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第55部分 隣国

第55部分 隣国


うそだ。それは建前という方便でしかない。

しかし本音が混じっていないワケでもないのが複雑なところなのだ。政治面という表向きは対立しても、「軍事にまつわる巨大な経済面りえき」は当事者両国にとって美味しくないはずがない。むしろそっちが本音で、背中では密かに手を長く握りつつ表向きは対立しているかのごとく振舞っているに過ぎない。国家などというものを突詰めていくと、しょせんは法と秩序をかざして正義面をした巨大な利益団体ゲゼルシャフトなのである。


華国の国家元首、とう 金平こんぺいは考えている。

「ロシアは… いやブーチンはウクライナ開戦に関してそこを読み間違えたな…」 

それは自身が戦争の当事国になったからだ。代理戦争を適当に刺激しながら支援し、古い兵器の在庫を実戦で処分し、新兵器に更新し、さらにそれらを大量に売りつけるのが最も利益が大きく危険も少ない経営方法である。

俺なら… 

ベラルーシの独裁者あたりを焚き付けおだてて、謀略でウクライナと開戦させるだろな、うん…


こうしてロシアはベラルーシを支援する形で、やがてはウクライナを征服するのだ。

無論どさくさまぎれにベラルーシも乗っ取ってしまう。


「ヤツには戦術タクティクスはあっても戦略ストラテジーがない」

思わず独り言がでてしまった… が、聞く者はだれも居ない。

「そこがKGB出身の限界かもしれんな… おれなら違う絵を… もっとデカい絵を描くさ」

糖元首は金属製のボールペンを左手でもてあそびながら微笑んでいる。



そもそも、美国アメリカが西太平洋をうろうろできるのはなぜか。

それは重要かつ強力な基地が複数あるからだ。その代表が横須賀軍港と沖縄本島のキャンプシュワブ、つまり日本の基地である。好むと好まざるとに関わらず、日本という国は歴史的な行きがかりと政治学および地勢わざと学上の理由で美国の「核の傘」に入るしか今まで生きる道がなかったのだ。日本政府が堅持する「非核3原則」によれば「核」は持たず、作らず、持ちこませずということになっているが、美国がそれぞれの基地に持ち込んでいるのはもはや公然の秘密である。そして核ミサイルを搭載した戦略型の原子力潜水艦を世界中の海に隠し、いかなる陸地にも2時間以内に攻撃が可能な美国にとってそんな原則はどうでもよく、むしろ潜水艦の整備や補給、そして乗務員に休養を取らせる拠点として、極東の日本という位置こそが非常に重要な地勢学上の意味を持つのである。あたかも鯨漁の拠点として開国を強要した黒船で来航したペリー提督の要求と大して変わらなく見えてしまうのは歴史の皮肉であろうか。

余談になってしまうが、日本の中でも、とりわけ沖縄という場所は同じ地勢学上の意味で基地を置くしかない場所である。しかも… 日本という国は不思議なほどに隣国に恵まれない。そしていずれも明治以降に交戦の歴史があり、第二次世界大戦で日本が敗戦国になっているのは周知のことであろう。ttただし日本が負けたというソビエトはとうに崩壊してロシアを名乗り、蒋介石が率いた中華民国は共産党政権のもとでアルバニア決議を嵩に着て中華人民共和国にすり替わっているし、朝鮮に至っては日本の植民地だったので彼らもまた敗戦国の一員だったワケである。

北からロシア、次に北朝鮮という国家を名乗る地域、中華人民共和国(中国)や華国という「ならず者独裁国家」を抱える太平洋の北西部を効果的に押さえ、自身の体面だけを考え我らを公然と敵視するご都合主義者が運営する南朝鮮ねずみおとこと協力して日本の国土を護っていくためには、北海道と沖縄への基地配備は必然である。地図を広げながら考えれば小学3年生でも同じ答を出すだろう。現に未だ休戦中の朝鮮戦争において、沖縄の米軍基地がフル稼働して支えたから現在の韓国が存在するのである。


国防に関する沖縄の負担が大きく、しかも太平洋戦争中にも「日本人」として奮戦したことなど、故太田実海軍少将の電報の内容まで含めて十分承知している。

しかしながら思うのだ。

『基地があるとうるさい、ミサイルの標的になる』と基地反対派の方々は言うが、その基地がないとそこはやがて日本ではなくなってしまうことを考え落としているのではないか。ミサイル落下に対して否定はしないし、確かにそこは狙われるだろうが、逆に優先的に防衛してもらえるエッセンシャルポイントであるともいえる。また攻撃されるかもしれないリスクは基地周辺だけの問題ではない。仮想敵国のミサイルはいついかなる場所でも標的にできる能力を持つだろうし、大げさに言わなくても全人類を数回滅亡させるほどの核弾頭の恐怖に「地球の全表面」は常にさらされているのである。


そこまで言いたくはないが、沖縄の全部の基地が即時撤退したとするとどうなるだろう。基地の直接間接の消費がなくなり、同時に雇用もゼロになる。国からの補助金や交付金も支出の名目を失うだろう。そしてそれで沖縄の経済が成り立つのだろうか。そう考えると、「基地反対」を唱える方々がいったいどこの国民なのかが疑わしくなってくる。時代は変わり、当然ながら要求も変わったのだ。

今無為でいることは侵略を容認する… というより自ら招くことに等しい自殺行為である。平和主義にこだわって戦を避けようとすれば、戦は先方から喜んで侵攻してくる。そしてその侵攻を止めることはできない。逆に戦をしてでも国土を守り抜く気概と準備があれば、もしかしたら侵攻してこないかもしれない。攻めてきた場合でも反撃するすべも力も存在するワケだ。そんなこと、いじめっ子といじめられっ子の心理戦から考えればわからないはずがないのに…


基地周囲は飛行機が飛び、しかもその騒音がひどくて居たたまれないという。最近はさすがに減ったようだがちょっと前には婦女暴行事件やらが頻発し、やむを得ないこととは思うが警察も手が出せない為体ていたらくだったようだ。それはそうだろうし、事情と負担は察するに余りある。


しかし真剣にうかがってみたいこともある。基地があると知ってそこに住居を定めたのは誰か。それがイヤなら初めから別の場所に住むか、いまからでも住みかえれば良いのではないか。イヤだ無理だと言いながら現在も住み続けているのはなぜか。現在そこに密集して住んでいる以上、基地からは何らかのメリットを享受しているのではないだろうか。もともと先祖代々そこに居た方は別として、そう考えてしまうのは私だけだろうか。

先祖代々住んでいる方も、もしイヤなら土地を処分して転居すれば済む話ではないだろうか。


それをまるきり棚上げしておいて

ああだこうだと騒ぐのはちょっと違う気がしてならない。それじゃまるで癇国人…

いやいや、そこに他国の謀略… つまり厭戦感と日本政府への反感と沖縄県人の独立を煽れば、他国、例えば中国や華国には「併合」の口実が増えるという戦略が込められているのだ。現に日本本土に限らず、北海道や南西(琉球)諸島でも他国資本による水源地などを含む土地の買収が密かに進んでいるという。そういった事態を防ぐための法整備やいわゆるスパイ防止法的な抑止力さえ持たない日本の危機管理体制の不備がスキになって、日々他国に蚕食さんしょくされ、気付いたときはすでに遅く、ボロボロで回復不能な国土と国民になってしまいそうな気がするのだが…


そしていつかはあの国やこの国に美味しく食べられてしまうのである。


それで良いのか、日本国民?

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