表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/44

第39話:◆キスククア新聞 Vol.7 特大号 ~かかと落とし令嬢、凶悪なドラゴンを撃退し王国騎士団にスカウトされる~◆

 本日、キスククア嬢の素晴らしい吉報が入ってきた。

 弊紙が独占密着取材を最速にてお届けする。


 

 その日、“クルモノ・コバマズ”は今までにない危機を迎えた。

 人々の悲鳴や不気味な地響き……突如として、Aランクモンスターのグロリアスドラゴンが襲来したのだ。

 炭化ブレスでギルドを襲う。

 すかさず、反転攻勢に出る冒険者やカカシトトー家の門下生たち。

 だが、グロリアスドラゴンは強固なバリアを展開し、全ての攻撃が無効化されてしまう。

 このまま我々は消し炭になる運命なのだろうか。

 いや、何も心配はいらない。


「みなさん、聞いてください! 私のスキルならあのドラゴンを倒せるかもしれません!」


 そう、我らにはキスククア嬢がいる。

 彼女が放つ<かかと落とし>の前には、いかなる敵も抗うことはできないのだ。

 冒険者や門下生の援護を受け、猛然と高い木を登るキスククア嬢。

 彼女は勇敢にも凶暴なドラゴンの背に乗るつもりだ。

 頂上でかかとトルネードを使い、グロリアスドラゴンの態勢を崩す。

 そして、その背中に飛び乗った。

 だが、その直後グロリアスドラゴンは激しく回転する。

 キスククア嬢を振り落とすつもりだ。

 息を呑む筆者たち。

 回転が終わったそのとき…………グロリアスドラゴンの背にキスククア嬢が見えた。


「楽しみ半分に人を襲うんじゃねええ! クソドラゴンがあああああ!」


 キスククア嬢の正義のかかとが、グロリアスドラゴンの脳天に強烈な勢いで振り下ろされた。

 見えない衝撃波が伝わるように、その巨大な身体は真っ二つとなる。

 やはり、彼女は並みの猛者ではない。

 グロリアスドラゴンを一撃で葬り去るなど、筆者たちは初めて見た。

 しかし、飛行能力を失った巨体はキスククア嬢とともに落下する。

 あわや地面と激突か! と思われたが、冒険者と門下生たちの魔法により柔らかく受け止められた。

 ギルドは安堵のため息で包まれる。



 そのときだった。

 森の奥から王国騎士団の一行が現れたのだ。

 聞くところによると、グロリアスドラゴンは二体いて、そのうちの一匹を取り逃してしまったとのこと。

 そして、キスククア嬢の一撃に感銘を受けたと教えてくれた。

 それどころか、キスククア嬢にはぜひ魔王討伐隊に入ってほしいという。

 直々に入隊を要請されるとは、さすがはかかと落とし令嬢だ。

 彼女の冒険者ランクもグロリアスドラゴンを討伐したことで、無事Aランクに昇格したことが確認された。

 こうして、キスククア嬢は晴れて目標だった魔王討伐隊に入ることができた。


「まさか、あのような冒険者がいるとは思いもよりませんでしたな。討伐隊の中でトップクラスの実力なのは間違いありません」


 これは王国騎士団の団長を務めているダーリー氏(43)の言葉だ。

 長年、国のトップを走り続けてきた氏でも、キスククア嬢のような強者は見たことがないそうだ。


「彼女は戦いの女神の生まれ変わりなんだと思いますよ。魔王城へ向かう前にキスククアさんと出会えたことは、幸運なんてもんじゃないですね」


 天より勇者に選ばれたリフ氏(18)も、キスククア嬢へ賛美の声を送る。

 そして、かかと落とし令嬢という史上最高の戦力を迎えた魔王討伐計画はさらに加速する。

 いよいよ、魔王城に乗り込むときが来た。

 人類悲願の魔王討伐はすぐそこだ。

 続報を待て。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ