「住んでいるマンションの前に、自販機がある。」②
掲載日:2026/05/20
「住んでいるマンションの前に、自販機がある。」から始まるストーリーを400文字で自由に書くという課題。
住んでいるマンションの前に、自販機がある。
しかし18歳の僕は、その自販機を使う人をまだ一度も見たことがない。
夏休みのある日、幼なじみのみゆきから「家に行ってもいい?」と連絡が来た。
明後日に迫った引っ越しの前に、どうしても話しておきたいことがあるらしい。
いつも明るくて元気なみゆきに、僕はずっと恋をしていた。
彼女が初めて部屋に来ると思うと妙に緊張したが、迎える準備は何もできていない。
買い出しに行く時間もなく、仕方なく例の自販機でそれらしいものを選んだ。
赤く光るボタンの列だけが、やけに大人びて見えた。
振り返ると、そこにみゆきが立っていた。
二人の時間が一瞬止まる。
僕の胸の鼓動だけが妙に大きく聞こえた。
次の瞬間、彼女の平手が僕の頬を打った。
しばらくして部屋に戻ったとき、隣にみゆきの姿はなかった。
残されていたのは「0.02」と書かれた小さな箱だけ。
愛を語るはずだったその箱は、僕にはまだ早かった。
他にもいくつかのストーリーを考えたので足を運んでいただけたら嬉しいです。




