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薬屋さんの錬金術師  作者: エイキ
第1章、薬屋さんの息子は錬金術師
19/86

19 いきおいってあるよね? 

 今日は光の月、無の週、無の日。 

 あのギルドでのゴタゴタというか、南西の森のゴブリン退治が終わってから1か月以上がたちました。

 その間、何をしていたかといえば缶詰めでポーション作ってました。1日あたり驚きの50本生産です。売り物がなければ問題がおきる。  

 そう思って必死になってポーションを作っていたんだけど、今までよく外に出ていた子供がまったく外に出なくなり、教会にも顔を出さない有様。

 これはまずいと大人たちが動きに動き、闇の月までの限定増産ということになった。

 それでも色々あったらしい。詳しい事は聞かせてもらえなったけど、父さんや会いに来てくれたエレナさんやアレックさんが遠い目をして言ってた。 

 この3人がというかアレックさんが遠い目をするっていったい何があったんだよ!? そんなこんなで久しぶりの外です。 

 今日は昼まで教会の手伝いをして、その後は体を動かそうと思う。きっとなまってるからね。


「母さん教会に行ってくるね」


「いってらっしゃい。気を付けてね」


 そう言って俺は裏口から出かけて行った。


 久しぶりに外に出たので、教会にまっすぐに向かわずに露店を見に来た。 焼きたての串焼きとかを食べながら歩く。露店の醍醐味だよね!


「おーユリト! 久しぶりだな! 好きなの選びな!」


「おじちゃん……食べるけど、押し売りはよくないよ」


「バッカ、おめぇ押し売りなんざするわけねえだろ? 好きなもん2、3つ持ってきな。金なんかいらねぇよ。もっと持ってくならさすがにもらわなきゃやっていけなくなるけどな!」


 俺なにかしたっけ? 実は知り合いが冒険者とか警備隊で怪我でもしてポーションのおかげでとかかな? それなら納得できる。けど理由はちゃんと知っておきたいな。


「嬉しいけど、理由もわからないのに貰うのは気が引けるんだけど……」


「まぁ、ユリトが知らないのも無理はないか。おめぇがなんかやった訳じゃないしな。よっし! おっちゃんがいっちょ説明してやるか!」


 俺がした訳じゃないのに俺に串焼きくれる? なんだろ?


「ほれ、ユリトんとこ、すっげぇ騒ぎになってたじゃねぇか。んで、その騒ぎに乗っかったバカ共が居た訳よ。ついでにあくどい商売やってた連中も色々動いてたわけだな! でも、今回はすごかったなー。警備隊はもちろん、冒険者ギルドが動いて、噂じゃ教会まで出張ってきて、あげく領主様まで動いたって話よ。敵に回しちゃならねぇ所をまとめて敵に回したわけだな! そのおかげで、うざかったバカ共はきれいさっぱりいなくなって、商売やる方の風通しも良くなって万々歳ってわけよ! わかったか?」


「確かに分かったけど、それ俺なにもしてないよね? むしろ騒ぎ起こしてる側なんだけど……」


「ユリトから始まったかもしれんが、悪乗りしたのは他の連中だし、それで町がきれいになったんだ。ま、俺は感謝してるってわけで持ってけ持ってけ」


「いまいち納得できないけどもらっておくね。2本頂戴」


「あいよ! 今度は金払って食いに来てくれや!」


「ありがとー。また来るね」


 とりあえず、食べ物もらえたし食べながら教会に行こうかな……。


「ユリト! こっちにもよっててくれよ!」


「いやいや、そっち行くならこっちおいでよ」


「飴ちゃん食べる?」


「食いもんばっかりじゃ食いきれないだろ。アクセサリーいるか? 安くしとくぜ!」


「はい、これ持っておゆき」


「これも持ってけドロボー!」


 露店の人達がなんか声かけまくってきたんですけど!? 何事!? 出てきて食べ物渡された!? 続々と出てくるよ! やーめーてー……。

 しばらくすると警備隊の人が来て救出してくれた。救助ありがとうございました。渡されたものポイポイ空間収納に入れてたらさらに渡される悪循環に陥ったためどうにもならなくなってたよ。 

 これなんか後半の人はとりあえず渡しておこうみたいになってたよ。 保存食とか渡されても困るんだけどな。早く食べないとダメになるものも多いし……。教会で子供たちに配ろうかな? 


 寄り道したとはいえ教会に到着です。まずはお祈りをしましょうか。


「あら、ユリト君お久しぶりですね~」


「ジュリさん、お久しぶりです。少し遅いですけど手伝いに来ました」


「あらあら、ありがとうね。でも、お祈りが終わったらアレック様の所に行ってもらってもいいかしら? 来たら寄るように言ってって言われてるのよ」


「あ、わかりました。お祈りの後行かせてもらいますね」


 ジュリさんは奥の方へと行ってしまった。たぶん、アレックさんに報告に行くんだろうね。俺は俺でお祈りすませちゃおうか。

 お祈りもすませて、近くの僧侶さんに声をかけて案内してもらう。なんか本当はこんな簡単に、しかも毎週のようにあえる人ではないらしいと聞いたのはつい最近の事だったりする。 


「いらっしゃい。よく来たね。座るといい」


「こんにちは、アレックさん。クッキー食べますか?」


 俺は露店でもらったクッキーを1袋出した。


「いただこうか。でも、君が食べ物を持ってくるのはめずらしいね」


「教会に来る前に串焼きとか食べたくなって露店見にいったら囲まれていっぱい色々もらった。」


「……ちなみになんでそんな事になったのか聞いても?」


 アレックさんでも、この事態には驚いてるみたいだ。


「バカとか悪徳商人がきれいさっぱりいなくなったきっかけを作ったからって言ってました」


「あぁ……なるほど。 ふむ、こういう露店販売のものは始めて食べるがなかなかうまいな。これしかないのかい?」


「これしかないって1袋じゃ足りないんですか……。違う店舗のなら後2袋あるからあげますよ」


「おぉ! それはありがとう。今度誰かを買いに行かせるとしよう」


 アレックさん、クッキー好きだったのかな? なんかものすごい気に入ってるけど……。とりあえず聞きたいことを聞いておこう。


「それで話は戻るんですけど、教会も動いたって話もあったんですけど、本当ですか?」


「あ~その事も話しておかないといけないね。教会も動いたのは事実だよ。というよりも、今回の事で教会が君の後ろ盾になることになったんだよ」


 教会が後ろ盾? え? なにそれ? それいいの?


「ユリト君が混乱するのも無理はないけどね。なに、ユリト君はこれまでと何かかわるわけではないから気にしなくていいよ」


「でも、後ろ盾って何かしないといけないんじゃないんですか?」


「ん~そうだね……。教会はギフトやスキルの情報を集めているのは知っているかな? これを集めておくことによってその子の将来に役立てたり、人々の生活の助けになるようにするためだね。どんな能力かもわかっているとなおいい。そういう面からしてユリト君の情報はとても貴重だ。 身体強化の長時間発動、マジックアローなどの並列展開、剣術を覚えられない、その他もろもろ。私は今まで君から多くの情報を教えてもらい、一部は他の人達の役にも立ってる。そういう訳で実は色々ユリト君の事を裏では守っていたのだよ。だけど裏だったから、あまり表だって動けなかった。だから、表でも堂々と動けるように後ろ盾になると宣言したんだよ」


「えっと……俺も色々教会に対して役に立ってて、実は守っててもらってた。それを表に出すようにしたって事?」


「ユリト君はいい子だね……」


 なんか優しい顔でしみじみ言われた。えっとどういう事?


「ユリト君は気にしなくていい話さ。今まで通りなにかあれば私に言うといい。君にとって悪い事はたぶんないだろう」


「えっとそれじゃあ1つ、新作ポーション持って来たので預けておきますね」


「前に話してたやつだね。確かに預かったよ。それにしてもまだ界石も検証中だし、あの水晶にいたっては見当すらついていないから困ったものだよ」


「錬金術で紙が作れるくらいですし、実はなんにも意味がないかもしれないですよ」


「紙……作れるのかい?」


「作れますね。自分用以外では使いませんけど」


「ちなみに他には何か作れるかい?」


「作れそうですけど、何ができるかはわかりませんし、材料もないですからねぇ」


 一応解体の事は黙ってる。だって物がなくなったって言われたら疑われそうな魔法だもん。空間収納も容量が大きくなれば同じこと言われそうだけどもね。小さくても宝石ならいわれるかも?


「そうか。また何かわかったら教えてほしい」


「はい、それじゃ広場の方に行きますね。またきます」


「あぁ、またね」


 それじゃ、広場に行こう! 子供らが木剣が使えなくて寂しがってるかな? あと、露店の食べ物処理手伝ってくれたら嬉しいです!

検討→見当 に修正しました。

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