第94部分 150円の効能 ~第82部分 ”変調”の続編として~
第94部分 150円の効能 ~第82部分 ”変調”の続編として~
第82部分では自身のかつて経験にない体調不良… 有体に言えば”止められない膀胱カラでも止まらぬ尿意、しかも激しいやつ”について書いた。
その回想の…一部を抜粋してみよう。
いわく、
「昨日… 全く経験のない変調に見舞われた。
さっきトイレに行ったばかりなのだ。おそらくは10分くらい前だろう。
「おかしいな、寒いとはいえ早はや残尿感に苛((さいな)まれる齢になったのだろうか」
苦笑しながら掘炬燵を立つ。
しかし便器に座っても… 出ないのだ。おかしい、こんなに尿意だけはあるのに… 私の意識はこの感覚と現実の差に混乱した。
とりあえず頑張っていきんでみた。ようやくしぶしぶちょろり…と出た… がまあ3mLというところか。多くとも10mLには達していまい。しかしまだ尿意は激しく続いている。
これはおかしい。
ここに至って、ようやく身体の変調を意識した。
(中略)
腎臓や尿路の系統の異常でないとしたら、どこの異常だろうか?
仮説1 膀胱の「おしっこセンサー」の異常。センサーがずっと満タンを誤検知している可能性。
仮説2 センサーが正しくても神経に受容信号を発する神経細胞またはそれを中継する神経連接部が誤検知している可能性。
仮説3 「おしっこセンサー」から伝達されてきた信号を処理する間脳や大脳の信号処理が誤っている可能性。
ここまでが泌尿器系および神経系への疑惑だが、まだ他にもありそうだ… うん、
仮説4 泌尿器系に接する、例えば腸のできた腫瘍等が泌尿器系を圧迫した結果、信号の誤発信に繋がっている可能性。
仮説5 脳内の腫瘍や動脈瘤等による圧迫で尿器系の感覚が阻害されている可能性。
わからん… 当然ながらわからん!
(中略)
こうなってみると、「普段の健康」というものがどれだけありがたいものかに改めて気付くことになる。今はもう、なにがなんでも「あ、とりあえず便所便所、おしっこ行きてぇ!」
これしか考えられなくなるのだ。
かと言って便所に行ってイキンでもちょろちょろと5mLくらいが排出されるだけで、何の解決にもならない… どころか水洗トイレの水道代が嵩むばかりになる。
どうしよう、わたし…」 (引用終了)
ざっと、こんな経緯である。
結果から言うなら、翌月曜日には自然に治っていた。
しかし翌々日火曜日夕刻に再発したのである。
今度はニッキ飴のせいではない。
…とすると、やはり税務署のせいに相違あるまい… なんて、そりゃいくらなんでも責任転嫁が過ぎるというもの。
が、しかし…
この時間に異常を悟っても通院するワケにはいかない。
さりげなく夕食を済ませ、久々の眠剤を嚥下して軽快を祈りつつ、常より早く床に就いたのだった。
激しい尿意で目覚めた。ああ、願いも虚しかったか… 今日は水曜日、しかもこんなにも早朝である。
そしてその尿意はルーティンの朝トイレを済ませても醒めなかったのである… どころかパワーアップした気さえするではないか。
やばい… 布団のなかで身悶えながら、通院を決意するしか道は無かった。これは異常事態ではあるが緊急事態とまでは言えない。私の道徳感ではこの程度で救急車を呼ぶのは全会一致で背徳行為だったからである。
えっと…
ごそごそと起き出して財布と共にあるはずの健康保険証とAクリニックの診察券を確認する。水曜に休診の医院が多いのはある意味常識とも言えるからだ。よかったぁ、水曜日の午前は0900から診察OKだから0800に布団から出て支度すれば良い… それまではひたすら耐えるのだ、ガマンするのだ… どうせカラ尿意ってことは見え見えだから、まさか漏ることはあるまい。
そこからは枕元のPCを起動し、もう一度診察曜日と時間を確認してからはなるべく一心に動画を鑑賞することにして気を逸らせることに努めたが…
このAクリニックというところ、数年前には「花粉症」の診察… というか、要は「クスリの処方のため」にやむなく月一で通院したものである。理由は通勤経路のほぼ途中だしいつもまあまあ空いてたから。泌尿器科だけど花粉症のクスリ貰ってくるAクリに、今日初めて「泌尿器科」を目的として行ってみることにしよう。
あ、待て待て… 泌尿器科ってことは例の息子を診察されるということだぞ… これ必然だよなぁ…
あのオッサン医者の前で前を曝け出すなんて、なんか屈辱的過ぎる… けど仕方ないわなぁ
それでもさ、考えてみればさ、妊娠なり堕胎なりで産婦人科に行くオンナノコがスケベそうなオッサン医者の前で下半身御開帳の丸出し開脚ポーズでアレコレ触診されるよりはまだマシかな… なんて要らざることを連想しつつ、でもこの激しい尿意に加わる膀胱周辺の尿意と掻痒感には今日一日耐えられそうにない。
行くならとにかく今日、できれば早いうちに行かねばならぬ。
よっしゃ8時半!
9時からだけど今日は朝一目指して出かけるのだ。
5分後… 着いた。でもどうも様子が変だ。誰も並んでいないのである。
まあいい… とりあえず誰かくるまでくるまで待機していよう(←誰か来るまで車で待機)。
だって朝の寒気激しい尿意を堪えつつ小さな女の子みたいに下腹部を抑えて立っているなんてなるべくしたくないもんね。
三度診察券を確認… ダイジョブ、今日午前は開業するはずだ。さらにクルマの中で10分が経過するも、患者どころか看護師さえも来る様子がない。
さすがにおかしい。ここにいたって改めてクルマを降りて医院の扉を眺めてみたら、案の定診察曜日や時間帯が表記されている。
「おい… 水曜は休診日じゃないか!」
思わず看板に向かって独り言ちてしまった。勘弁してくれ、この危急のときに…
診察券とネットの情報が旧いのだろうか。確かにこのクリニックには3年くらいは来ていなかったけどね…
これは帰るしかないかな…
ハンドルを握りつつ、家で寝るか営業してる医院を捜すか… これから捜すとか面倒過ぎるけど、とにかく捜さなければ精神的に保ちそうにない。
帰着後とにかくPCをONにして住所付近で検索を掛けてみる。私のスマホはアンドロイドの吝嗇仕様なので、月の維持費は600円~700円程度だが、いざというとき通信速度制限がキツイためWi-fi環境以外では迅速に動作してくれないのである。
「えっと… △◇市じゃ、泌尿器科、水曜… っと。ほい、検索!」
こういうとき、如何に無神論者のサティであっても、捜す視線に祈りが混じるのは止むを得ない仕儀である。
やった、あった、B医院だって… そんなとこあったっけ?
まあいいや…奇跡のようだった。しかもクルマで10分程度でさほど遠くはない。そのまま地図を確認すると再びクルマに乗り込んだ。
運転しながら考える。そういえば…
母がときどき膀胱炎に罹っていたな… あれって膿が出るとか、そういう症状じゃなかったっけ? あれ、それは淋病とかのいわゆる性病だったかな?
こどもの頃は「膀胱炎」とか聞いてもなんとも思わなかったのに、大人になってから腎炎とか膀胱炎とか聞くと、しかも女性に多いとか聞くと、もしかして… と余計なことを考えてしまう。
なぜ女性が? そりゃ肛門と産道との距離が物理的に短いから… だから女性はトイレットペーパーで「拭く動作の方向」にも気を遣わなきゃいけないんだって… でも普通は「自浄作用」ってのがあってね… うん、そりゃそうだよね。
でもいろいろ物が分かってくると、もう一つの可能性に思い当たってしまう。
もしかしたら… 女性の尿道が数センチメートルの長さしかないのに加えて、その病原菌特に大腸菌などの巣窟で往復運動を強要されていた大蛇が乳酸菌やらデ―デルライン桿菌やらで満たされたビショ濡れの体育館で引き続き労働に従事したら… 当然大腸菌等は直接尿道口至近の入口から子宮頸口まで大量に万遍なく運ばれるのであるから、膀胱炎や腎炎に罹患しやすいのは無理もない… どころかむしろ自然とも言えるだろう。
そう、つまり、そういうプレイをしていた可能性である。母が実際どうだったかは知るよしもないが、蓋然性は増えたことに… まあそんなことはどうでも良い。
しかし… 私に限ってはそんな愛情表現はしていないし、したくもない。第一オトコノコである。心当たりがない。つまり…
おお、着いたわ。なんか医者に来ただけで症状が和らいだような気になるのは私だけだろうか。
幸いなことに滅茶混みではない。
以下血圧測定、問診、採尿、採決、診察、エコーという感じでモロモロが進んでゆく。
しかし… この時は血圧が165とか、かつて見たことにない数字が表示されてびっくりしたぞな、もし…
結局私の息子が医者に御目文字いただくことはなかった。なんか拍子抜けしたな…
いや、見てほしかったワケじゃない。
結局下った診断は「膀胱炎」または「前立腺炎」。
細菌感染してる可能性が髙いから、処置として「出されたクスリを間違いなくきちんと最後まで飲み切ること」だと。これは完治するまでの間に「薬剤耐性菌」が発生することを防ぐ大切な意味があることだ。
そして来週もう一度通院すること。
あの… でも「細菌感染するような良いことなどしてない」んですけど… これは今更言っても仕方ない。
結局仮説1の、膀胱の「おしっこセンサー」の異常。センサーがずっと満タンを誤検知している可能性。が最も近かったワケだ。増殖した細菌がセンサーの誤検知を引き起こしていたのであろう。
そして処方されたおクスリは…
・レボフロキサシン錠 500mg 1日1回1錠 7日分 薬価は1錠 37.1円
・セルニルトン錠 1日3回2錠 7日分 薬価は1錠 17.7円
の2種類で、どちらも初見のおクスリだった。
これは1日分の薬価にすると、レボフロキサシン錠は37.1円、セルニルトン錠は17.7円×6錠=106.2円だから143.3円、つまり150円にも満たない金額に相当しており、なんなら自販機の飲料とおっつかっつの価値ということになる。
帰宅してすぐヨーグルトを飲んでから服用した。レボフロキサシン錠37.1円+セルニルトン錠は2錠×17.7円=35.4円だから72.5円分のおクスリである。実際のところ、もうこのへんでは薬価を計算する余裕も失くしており、とにかく早く服薬して1秒でも早く倒れ込むことしか考えられなかった。
布団に入っても下腹部の違和感掻痒感は去ることが無く、とにかくあとはひたすら耐えるのみ。時間の経過がいつになく遅かった。
本当に治るのだろうか。
不安に駆られながらも2時間、3時間と時は過ぎる。無論昼御飯を食べるような食欲も一切これ無く、さらに症状が徐々に変わってきて、今は疼痛鈍痛感に苛まれるようになってきている。早く、早く効いてくれ…
気付けば目が覚めた。知らず、何時間か眠っていたようだ。
時計は間もなく17時になろうというところだった。
あっ…
治ってる!
やったぁ、治ってる。あのクスリが効いたんだ!
ここに至って、初めて薬価の計算をする気になったものである。
ついでに効能も調べてみた。
無論医者でもきちんと説明を受けているのだが、おしっこ漏れそうで正直それどころではなかったからでもある。
セルニルトン錠は前立腺等の炎症を沈める効能があるという。1日3回2錠ずつ飲まねばならないが、あの掻痒感から逃れられるならいともたやすいことである。
そしてレボフロキサシン錠は… 医者は確か抗菌剤とか言っていたが… えっ、そもそも抗生剤(抗生物質)と抗菌剤ってなにがどう違うの? 検索をかけると「レボフロキサシン」は「クラビット」というかつての特許薬品のジェネリックらしい。その効能は「細菌のDNA合成を阻害する」というもので、要は我が膀胱や前立腺で増殖しつつある細菌を「殺すのではなく増殖させないようにする」ものらしい。次世代が産まれなければやがては滅んでゆくワケで、その代わり即効性はないということだろうか。なるほど、だから殺菌剤ではなく、抗菌剤なのか。
「クラビット」の名前には微かな記憶があった。あれは何のときだったのだろう。調べると「ニューキノロン系経口抗菌製剤で、感染時に細菌などのDNA複製を阻害し、殺菌作用を示します。通常、皮膚感染症、呼吸器感染症、泌尿器感染症、婦人科感染症、眼科感染症、耳鼻科感染症、歯科感染症など広い範囲の感染症の治療に使用されます」とのことだが、過去の病歴に鑑みて可能性がありそうなのは歯科感染症くらいしかない。
まあ、治ったからいいや。ああ、きちんとクスリを飲み続け、1週間後に通院したのは言うまでもない。
ああ、これで終わったらオチがないなぁ…
とにもかくにも、おクスリというものの有難味を身に染みて気付かされた出来事だった。
だってあれだけの不快感と苦痛を1日あたりたったの150円で治せてしまうんだから。
日本の医療保険制度って有難い。アメリカだったら、手術でもすれば破産しかねないっていうんだから…
それだけに日本の医療保険制度を悪用する〇国人とか、タダで貰って転売する生活保護族には憤りを禁じ得ない。こういうとき生活保護族はタダだからという理由で必ず「クラビット、1錠115.2円」を処方させるのだという。それが特許切れのジェネリック医薬品である「レボフロキサシン錠」だと1錠37.1円にしかならない。効能は同一ながらその差は78.1円にもなり、そういう不正の分だけ医療保険制度は破綻に近づき、逆に一般善良ピーポーの保険金負担負担は増えているのである。
結論… すべて国税庁が悪い。奴らがサティにストレスを掛けたからこういうことになったのだ… というオチで丸く収めておこうと思ったものの、一向に改善されない害人と一部の悪人ナマポ事情に改めて苦言を呈して終わりにいたそうか。




