1-8 姉の名は坂城彩乃
登場人物
大道寺勇木=ユークリウッド 主人公 高校2年生
望月愛依 後輩 高校1年生
秋時雨冬馬 同級生 高校2年生
坂城アリア=アリシア 同級生 高校2年生
山田人志 同級生 高校2年生
小野沢道隆 担任 教諭
天堂咲樹=サキュエル 同級生 高校2年生
燈花=トルガルカ 喫茶店のマスター
坂城源蔵 掃除好きの組長
アラキバ 中級神官
貧しい家庭に生まれた坂城源蔵は、幼い頃から問題児であった。
しかしいつも姉がそれを解決してくれた。姉の名は坂城彩乃。女でありながら街の誰よりも強く、そして美しかった。そんな姉が源蔵にとって誇りであり目標でもあった。
誕生日に渡した髪留めを嬉しそうに受け取ってくれた。源蔵がひとり泣く日も、優しく頭を撫でてくれた。喧嘩し傷つき帰った日も、「おかえり」と暖かく出迎えてくれた。
しかし背が伸びるにつれて、姉の存在は遠くなっていった。朝源蔵よりも早くに家を出て、夜遅くに帰宅する。同じ家に住んでいるのに会うこともなく、話す機会も減っていった。
そんなある日、悲劇が襲った。彩乃が事故で死んだ。その時になって初めて、源蔵は姉がアルバイトをして家計を手助けしていたことを知った。
だが少年の源蔵にはそれを受け止めるだけの器がなかった。そして貧しい彼が道を踏み外すのに、そう時間は掛からなかった。学校を辞め、法に触れることも多く犯した。
源蔵が組を任されるようになる数年前、何の前触れもなくアリアと名乗る少女が島を荒らすようになった。現場に駆けつけた源蔵は、しかし呆気なく年端も行かぬ少女に敗北した。
「取引をしよう。力を貸す代わりに、身を保証してもらいたい」
アリアには何でも成せる不思議な力があった。源蔵は戸籍を入手し、自身の娘として受け入れた。外見こそ少女だが、事実上アリアがボスとなり島を牛耳った。
すると瞬く間に島は成長し、源蔵は組の長まで上り詰めた。彼はアリアのことを本当の娘のように愛し、またボスとして失った姉のように慕った。
雨が降り止まないある日、外を見つめながらアリアは源蔵にひとつ頼みごとをした。
「――絶対に破れない場所に、これを保管してほしい」
そう手渡されたのは朱色の結晶。命令通りに源蔵はそれを厳重に保管した。そして今日、敵の襲撃を受け真っ先にそれを自身の懐に入れた。
それが、――彼女を殺すものだと知らずに。
登場人物
大道寺勇木=ユークリウッド 主人公 高校2年生
望月愛依 後輩 高校1年生
秋時雨冬馬 同級生 高校2年生
坂城アリア=アリシア 同級生 高校2年生
山田人志 同級生 高校2年生
小野沢道隆 担任 教諭
天堂咲樹=サキュエル 同級生 高校2年生
燈花=トルガルカ 喫茶店のマスター
坂城源蔵 掃除好きの組長
アラキバ 中級神官
坂城彩乃 ???