踏込む
地味女こと鈴木あや。
今回は中学生編
とても暗い地味女。鈴木あや。
ミニスカートが流行っている時代にひざ下20cmのロングスカート。
男の子より短いベリーショートの髪。
校則通りの荷物。
私服は男性用ジーンズに男性用トレーナー。
自分のことを「ぼく」と言う。
体型はデブ。
身長も高いのでデカい女。
中身もブス。
宿題?
一回もしたことがない。
授業中?
最初から最後まで寝てる。
校則違反の子を見つける
先生に告げ口する。
給食は自分の分だけ多めにする。
嫌いな女がいたら愚痴る。
表向きはペコペコ。
先生の前では優等生。
典型的な地味ブス。
でも一人前に恋愛はする。
初めて好きになったのは隣の席のクラス委員長。
本当に好きだった。
私はデブだから。
可愛くないから。
気持ちを言えない。
告白が恥ずかしい。
ふられたらどうしよう。
友達以下になるのが恐い。
クラスで話せなくなったら嫌だ。
気持ち打ち明けて失敗するくらいならいっそのこと友達止まりでいい。
でも委員長が生徒会役員になり有名になると委員長ファンが増えた。
ある日妹さちとさちの友達が教室にきた。
「姉ちゃん。この友達がクラス委員長のこと好きなんだけどちょっと協力してよ。」
みんなの積極的さに焦った。
下級生まで行動を起こし始めたのだ。
妹の友達が持っていた手紙を私に渡してきた。
「その手紙を委員長先輩に渡して。」
はぁ?何偉そうに言ってんの?!
私も委員長好きなんだけど!!
どうしてライバルを手伝わないといけないの?!
…と心で叫ぶが口には出せず(泣)。
怒りつつも顔は優しく
「わかった」
手紙を委員長に渡しにいった。
「委員長。後輩から手紙預かったよ。読んであげてね。」
「えっ?!ん~ありがとう。」委員長が照れ笑いしながら手をだす。
笑顔がいい♪やっぱりこの人が好きだなぁ。
あっ…あれ…?そっか!
友達のままでいいんだった!
ならこのまま委員長と後輩の間を行き来する中間役をしよう。
そうすれば毎日しゃべるきっかけができる。
地味女の地味な考え方。だめだなぁ。
だめな考え方を巡らせている間に現れた新たな敵。
隣クラスの女。
委員長の側まできて
「私…あなたのことが好きなんだけど付き合って!!」
………って…はぁぁぁっ?!!!
今なんて言ったよ?!
この女!!
教室まできて堂々と告白するか?!
委員長!こんな女!相手にするな!!
「いいよ」えええっ!!!
マジで?!
私は?!
あっ私は告白してないけど…でもさぁ(泣)
特定の人とはつきあわないでぇ(泣)
あ~きっと後輩泣くな(汗)
「姉ちゃん!!」
もう来た(汗)
妹さちと友達が廊下を走りながら近づいてくる。
「なんで!!なんで委員長先輩付き合うのよ?!」
私に聞かれたってわかるわけないじゃん。
「うわぁん」泣く後輩。
ここで泣かれても困るし。
こっちだって泣きたいよ。
見てるだけでよかったのに…。
人の男になっちゃった。
「委員長…なんで告白をOKしたの??」委員長に聞く私。
「可愛かったから」笑いながら答える委員長。
ショックだった。
結局女は顔ですか??
ブスはだめですか?
女らしくないとだめですか?
15歳冬…地味な失恋に終わる。
ついでに中学卒業。
委員長とは違う学校に進学。
完全にサヨナラ委員長。
と思いきやそんなにかっこいいサヨナラができるはずもない。
と言うか諦めきれるはずもない。
地味女はしつこい。
高校進学をすると委員長が地元でバイトをしていると聞きつけた。
さっそく行く。
なんと!!
私の大好きなフライドポテト屋さんで働いているじゃないか!!
好きな者と好きな物がならんでいる♪
なんて幸せな風景でしょうか♪
さっそくポテトを買う口実を使ってポテトを買いにいく♪
ポテト3つ注文。
ポテトを揚げてもらっている間は委員長を見る。
幸せだ。
委員長からポテトを受け取りその場を離れる。
ポテトを食べながら嬉しい余韻にひたる。
ニヤニヤしているブス。
そして気がついてやってほしい。
ポテトは3つも買っているのだ。
お気づきだろうか??その3つの行き先はあやの胃に入る。
そう…1人で食べてしまうんだ。
ほぼ毎日通い、ポテト3つを買い、1人で食べる。という生活を繰り返した結果…以前より倍に太った。
そして太った頃、委員長はポテト屋でのバイトをいつの間にか辞めていた。
未練たらたらな地味女がちょっとした喜びを見つけ、舞い上がりすぎて自分自身の首をしめたようだな。