触れる
名前は偽名ですが実話です。
地味女で平凡なあや。
人生の歯車が少しずつ狂いはじめ、マンガのような波乱万丈の道へ触れる。
平凡な人生から波乱万丈人生への序章…
太った地味女鈴木あや。
高校入学。
少し髪が伸びた。
制服はセーラー服からブレザーに変わった。
…が相変わらずスカートはひざ下30cm。
短くなるどころか長くなった。
中学からの仲間もいるので友達には不自由しなかった。
女30人男10人のクラス。
恋愛対象探しには不自由かな。
一応ここは介護福祉科のある高校。
だが地元では有名な不良高校。
普通科はヤンキーとギャルだらけ。
あやはマジメか地味な奴が揃う福祉科。
毎日バスに乗り隣町の高校に通う。
夏休み
朝、家で寝ていると親から叩き起こされる。
「あや、友達から電話」電話をうけとる。
「もしもし!あやっ!何時まで寝てるの!」
「10時すぎ…」
「そんなこと聞いてない!!大変!!テレビ見てないの?!」
寝てたのに見てるわけない。
「どうした?」
「いいからテレビみて!!」
寝ぼけ眼でテレビをつける。
どのチャンネルもみんな同じ事件を取材している。
内容は『家族6人殺傷事件』だ。
「これがどうした?」
「バカ!よく見て!」
あらっ?…県内の事件?この風景は高校の近く?
ヘリコプターで全体的な風景が撮られていた。
青いブルーシートが光っているのが見える。
近くの田んぼやあぜ道に見たことないほどのパトカーが列になり停車。
マスコミが所々に見える。
「私達の同級生が先輩の家族を殺傷したんだって!!」
え?!!
「先生に電話したら先生がパニックになって“〇〇〇君が!〇〇〇君が!”って言い続けてた。」
〇〇〇君と言うのは隣クラスの男子。
どちらかと言えばマジメではないが目立たない。
どっちかと言えば地味。
このクラスが馴染むらしくよくあやのクラスに来ていた。
夏休み前私の席に座ってたやつだよね…。
勝手に座ってて授業開始ギリギリまで座ってた。
普通だったけど本当にあいつがしたの…??
携帯に別の友達から電話がかかる。
内容は同じ事だった。
うるさいので家の電話と携帯をくっつけた。
声がデカい人同士なので会話ができていた。
やってみるもんだな。
友達同士で会話させておく。
その間に事件のことを母に話す。
ちょうどその時、テレビで校長がしゃべり始めた。
「このたびはお騒がせして申し訳ありません…」
「明日、生徒全員を集めて臨時全校集会を行いたいと思います。」
ええ!!
夏休みなのに!
学校の決定には逆らえない。
私はこの日、母の実家に里帰りする予定だった。
祖母の家に制服も持って行く。
翌日祖母の家から登校。
いつも乗っている朝一番のバスに乗車。
仲の良いいつもの仲間と4人で後ろの席に座る。
事件等はなかったかのような普通の会話。
違ったのは隣町に入ってからだった。
いつもの風景…
いつもの時間…
なのに道路が妙に混んでいる。
バスを降りる。
バス停から高校まで歩く。
高校の校門前…
見たことないマスコミの人だかり。
朝一番についた私達。
カメラが私達に向く。
カメラのレンズが私達の方向についてくる。
シャッター音が鳴る。
顔を隠して校門を一気に走り抜ける。
玄関近くになりホッとしかけたが、
玄関までマスコミが入っている。
え?!
マスコミがここまできてる!!
こういう事件の時ってマスコミを校内に入れないんじゃないの?!
玄関から入れないよ!!
私はその場で靴を脱ぎ、手に持つ。
裏にまわり中庭を通り走って教室へいく。
マスコミを振り切るのが大変だった。
「すごい!なにこれ!」
「マスコミがここまできてるし!」
みんな興奮状態。
いつもテレビで何気なく見ている様子…
実際に体験して困惑したあや達。
教室は1階にある。
教室の中まではこないよな。
安心して窓際で友達と会話する。
「びっくりしたなぁ」
「私達もテレビに出るかもな」
後ろから声がする。
「ねぇ君達は犯人の子と同級生だよね?」
ガバッと振り向き後ろを見る。
テレビでいつも見る有名アナウンサーがマイクをあや達に向ける。
後ろにはカメラも見える。
「えっ?!あっ!そうですけど…」
といいながら後ずさり。
窓際からあわてて離れる。
油断ができない。
マスコミと言う大人達の真剣さがだんだん怖くなる。
それからは窓際にいるクラスメイトに
「そこは危ないよ!」と声をかける。
スキを見せるとすぐマスコミが寄ってくる。
全校集会が始まる。
夏休みで緊急と言うこともあり、
金髪のまま来てる人
ネイルをつけたままの人もいた。
そんな人だけを強調し編集した映像だけがテレビで放送された。
いかにも不良校ですと言わんばかりの内容で…。
学校は終わったがマスコミは増える一方だった。
もう正門からは帰れない。
そう悟ったあや達は裏門から外へ出る。
裏の田んぼ中を通っる。
生徒しか知らないはずの道。
だがやはりマスコミが待ちかまえていた。
テープライターとマイクとカメラをあやに向け、
「犯人の子と同級生かな?犯人ってどんな子?」
「仲良くない?何か知ってることない?」
とすごい勢いで聞いてくる。
そんな大人を友達と急いで振り切る。
走ってバス停へ…。
バス停の周りもマスコミだらけ。
もうだめだ…またマスコミにかこまれる…。
ちょうどいいタイミングでバスがきた!!
ギリギリで駆け込み乗車をする!
がマスコミが中まで乗ってきた!!
ヤバい!
「このバスは隣町に向かうバスです。
ご用のない方はお降りください」
バスの運転手さんが助けてくれた!!
マスコミはそそくさとバスを降りる。
こうして嵐のようなマンガのような1日が終わる。
家でまたニュースの番組を見る。
顔は映っていなかったが私達の首から下の映像は何度もテレビで出ていた。
犯人はすでに捕まっていたがその事件は前代未聞だったためニュースで流れ続けた。
そしてあやはこの事件をキッカケに
ニュースの裏側を知り、恐い思いをしたため
マスコミ嫌いとなる。
事件に自分が関わっているわけではないが自分の近くで殺人事件が起こることはあまりない事だと思い、この事件の騒動も載せてみました。