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薬屋さんの錬金術師  作者: エイキ
第1章、薬屋さんの息子は錬金術師
13/86

13 神話と確認の儀(有料)

 そこは何もない場所でした。

 神様はそこに大地を作りました。

 何もない大地に雨を降らせ、水が流れるようになりました。

 太陽を作り熱が生み出されました。

 月を作り太陽に休みを与えました。

 風が吹き更なる動きが生み出されました。

 大地があり、水があり、熱があり、風が吹く。

 だけど、それだけではとても寂しい景色でした。

 神は緑を作りました。

 大地は緑に溢れました。

 でも、まだ神様は寂しいと思いました。

 神様は生き物を作りました。

 神様は生き物たちの様子を見て満足しました。

 でも、生き物たちはすべて死んでしまいました。

 たくさん食べて、食べるものがなくなって死んでしまいました。

 神様は悲しみました。

 だから、もう1度生き物を作りました。

 神様は新しく作った生き物たちを大事にしました。

 見ているだけではなく、色々手助けをしたのです。

 ですが、生き物たちは増えてしまって神様だけでは手助けできなくなってしまったのです。

 だから神様は、新しく知性ある生き物を作りました。

 こうして人間は生まれたのです。

 人間に様々な事を教え、力を与えました。

 こうしてとても平和で幸せな世界が出来上がりました。

 しかし、神様も予想していなかったことが起こってしまいました。

 大地を作った時に邪悪な存在が入り込んでしまっていたのです。

 邪悪な存在は神様が使った力や与えた力を少しずつ吸収していたのです。

 そして、邪悪な存在は姿を得て自らの事を魔王と名乗ったのです。

 魔王は多くのものに与えられた力を1人で取り込んだのでとてもとても強い存在になってしまいました。

 最初に神様が作り、死んでしまった生き物たちを自分の配下、魔物として蘇らせました。

 人間は必死に戦いましたがどんどん数を減らしていきました。

 神様は力を与えたいと思いました。

 でも、この世界はすでに多くの力を与えられたので、もうあまり力を与えられません。

 どうすれば人間を救えるか神様は考えました。

 そして神様は人間に与えられる最後の力を与えました。

 それは勇者召喚。

 異世界から勇者を呼び出す神秘の法。

 人間は異世界から勇者様を呼びました。

 神様は呼び出した勇者様と世界と世界の間で会いました。

 神様は世界と世界の間で勇者様に大きな力を与えられました。

 召喚された勇者様は魔物と魔王に戦いを挑みました。

 勇者様と共に人間も戦いました。

 戦いの果て勇者様は魔王を倒しました。

 しかし、世界には魔物が溢れてしまいました。

 神様はもう見守る事しかできません。

 でも、勇者様と人間は力を合わせて戦い続けます。

 こうして今も世界は続いているのです。





 お昼を食べて教会に戻ると礼拝堂で神話の朗読をしていた。見習い僧侶達が日に3度、交代でやっている。

 俺はこの神話のせいで神様があんまり好きじゃない。作った大地に邪悪な存在が入り込んでしまったのは不注意だなぁとは思うけど、失敗は誰にでもある。神様だって失敗するだろう。

 実際、最初の生き物達は全滅してしまっているしね。でも、勇者召喚はダメだ。ここがものすごい引っかかる。自分たちだけじゃどうにもできないからって赤の他人を無理やり引っ張ってきてる。これはただの誘拐だし、挙句の果て最前線で戦わせるとかありえないと思う。倒した魔王は復活するしね。 

 今は勇者様がいれば魔王が復活できないってわかったから勇者様が亡くなると新しい勇者様を召喚してる。勇者様が居ないと存続させることのできない世界で生きてるとは言え、やっぱり勇者召喚は気に入らない。

 この事に関しては誰にも話せないからイライラが募るばかりだけど、これからアレックさんと会わなきゃならないから気持ち入れ替えないとね。

 こんな世界の為に色々と尽くしてくれた勇者様方に心より感謝を捧げる。





「いらっしゃいユリト君。待っていたよ。さぁ座るといい」


 確認の儀をする水晶のある部屋に入るとアレックさんが待っていた。


「いつもちょうどよくここにいますよね。暇なんですか?」


「君が来たら連絡するように言ってあるからね。暇ではないけど君と会う時間を作れないほど忙しくもないよ」


 どちらかと言えば田舎に近い町だから仕事は少ないのかな? それともアレックさんが優秀なのか……。


「さて、確認の儀を行うということでいいかな?」


「はい、お願いします」


 俺は、お願いしてお金を渡す。大銀貨3枚かかるのは高くないか? って思うけど実はできる人が限られてるらしい。この教会だと半分以上をアレックさんが見てるらしい。

 慣れた手つきで水晶に触る。触るのに慣れるも何もないか。


「うん、さすがユリト君。情報がまた増えてるね。書き取るこっちも大変だよ」


 また増えてるのか。ん? あれ?


「スキルが増えてるんじゃなくて情報が増えてるんですか?」


「いいところに気が付くね。それは後のお楽しみだね」


 スキル以外の情報が増えるってそんなことあるの? 能力とギフトとスキルが表示されるけど、能力とギフトって増えたりしないはずだけど……え? 増えたり減ったりするのか?

 頭の中で疑問がグルグルしてるけど、どうせ答えてくれないのはわかっているので大人しく待つことにした。 


「さて、これがユリト君の今の状態だね。確認して」


 アレックさんから能力の書かれた紙を渡される。え~と、なになに……。




 身体能力D 魔力B+

 ギフト 錬金術

 スキル 基礎魔法、清浄、空間収納、調薬、瞑想、マジックアロー、身体強化、探知、気功、魔力把握、魔力制御、最大魔力上昇、魔力回復量上昇、魔力枯渇耐性、魔力吸収、気配察知、危機察知



 んっと……魔力B+? +って何だ? それにスキルで気配察知と危機察知が増えてる!


「アレックさんB+って何? それになんかまたスキルが増えてる」


「レベルが上がると、極々稀に能力強化がされるんだよ。その証拠が+だね。でも、これがAに上がるって報告は今の所ないね。一説にはかなり無茶な修業をした人間に起こると言われてるけど……ユリト君なら納得だね」


 確かに納得です。毎日寝る前に空間収納拡張のために限界ギリギリまで魔力使って、気絶するように寝てるからね。けっして気絶してる訳でないのだ。


 ちなみに、基礎魔法はファイヤ、ウォーター、アース、ウィンド、ライトを覚えるとこれにひとまとめになる。 

 清浄は、体がそこそこきれいになる。全身返り血まみれとかはさすがにきれいにならない。

 瞑想は、魔力に集中して大人しくしてると魔力の回復が早くなる。 

 魔力把握は、体内の魔力を把握できる。これでどれだけ魔力が減ったとかそういうのがわかるのだ。

 魔力制御は、身体強化でどれくらいの出力にするか? とかマジックアローに魔力をつぎ込むとかができるようになる。

 魔力吸収は、魔力回復量向上とは別に体外から魔力を少しずつ吸収できる。けっして魔法を無力化して吸収とかはできない。

 魔力枯渇耐性は、今まで倒れた回数をお察しください。

 全てアレックさんから聞いた事になります。


「魔力枯渇耐性なんて持ってるくらいですからね。それで気配察知と危機察知も増えてるのですけど……」


「両方とも名前通りだね。説明にもならないけど、気配を察知できる。危機を察知できる。これを鍛えればシーフもできるようになるね」


「シーフになるつもりはないですけど、森の中の探索はこれでより安全にできるようになりそうですね」


 気配察知はシーフゴブリンかな? いや、ミリアさんとミュースさんの奇襲で覚えたのかもしれない。危機察知はなんだろ? シーフゴブリンに脅威を覚えなかったのはこれのおかげなのかもしれない。でもいつ覚えたんだろう? 


「そのスキルはいつ覚えたかわからないけど、それほど時間は立ってないだろうから油断しないように。特に南西の森に入ってはいけないよ」


「ギルドですでに禁止って言われてるんですけど、もう教会にまで情報が回ってきてるんですか?」


「ギルドの方では禁止令と依頼が昨日すでに出ているよ」


 さすがに行動が早い。今日はギルドに寄ってないしまったく知らなかった。


「さて、色々話をしたいけど、私も仕事をしなければいけない。ユリト君も子供たちと遊んであげるのだろ? ここで終わりにしようか」


「はい、ありがとうございました」


 二人で部屋を出てアレックさんは自分の仕事に戻っていった。さてと、子供の相手してやらないとな。明日はとりあえずギルドで情報収集かな? 



夜 、店にミュースさんが訪ねてきた。仕事で町を離れるので挨拶にきてくれたのだ。


「明日から仕事……。 元気で」


 なんかしゅんとしてる。まぁ毎回こんな感じではあるんだけどね。


「明日はいつ出発なんですか? 見送りに行きますよ」


「朝一の鐘、北門、大丈夫?」


「いつもそれよりも早い時間に起きてるから大丈夫ですよ。必ず行きますね」


「ん。待ってる」


 そういって出て行くミュースさんを見送る。明日は絶対に寝坊しないようにしないとね。


スキルに調薬を追加しました。

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