわかりました。
3つ目は新しいアイテムを目指す為、熟練度が最高まで上がると新しい関連アイテムが作れるようになるらしいから、魔玉の先を目指したいです。
4つ目は錬金術の成長の為、同じものを作り続けても熟練度が最高まで上がると、それ以後錬金術は成長しないみたいなんで、作れるアイテムは作っておきたいんです。
後は他の人が使えるようになれば便利だしなぁって思いますし……ダメですか?」
アレックさんに聞いてみると、なんか驚いた顔してたよ。 そこからため息1つついて
「まさか、そこまで考えてるとは思わなかったよ。 大まかに言ってしまえば自分の成長の為って所か。 でも、量産した物はどうする? 全部自分で使う訳にはいかないだろ?」
「品質の悪い物は壊して、教会がほしい分だけ買いますか? 魔玉って正直、学問錬金術でどうにかできる代物じゃないと思うですよねぇ」
前にガリックスさんと話したことを思い出してた。
界石にしても魔玉にしても正直どうやればギフト錬金術以外の方法で水晶に魔力を込めたり、縮んだりくっついたりするのだろうか?
「そうだね……。 錬金術ギルドでどうにかできるような代物ではなさそうだ。 そうなると仕入れルートは君だけになる。 魔玉は魔力を取り出す方法があれば、魅力的なアイテムだがその方法があるのか……。 ないならないで教会の魔法開発連中がやってくれるかな……」
「魔法って開発できるんですか?」
俺はそう聞いた。 だって魔法って既存のものを教えてもらって使うんじゃないの?
「もちろんできるさ。 君だって並列処理で魔法使うだろ? あれだって君が開発したものだよ?」
「え? でも勇者様の物語で同時に魔法を使ったってあったような」
「あれは、勇者様と仲間たちが同時に様々な魔法を使っただけで1人で複数の魔法を使ったわけではないし、複数に見えたのはレイン系の魔法だろうね。」
レイン系、簡単にいえば雨が降るように魔法攻撃をするものだ。 あれはあれで1つの魔法らしい。
「まぁ、魔法の開発は常にされてるんだよ。 ただ目標がなくてグダグダしてることが多い。 魔玉から魔力を取り出す方法を考えろと渡してやれば大喜びで飛びつくよ」
「それじゃあ作ってもいいですか?」
子供だから許されるお願いのポーズをしてみる。 自分でやるとなんかすごい嫌な気分になってきた。 なんでだろうね。 普段はしないからかな?
「それユリト君がやると違和感しかないよね。 でも、作るのは許可するよ。 ただ壊すにしても1度教会に持ってきてね」
「ありがとうございます! でも、アレックさんものすごい問題があるのです」
「問題? なにかな?」
「材料をどうやって大量に買えばいいのかなぁと……」
作るにあたりこれが1番の問題になる。 売ってる場所は知ってるけど大量に仕入れるとなれば利用方法とかなんとかで問題が出そうだ。
売ってる方だって利用価値が高い物なら正規商品にできるかもと考えるだろうしね。 でも、俺が1人で買いに行けば絶対に何か言われて面倒な事になる。
「材料の買い付けも教会でやろう。 どれくらいほしい?」
「えっと、普通の水晶より2回りくらい小さい透明な水晶1つと濁ったこぶしくらいの大きさの水晶が4つこれが1セットで……30セットくらいですか? 魔玉作るのに1週間で1個くらいしか作れないのでまとめて材料貰っても持って帰れませんし作れませんけど」
「それけっこうな額になると思うのだけど、お金は大丈夫かい……?」
当然の心配ですよね。 でも大丈夫ですよ。 最近は装備でがつんと金貨使ったり、薬草買ったり、スライムの核買ったり、串焼き買ったりしてますが、儲けは上々なのです。 だから金貨10枚ほどだして
「前にそのセットを露店で買った時は大銀貨2枚だったと思います。 確かえ~と……トルトット? って宝石店の露店だったと思うのでお店の方にいけば売ってもらえるんじゃないかなぁ~って思います。 金貨10枚あれば多少値段が上がってもなんとかなると思うんですけどどうでしょうか? 余れば寄付でいいですし」
「ポーションの売り上げは上々、冒険者としてもオークを倒してそれなりの収入がある。 意外とお金持ちなわけだね」
「しかも実家暮らしで、魔法メインで装備も痛まない。 回復アイテムは自作。 お金は貯まりますよ」
にっこり笑って言ってみた。 なんか腹黒みたいじゃない?
「では、こちらで30セットになるまで買いつつ、来週から毎週ユリト君に1セットずつ渡せばいいかな?」
「よろしくお願いします!」
きっとこれから錬金術で出来ることがもっと増えるだろうという期待に胸躍らせながら、教会に持ち込んだ時の魔玉の買取り値段とかを決めるのだった。
取引だから税金関係もしっかりしないとね!




