第104部分 異類婚姻譚⑥ ~10000累計ページビュー達成、皆様ありがとうございます!~
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前回先送りにした「ツル」と「雪女」について、忘れぬうちに言及しておこう。
”まあ女性器のことなんだけどね”と概要は出したものの、それを超えて女性器のみならず、結構真面目な学問臭を帯びた話になってくる気がする。
まず、生殖のための性行動は、とにかく隙だらけになるのが特徴だ。
どんなに警戒心の強い動物でさえも、あの一瞬だけはノーガードガラ空き状態になる。普段鳴かないワニも背中のヒレヒレを振るわせつつ咆哮するし、静かな動物代表格のウサギでさえ感極まってか、名状しがたい発声で歓喜の態度を示す。現代社会では警戒心の欠片さえも持ち合わせないニンゲンメスなどはなぜか「アッア~、ウ~」と故 大平首相の物真似を始めたり「イグ、イグ、イッチャウ~」などと現世現身からの旅立ちを高らかに宣言したりする。こういう行動や声って目立つし、天敵から見たらラッキーチャンス… あ、へぇぇぇ…アレって喘ぎ声って言うんですか、ありがとうございます、わ、一つ利口になったわ。
読者の皆様はたいていニンゲンオスであるからして、自身のエクスタシーは十二分に御承知だろう。アノ瞬間、脳内麻薬の劇的作用か、ドーパミン、エンドルフィン、グルタミン酸、セロトニン、オキシトシンとか何やらがドバーッと神経連接部に溢れ…本当は極微量だけどあくまでも比喩的に…分泌されて、一瞬気死状態に… さらにそのあと「賢者タイム」に引き継がれるワケで、性行為の始まりあたりからこの間まで、少なく見積もっても僅か20分だと早漏かと思われ候。かといって3時間もかかるようでは隙だらけの時間が長すぎてアナタもパートナーにも危険が迫るワケだ、野生では…
人間の性行為がゆったりでも構わないのは家やらラブホの壁やらでかなり信頼性高く護られているという安心感があるからで、まあラブホの盗撮盗聴なんかもあるらしいけど少なくともこの場で襲撃されることはまずない…これはニンゲンが集団で生活し、家族の、そしてニンゲン集落の中で異種からある程度は防衛されている環境でこそ可能な性生活である。
逆に本物の野生動物は常に無防備な姿での青姦ということになり、常に危険と隣り合わせという現実から逃げることはできない。しかし…貴方にも貴女にも確実にきっと心当りがあるのが、実は「ニンゲンでさえも、何らかの危険がある方が性行為に夢中になり易く、快感も大きくなり易い」という逆説的な現実。
いったいなぜだろう… いかがですか?
家族公認もステキだけど、反対された方が。
ヨメ殿もキライじゃないけど、浮気の方が。
家でも良いけど、ラブホの方が。
ラブホもステキだけど、車の中の方が。
クルマもサスの揺れが心地良いけど、青姦の方が。
青姦も心臓壊れそうだけど、羽目鳥の方が。
羽目鳥も爆発しそうだけど、複数の方が。
輪姦も理性崩壊だけど、乱交の方が。
先にお断わり申し上げておきますが、羽目鳥以上は妄想の産物です。
どこのロミオとジュリエットも、やめときゃ良いのに危険な交際を続けたがる。他に安全なオンナなんてたくさんいるし、オトコだってたくさんいるのに… 35億… あ、ひさびさ… なんで御互いソイツに固執し続けるんだろ。そういえば赤と黒も… これってもしかして恐怖や危険のドキドキ感が恋愛感情と勘違い的にオーバーラップする「吊り橋効果」と同じなのかもしれないぞ!
こっそり付き合ってた時はあんなに好きだったのに、あんなに燃えてたのに、いざ結婚公認となると「なにか違うような気分」になるんじゃないかな。
さらに… オスにとってのパートナーが異類であったときには少々事情が込み入ってくるのではないか。上述のように、オスはその気にならないと交尾が極めて難しい。だから異類が「変化」して接近を試みる際にはニンゲンのメスになるべく近づいた容姿や声、言語、態度である必要がある。獣姦大好きのオスであっても、その辺の事情は変わらない。なぜならニンゲンオスがメスに財産と精子を投資する理由は快楽と労役と相続であり、これに伴い異類はニンゲンオスをコントロールしつついずれは「妻」としての立場を占め、やがて生まれる子に家督を相続させる必要が目的であるためだ。
自分のヨメが「ツル」だと分っていたとしたら、古の男性は彼女に射精放精しただろうか。
一時の快楽目的なら「した」だろう。相手はどうせツルだし、強姦容疑で逮捕されることもない。しかし「ツル」が生んだ子供に家屋敷や田畑を相続させるだろうかとなると確言ができない気がする。そんな約束してねえよ…と突っぱねたところで、詐欺だっ…と訴えられる懸念は皆無だから、ニンゲンオスの大半は約束を反故にして躊躇わないだろう。
そんなワケで異類メスが人間のオスを完璧に騙しきるためには、まず自身の身体をニンゲンのメスの身体にフルコピーで改造する必要が生じる。だれが執刀するかはとりあえず議論から外すとして、これだけでも一筋縄ではいけない困難にぶつかることになる。
例をツルにとって検証してみよう。
まず顔… これは第一印象を決める大切な要素である。せっかくニンゲン宅を訪れても「顔」で門前払い不合格ではどうにもならない。かくしてツルは頭蓋骨を巨大にしてからなんとか脳の大脳新皮質を肥大化させ、眼球も虹彩を丸形にしたうえで白目を創り、さらに全体を大型にする必要がある。黒髪のためにはアデラ△スとも契約が… ってまさか。
さらに鳥類の生命線であるクチバシを除去した代わりにクチビルを造形し、額や眉毛、鼻だけでなく「アゴや歯」だけでなくそれらを動かす「筋肉」まで新規設計で搭載しなければならない。特にクチビルや歯、そして舌やノドは後日確実に想定される食事や性生活に必要不可欠であるためにテキトー過ぎる改造で済ますわけにはいかないだろう。もっとも難しいのは外見上できれいに改造して終わりというワケではなく、例えば筋肉には咀嚼の力だけでなく微妙な表情等を表す訓練も併せて施し、機能的にも素晴らしい出来栄えを求められるだろう。
例えばまだ語ってはいない「おっぱい」という器官がある。あれは程よい見映えと弾力、そして多少なりともボリュウムさえあればそうそう文句が出る部品ではないため、そこまで神経質に造形することもない。敢えて言い添えるならば、嬉しいとき哀しいとき、はしゃいだとき怒ったとき、愛しいヒトに自ら身を捧げるとき大キライ輩に無理やり犯されるとき… いずれのときもおっぱい自体が奏でる表情は見えず、外力と身の動きと重力とに応じて常に淡々と揺れ、その形を委ねる存在である。そこにあるのは作用反作用の法則のみであり、いささかも感情や表情の変化をも垣間見ることさえできない。あ、乳首の緊張と毛穴にはちょっと喜びが窺えるかもな…? でも意思に逆らっての行為の反応は見たことからわかんないのが弱点といえば弱点かな。
しかしクチビルや舌などは、ある意味微妙に動いてこそ価値がある器官であるがために、脳の運動野に繋がった神経に接続して動かす仕組みの部品である必然性が伴ない、その分改造手術や行動訓練に多くの手間と投資と努力、そして時間が要求されることだろう。
しかも改造工事は頭のみならず、クビ、胸、胴、腰、手、足、さらに指先にも及ばざるを得ず、できたらできたで全体のバランスをとらなければ不自然になってしまう。ツルならば二足歩行の要領はわかるかもしれないが、これが四つ足の動物だったり、蛇のようなそもそも足を持たない動物ともなればその努力労力は∞に等しいものとなるだろう。
あ、いや… 必ずしもそうとは限らないか。
ニンゲンの実在性を愚直に、科学的に追い求めればそうならざるを得ないが…
ひとつだけショートカット、すなわち「抜け道」があるのではないか。それは…
それは話の都合上、もう少し後で書くことにしよう。
ただし…ここが重要なPOINTなのだが…「生殖器」はその「抜け道」の範疇には入らないはずだ。
「生殖器」だけは夢幻であってはならない。夢幻では想像妊娠はできたとしても受精や妊娠、そして出産を実現することはできないからである。つまり生殖器はある程度リアルに造形し、オスなら精子を送り込む男性器を、メスならオスを受容する女性器を用意して子宮まで導く仕組みと、妊娠を継続して出産に至らしめる装置を創意創造工夫製作しなければならない。
思うに、性行為が快楽そのものであることは神羅万象あらゆる行動あらゆる選択に非常に大きな影響を齎している。
先述したように、性行為が快楽であることによって生殖行動が起きるし、起こす気にもなる。そしてそういった生活および性生活を支えるべく縄張り確保、群れ内部での順位付け、鳴き声、さえずり、色ツヤ、姿形、行動、形態、生態等すべての行動にそれぞれ意味が付帯することになる。
前回書いたけど、ヘビにも陰核があることは、ヘビにも性的快感が存在し、それを目的に交尾等の性行動が触発されていることを示唆している。基本動物ではメスベースの身体に雄性ホルモンが強く作用することによってオスの身体へと造り変えられていくので、メスの陰核はオスの陰茎に改造され… ゆえにオスにも性的快感が(程度は小さいとしても)存在することを意味している。地を這いずるヘビさんがそこで「床オナ」するかどうかは不明ながら、逆にヘビでさえ単なる本能を超越して「快感が無ければ性行為等の性行動に積極的にならない」可能性さえ考慮する必要が生じてきたワケだ。
その割に性行動は別として性行為自体そのものに費やす時間は動物種によって様々であるが、驚くほど短いのが一般的であるようだ。
つまり「早漏」であるのが普通にござ候の由。
中にはイヌのように、男性器が女性器に挿入されてからコブ状に膨らんで文字通り連結され、5~30分ほど抜けないような動物もいる。
AIの説明によると『交尾は、メスの発情期に特に活発になり、オス犬がメス犬にマウンティングすることで行われます。交尾後、オス犬の陰茎はメスの膣内で「ロック」と呼ばれる状態になり、容易には抜けなくなることがあります。これは、精子の逆流を防ぎ、確実に受精を促すための犬特有の仕組みです』だそうで、これはある程度生態的地位が上位で天敵が少ないイヌの仲間だから可能な習性だろう。以前読んだ書物には、この性器のみで繋がった二匹の犬をからかって「天秤棒で担いで遊んだ」ヒマなニンゲンも居たそうで… わ、痛そう…
あ、ニンゲンでも膣痙攣というとんでもない難行苦行があるらしいけど…膣が痙攣して男性器を締め上げるので、すでに勃起した男性器に流入した血液の出口が絞めあげられるがためにイヤでも勃起が続いてしまう上にとんでもなく痛いらしい… わかる気がするけど。
現代では、一組の男女が全裸で毛布に包まれて担架で救急車に担ぎ込まれるって… うわ、サイテー!!
ウワサによるとこういう場合、オスがメスの菊花御紋章に指を突っ込むと解消できるらしいとのこと。膣と肛門は8の字型の筋肉で繋がれているので、闖入してきた指に驚いたメスが思わず肛門に力を入れると「肛門が締まる結果、膣の締め付け力が弱まる」のだとか。その隙にすかさず「抜けっ」ってことね。
幸か不幸か、たぶん幸だな… 私はそういう貴重な体験の無いままに還暦を迎え、今後もそういう行事は予定されていないことからちゃんと調べて確認したワケではない。もし読者の方々がそのようなハメに陥った際は自己責任でなんとかしてください。あ、メスの菊花にはくれぐれも深い傷をつけぬように。
あれっ? 何の話だ?