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天翔ける妖精姫の挽歌

作者: 三沢 七生
掲載日:2025/11/28

小説『不思議な魔女っ子とちびっ子サポーターの冒険譚』より

ああ、遠きレグモンド帝国 人間族の王座に

奇蹟の如く 産まれし 一人の乙女

その名はアナスタシア 息を呑むほどの 天上の美貌

背には まばゆき 妖精の羽根(はね)を宿せり


その羽根は 大気を切り裂き 天高く 自由を謳歌し

その才は 古の魔導師をも 凌駕する秘蹟(ひせき)の魔法なり


彼女は 天より与えられし力を 惜しみなく使い

嗚呼、大空を駆ける 勇敢なる妖精姫フェアリー・プリンセス




瞬く魔法は 魔物の群れを バッタバッタと 塵に変え

彼女の翼が 一度(ひとたび)通過せし 帝国の空より

禍々しき魔物の影は 跡形もなく 消え去りぬ

嗚呼、彼女こそ 天空の守護者にして 帝国の至宝


されど悲しきかな 種族の運命(さだめ)

短命なる人間族と 長寿なる妖精族の間に 横たわる 時の淵

やがて父王は崩御し 兄弟は老い 時は無情にも過ぎゆく

乙女の姿のまま 彼女は大皇女(グランド・プリンセス)と呼ばれぬ




一人 天涯に取り残されし 大皇女の孤独を憂い

年老いた兄弟たちが 最後の贈り物を捧ぐ

それは 巨大なるマグヌス・ワイバーンの卵

やがて孵りし巨翼は 彼女の唯一無二の盟友となりぬ


大空を 二つの影は 威風堂々と 駆け抜けん

マグヌスの巨体に 掲げられしは 大皇女の紋章旗


その旗を見るは 空賊にとっての戦慄の予兆

彼らは アナスタシアを 『空の悪魔(スカイ・デビル)』と呼び 恐れおののいた




ああ、空賊にとって その旗は悪魔の来臨を告げ

されど 愛深き帝国臣民にとっては希望の証なり

敬愛する大皇女殿下が 空より この地を守護(まも)り給うと

侵略を(くわだ)つ者も その旗を見て 戦意を失せり


孤独なる運命を(いだ)き 空を駆ける永遠の乙女

今もなお レグモンド帝国の空の何処か


マグヌス・ワイバーンの背に アナスタシア大皇女の旗は

風を受けて高らかに 永遠(とわ)に その栄光の証を 天空に掲げ給う


絶賛執筆中の作品中に掲載した詩となります。


人間族国家であるレグモンド帝国の皇族に隔世遺伝で産まれた唯一の妖精族であるアナスタシア大皇女殿下。

数々の逸話を持つ彼女の歌を吟遊詩人が歌うエピソードのために作った詩です。


いかにも吟遊詩人が歌ってそうな歌詞を意識しました。


『533.妖精姫のエレジー』にて登場します。

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