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薬屋さんの錬金術師  作者: エイキ
第1章、薬屋さんの息子は錬金術師
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1 確認の儀とギフト

読みに来ていただいたことありがとうございます。

感想返しへの負担が予想以上の為、感想をいただいても返事ができません。

感想を書かれる時は、その事を理解の上でよろしくお願いします。

「では、こちらにどうぞ」


 男性神官に連れられて教会の一室に親子が入っていった。

 茶色の髪を肩ほどでまとめた母親と、茶色の髪を短く刈り込み引き締まった体の父親、そして両親とは違い、黒髪で歳の割には大人しい印象を与える子供だった。

 そんな親子が入った部屋には水晶が置いてあった。

 親子に椅子を勧めて、神官は水晶の向こう側につくと


「それでは確認の儀を行いたいと思います。私はアレック=ルースと言います。君の名前を教えてもらえるかな?」


「ユリト=アルミスです。よろしくお願いします」


 これくらいの歳の子供だと興奮したり、緊張のせいで答えられなかったり

慌ててしまうものだが、そういった様子を見せず普通に挨拶したので、僅かに驚いたようだが、すぐに自分のすべきことを続けるため優しい口調で話しかける。


「ユリト君ですね? ではまず確認の儀の説明してもいいでかな?」


 ユリトは、はい と答えたので説明をしていくことになった。

 中には内容を知っているため、早くやりたい! と言う子供もいるため

その辺りは、その都度対応をしている。


「では、確認の儀の説明をするね。この儀式は5歳になると誰でも受けることができるよ。そして、何を確認するのかと言うと、体がどれくらい強くなりやすいか? 魔力を持っているか? ギフトを持っているか? それを確認することを確認の儀と言うんだよ」


 アレックの説明を聞き、ユリトがこてんと首をかしげ、


「ギフトってなんですか?」


 と、聞いてきたのでギフトについても説明をする。


「ギフトとは、生まれた時にから神様がくれたスキルの事を言うんだよ。スキルはわかるかな?」


「おとうさんの剣術とかおかあさんの調薬がスキルだって聞きました」


「そう、剣術も調薬もスキルだね。スキルというのはがんばってうまく出来るようになったご褒美に、少し力をくれるものなんだよ」


 ユリトはその話を、うんうんと頷き、なんとなく理解したようだった。

 母親はユリトのその様子を見て微笑み、父親は頭をワシワシと撫でていた。


「もっと詳しいことが知りたくなったら、また聞きに来るといいよ。それでは、確認の儀を始めるよ。水晶に触ってくれるかな? 私が確認するからいいと言うまで触ったままでいてね」


 ユリトは、はい と返事をして水晶に触った。

 水晶が薄らと光ったのを確認したアレックは、水晶から情報を読み取り手元の紙にその情報を書き込んでいくが、眉をひそめた。


「あの……どうかしましたでしょうか?」


 アレックが眉をひそめたのを見た母親が心配そうに聞くと、アレックはハッと表情を戻す。


「ユリト君、もう大丈夫だから座ってもらっていいよ。私のせいで心配させてしまい申し訳ございませんでした。何か問題があるわけではないのでご安心ください。説明させていただきますのでお聞きください」


 アレックは自分の失態のせいで、心配させてしまったことを謝罪し

心配を払しょくするために慌てて説明をする。


「もう一度言いますが、何か問題があるわけではありません。 

 まず能力は高い方から、S・A・B・C・D・E・Fとなっています。ユリト君の場合、身体能力がDでした。 身体能力の基本はEとなりますので、少し体が丈夫に育つと考えてもらってかまいません。そして魔力なのですが……こちらはBという結果が出ました」


「「魔力がBですか!?」」


 両親は声を揃えて驚いた。ユリトはその両親の驚いた声に驚いていたが、それを無視してアレックは話を進める。


「確かに魔力はBなのですが、ギフトが錬金術だけなのです」


 それがどうしたのか? わからないで困惑気味な両親はアレックの話の続きを待つ。


「魔力があれば簡単な魔法……例えば火を出すファイア、水を出すウォーターなどは使うことができます。しかし、攻撃や回復などに使用する魔法はその属性を持っていないと使う事ができません。そして、この属性はギフトなので最初から使えるものが決まっているのです」


 ここまで聞いて両親にもようやく理解できたような顔をした。つまりユリトは大きな魔力を持ちながら、魔法使いとしての資質がなかったのだ。 

 しかし、ここで父親が先ほど言われたギフトの事を思い出したようだ。


「錬金術ってのは魔法じゃないのか?」


 その疑問に答えたのは、アレックではなく妻の方だった。


「あなた、どうしてギフトなのかはわからないけど、錬金術は魔法ではなく学問なのよ。材料を組み合わせて、別のものを作り出す……私がしてる薬の調合みたいなものなの……」


「そうなのか……」


 お互いに顔を見てため息をついてしまった。


「お気持ちはわかりますが、お子さんの前ですので……」


 アレックにそう言われ、ハッとしてユリトの顔を見るとキョトンとしていた。思わず母親はユリトを抱きしめるが、ユリト益々何が何だかわからないといった表情をしていた。

 そこに、アレックが続きを話してもいいか聞いてきたので、両親は頷き話の先を促した。


「これで、失礼な事でしたが私があんな顔をしてしまった理由がわかっていただけたと思いますが、訂正しておきたいことがありますのでお聞きください。 まずギフトの錬金術ですが、これは魔法になります」


 両親は、え? と驚きの声を出したが、アレックはそのまま説明を続ける。


「ややこしいのですが、錬金術は魔法系のギフトなのです。そしてギフトの錬金術で得られた物とそれを作る材料を研究して、ギフトなしで作り出す事を目指し作り出すのが、学問による錬金術になります。 しかし、ここが問題になるのです」


「それはどういう事ですか? 魔法として錬金術が使えるのであればそれはいいことだと思うのですが……」


 何が問題なのかさっぱりわからない母親はユリトを膝の上に乗せそう問いかけた。


「問題は3つあると言われています。1つは物を作る時に魔力の消費が激しく量が作れないこと。2つ目は、感覚で材料や作れる物がわかるらしいのですが、それが分からなければ何もできないこと。そして3つ目……これが一番大きな理由なのですが、今までギフトで作り方のわかったものは全てギフトに頼らず作り出す事が可能なのです」


 両親もここまで説明されて完全に納得したようだった。しかし、アレックは続ける。


「ギフト錬金術は使い勝手の悪い物だと思います。しかし、ギフトが無くとも使える魔法はあります。その魔法の力は小さくとも便利に利用できる。 体も少々丈夫に育ちます。どちらかと言えばユリト君は恵まれた方だとも言えると思いますよ。後はお二人がどのように育てていくか……それだけだと思います」


 優しい顔でアレックはそう締めくくった。 


「確かに最後は私たちの育て方次第ですね……。魔力を聞いて驚いてしまいましたが、ユリトはその事を気にせず、立派に育てたいと思います。 ねぇあなた」

 

「あぁ! もちろんだとも!」


 両親のその言葉を聞いたアレックは微笑みながら最後の仕事をする。


「それでは、本日の確認の儀を終了したいと思います。ユリト君もお疲れ様でした」


「ありがとうございました!」


 今まで静かにしていたユリトが元気に挨拶したのに少し驚いたようだが、

アレックはユリトの頭をなでた。 

 そのユリトの目には強い意志が宿ったようだが、それに気づく者はいなかった。

男性神官の年齢変更しました。 年齢表記なしへ

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