探し始める
地味女、鈴木あや。
これから変わっていくきっかけとなる自分解析を始める。
そのタイミングで起きた珍事件…。
太った地味女でボーイッシュな女鈴木あや。
高校入学式5日前。
友達と近くの山まで桜見に行く約束をする。
「じゃぁ明日の10時に待ち合わせしよう」
電話をきる
「あや!早く風呂にはいりなさい」と母さんが言う。
風呂場に行くと妹とかち合う。
しかたないので久しぶりに妹と風呂に入る。
中学生のクセに色気のある妹。
色気が一つもない私。
最近友達から言われること…
「あんたが男なら惚れてたわ」
「あんた痩せたらかわいいのに」
と言われる。
たしかに…。
妹さちは美人。
クラスの子からモテモテ。
昔は私と似てると言われていたのに最近は言われない。
どっちかと言えば私は女にもててるし。嬉しくないなぁ。
髪の毛伸ばしたら変わるかな?
髪伸ばしてみようかなっと。
この時から髪を伸ばし始める。
色々考えてるうちに妹が風呂から出た。
私はまだ湯船の外で体を洗っている最中。
「姉ちゃんノロいわ。先に出るよ」
風呂場のドアを閉める。
ノロくて悪かったな。
いつもの事だよ。
マイペースと言ってくれ。
その時だった。
目の前に何か白い物が見えた。
は…?と思った瞬間…。
ガチャン!!!
体を洗っていた私は本能的に身体を縮めて何かをよけた。
頭が真っ白になった。
はっ!!っと気がつくと周りはガラスの破片がたくさん散らばっている。
裸のあやもガラスの破片がたくさん刺さってる。
驚きつつも自己解析する余裕があった。えっ…とぉ…これは??(汗)
そっかぁ…天井の電球カバーが落ちてきたんだ。
うちの風呂場の電球カバーはガラスでてきていて直径30cm。厚みが1cm以上ある。
って言うのは割れた後知ったが…。
ビックリしすぎて声が出ない。
頭の中はパニックだが身体が動かないしガラスの破片だらけなので下手に動けない。
脱衣場にいた妹が音を聞きつけてドアをあける。
「今の音、何?はっ?」
落ち着いた顔のままじっと私を見る。
「誰か呼んできて。」
「ふ~ん」
ふ~んて言うな!!
ここは普通ビックリするとこだろ!!
なぜそんなに反応が薄い!!
とブツブツいいながら刺さったガラスを一粒ずつ抜いていく。
奥の部屋の声が聞こえる。
「母さん、姉ちゃんがさぁ…」
落ち着いたまま言うもんだから親達も状況が読めずに何事か??と思いながら歩いてくる。
だれか慌ててよ。
「あやどうした??」
「あっ?!何これ!!さち!大変じゃん!!早く言ってよ!」
「あや!大丈夫?!」
いいえ大丈夫じゃありませんけど。
やっと慌ててくれた。
あや救助作戦が始まる。
お湯を救って流すにもお湯の中にもガラスがいっぱい。
私は立つにも立てない状態。
まず親が脱衣場からガラスをかき集める。
風呂場の床にぶ厚いじゅうたんを敷き、母があやの側までくる。
手をひいてもらい立つ。
身体についてるガラスを丁寧に落とす。
破片が時々刺さる。
イタタっ!!
茶の間まで裸でいくと親父がいた。
笑いながら
「お前どうした??」
反抗期だったあやは
「どけよ!クソ親父!」と八つ当たりしてみた。
親父が何か言っているのを横目にガラスが他に刺さってないかをチェック。
服を着る。
足に2箇所大きな破片が刺さっていた。
足の傷がうずく。
夜間緊急病院に行く。
田舎の病院なので看護婦さんもビックリ。
「パックリ切れてるわねぇ」
「縫った方がいいかもしれないけど今日にかぎって先生が留守なのよ。明日きてくれる?」
なんのための夜間緊急病院ですか。
先生いないなら他の患者さんきたらどうするつもりだったの?(汗)
その日は消毒してもらいガーゼを貼ってかえる。
「傷がひらくからあまり歩かないでね。」
「はい。」
あっ!!明日桜見に行くんだった!!
行かれなくなっちゃった。
夜中だったけど友達に電話して謝る。
次の日病院に行く。
先生に傷を見せる。
「あ~この深さだと縫った方がよかったかな。でも今さら縫っても遅いですね。昨日のうちなら間に合ったけど治りが遅くなりますよ。」
いやいや。
昨日はあんたがいないせいで追い返されたんだよ。
だったらどうすればよかったんだよ。
結局、傷は残り、完治するまで時間がかかった。
ケガして3日後。
足を引きずりながら高校入学。
サブタイトルの『探し始める』は本当の自分自身を探し始めると言う意味です。
ちょっとした事かもしれませんがあや自身にとっては人生革命の序章と言ってもよいと思います。