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薬屋さんの錬金術師  作者: エイキ
第1章、薬屋さんの息子は錬金術師
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14 新スキルの使い心地は?

 朝の鐘がなる前に北門に来た。もちろんミュースさん達守護者の人達を見送るためだ。


「ユリト! 見送りありがとうな!」


 オーランドさんが、そう声をかけてきた。スコットさんとミリアさんは向こうで商隊の人達と話をしている。


「いえ、夕食おごってもらいましたし、お得意様ですからこれくらいはしますよ」


 そんな風にオーランドさんと話をしていた。ミュースさん? ミュースさんならここに来てからずっと後ろに抱き付いて、俺に引きずられてます。話をしてると、鐘がなった。 出発の時間だね。


「ユリト君、また来た時は店に寄らせてもらうよ。元気でね」


「元気でねー。無理しちゃだめよ」


「またな!」


「う~う~……バイバイ……またね…………」


「はい、皆さんもお元気で! また来てくださいね!!」


 こうして、守護者の人達は旅立っていった。また無事な姿が見れるといいんだけど、大丈夫だよね。





 見送りをすませて、朝やることをやって、朝の混む時間が過ぎた冒険者ギルドに行く。


「いらっしゃいユリト君。昨日は来なかったけど休んでたのかな?」


 エレナさんに毎度のごとく手招きされたので、依頼掲示板からさっと依頼を取りエレナさんの待つ受付に行く。


「昨日は無の日だったんで、教会に行ってました。この依頼お願いします。」


「そういえば、無の日は教会に行ってるんだったわね。あら、薬草じゃなくてゴブリン退治でいいの?」


 少し目つきがきつくなる。危ない事したばっかりだから仕方がないかもしれないけどね。


「薬草を取りに行きたい南西は行くのしばらく禁止なんでしょ? だったら試したいことあるので北西の森でゴブリン倒しますよ。そっちだと薬草は期待できないですしね」


「向こうならそれほど危険はないと思うけど気を付けて。」


「はい、それと南西の森の事どうなってるか聞いてもいいですか?」


 南西方向が早く解禁にならないと少しやりにくいのだ。どうしても他の方向は冒険者として巣立っていく人たちに譲るべきだって思うからね。


「今Eランク以下は行くのを禁止、Dランクには森の外から様子見を依頼。 森の中に入るのはシーフがいるDランク以上のパーティかCランク以上になってるわね」


「それって……誰も森に入れないんじゃないですか?」


 この町は新人冒険者になるには支援してくれるいい町だ。でも、ほとんどがDランク昇格試験の護衛や盗賊退治で町から離れるとそのまま拠点を移してしまう。

 つまり、この町はDランク以上の冒険者が少ししかいないのだ。たしかマティスさんのCランクが1番上だったと思う。


「森に入るどころか、様子見すら厳しいわね。薬草採取に行く人達がいるから、その人達を守る意味も含めてマティスさんと数人の人はギルドからの指名依頼で街道警備を頼んであるからよけいにね」


 街道を守ってれば反対側の薬草採取は問題なくできるって事だね。でもそれで余計に人手が足りないと、


「探知使えるし、どこかに俺がまぜてもらうのは……ダメですね。はい、わかりました。」


実際、シーフゴブリンの視線はわかったし、探知があるから俺が手伝えればと思ったけどもろに睨まれた。怖いです。マジで怖いです。


「この町は新人育成の拠点みたいな所だから、こういう問題が起こるとギルドとしては弱いのよね。でも、警備隊の方が動いてくれてるから大丈夫よ」


「警備隊が動いてるんですか? 父さん何にも言ってなかったのに……」


「元冒険者が大半を占める警備隊だからね。この町の場合もしもの時は警備隊の方がよく動いてくれるわよ。実力も十分あるしね。ギルマスが警備隊の人連れて動くなんてこの町くらいよね」


「え? ギルマスが警備隊の人連れて動くって問題にならないんですか?」


「伝統的にこの町の警備隊長とギルマスは仲がいいんだけど、今の二人は幼馴染らしいし、警備隊員もギルマスの指示に従うみたいね。もちろん警備隊長の下にギルマスが入ることになるけど」


 冒険者と警備隊とか騎士団ってけっこう相容れないとか聞いたことがあったけど、この町はそんなものはまったくないらしい。すごいな。


「そんなわけで、ユリト君が出る必要はないわ。出る必要はまったくないから出ちゃだめよ。大人しくゴブリンでも退治してなさい」


「は、はい。 ユリト、ゴブリン退治にいってまいります。余計な事には首をつっこみません」


「よろしい。いってらっしゃい」


「いってきます」


 釘を刺されたので大人しくゴブリン退治に出かけることにする。って元々ゴブリン退治を受ける予定だったんだから大人しくも何もないか。





 北門から出て、西側にある森へと向かう。 実はこの森は、その昔はダンジョンだったのだ。だけど、コアが破壊されたダンジョンはだんだん規模を小さくし、小さいまま残るか消滅してしまう。 

 この森はゴブリンを生み出す機能だけ残していったダンジョンのなれの果てなのだ。

 だけど、ダンジョンの名残か他の生き物が住み着かないので新人冒険者の育成場所として使われている。


 そんな森で今日は行動する訳だが、ただゴブリンを倒すだけじゃない。せっかくスキルで気配察知と危機察知を覚えたのでそれを体感してみようと思うのだ。

 具体的には、身体強化も気功も使わないで森を歩くのだ。後は慎重に行動して自分の気配を抑えられないかなと思ってる。これができれば隠密行動を覚えられるらしい。情報元はミュースさんだ。

 隠密行動があれば、魔力草を探しに森に入る時にも役に立つはずなのでこの機会に覚えられるようにがんばろうと思う。


 さて、森に入ろう。目標はゴブリンの暗殺と冒険者に気が付かれないことだ。

 まずは来るまで使ってた身体強化と気功を切る。そこから気配察知と危機察知を意識して使ってみる。

 使ってみると言っても魔法じゃないので使ってるぞ~使ってるぞ~って思うだけなんだけどね。

 なんとなく、本当になんとなく気配察知はどんなものか感じ取ることができた。でも、危機察知は無理だね。だった危機を察知ってことは危機が起こりそうにないとダメだからなぁ。

 後はこれで森を移動してゴブリンや冒険者を感じ取れればいいわけだね。がんばっていきましょう。


 しばらくは自分の気配は消すように、周りの気配は感じるように意識して移動した。なんとなく感じたものがある方向に進むと冒険者達がいた。20mくらい先なら感じるのかな?

 気が付かれないように冒険者たちから離れる。だって1つ年上の嫌いな連中だったのだ。俺の事ものすごく貶してくるんだよね。 

 それにしても、俺達はもうすぐここから旅立つぜ。って自慢するように言ってから3か月くらいたつけどこんな所でなにやってるんだろうね。なにか仕事失敗したかな? そんなことを考えながら完全に何も感じない位置まで離れた。

 離れる時は40mくらいまで居る感じがわかったから、ちゃんと使えるようになれば40mでも気が付けるようになるのかな……。

 しかし、困った。あいつらくらいの力をなんとなく感じるってことは、ゴブリンなんてほとんど感じ取れないんじゃないかな? いっそのことあいつらの後付け回せば感覚鍛えらえるかな? いや、見つかった時もまずいけど、あいつらのそばにいること自体が嫌だな。ゴブリンも倒さないといけないしね。そんな訳で再び森をさまよう事にする。


 しばらく森の中を歩いていると近くに気配を感じた。って10mもないよ! サッと感じた方からは見えないように隠れる。隠れたまま、そちらを意識すると弱い気配が移動してるのが分かった。

 こっそりそちらを見るとゴブリンだった。こんなに弱い気配じゃ探すの大変そうだな。とりあえず倒そうか。 


 ゴブリンは3匹で行動してるのを確認した。ゴブリンは3匹1組で行動することが多いので基本的な行動パターンだ。

 この前は何が起こるかわからなかったからそのまま使ったけども、今日は節約してマジックアローを作る。普通は親指と人差し指でわっかを作るくらいの太さがあるけど、それを指2本分くらいの細さにして込める魔力は7割くらい。 

 それを3本セットして狙いをつける。普段ならこのまま撃つけど、今日は隠密行動目当てでなるべく近づく。暗殺目的なのに近づくこれいかに。まぁいいか。これができたら覚えるわけじゃないけど、何事も経験だからね。 ゴブリン達の後ろから気が付かれないように近づく。 

 少しずつ距離を詰める。詰めるんだけどあの……えっと……1m後ろに立ってる相手に気が付かないってどういう事? まぁいっか。


「展開。行け」


 小さくつぶやくとマジックアローがゴブリン達を襲う! 1mじゃ外れるわけないのでゴブリン達はそのまま貫かれ死んだ。さっと解体を使って魔石を回収する。

 今日はできる限りこの方法でゴブリン退治をしようかな。目指せ隠密行動と気配察知の精度上昇! 俺はいったいどこにむかっているのかと言われそうだな。



気が付かれないだ。→気が付かれないことだ。 変な口調に見えるかもという事で修正しました。

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