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「なんかウチの弟ってばすっごい動物拾うのよー。その度に里親を探してさー」
弓子さんの愚痴が止まりません。
わかる!わかるよ!
愚痴が止まらない気持ちは!
なにせ弟さんはー
散歩してたらダンボールに入れられた仔猫を発見。
買い物に行った道すがらに轢かれた猫を発見。
河川敷をジョギングしてたら亀を発見。
旅行に出かけた先で瀕死の犬を発見。
その他諸々ー
なぜか行く先々で助けを必要とする動物に遭遇する人でした。
「なんでこんなに出会うんだろねー。自分の家で飼うのはとっくに限界なのにさ。だから毎回里親探しに付き合わされるんだよね」
「こんなこと言うのもアレですけど…それはもうなんかに憑かれてますね」
「だよね!!私は弟にもう外出すんな!って言ってもいいよね!?」
弟さんのお家に向かいながら親交を深める人見知りです。
意外と駅から近いらしく歩きながら話してます。
ポンコツ夫は静かに後ろを歩いてます。
…オマエが喋れー!!
そんなこんなで由美さんの弟さんのお家に到着です!
「来たよー!!!」
「おばさん!いいところで!!」
なんだろ…天使かな?
ビジュアルめっちゃいい子が来た!!!
癖毛の栗毛色の髪に、少し垂れ目なクリっとした目はカラコンなのかブルーグレー。
天使がいるわーと思った私は、少なくともパニックだったんだろう…と落ち着けば思う。
ボケーとしている私を意に介さずに、天使は早口で話し出しました。
「どーしよ!もうお客さん来るって時間なのにパパってば帰ってこないんだ!てか!またなんか動物拾ってないかな!?もう心配で心配で!」
「ちょ、待って!そのお客さんは連れてきた!」
「ども、コンニチワー。金子と申します。今日はよろしくお願いします」
人見知りは天使には発動しない!!
私は金子さんの後ろから顔だけ出して挨拶した。
あぁ!ちゃんと見るとやっぱり天使!
クリフワの髪とパッチリ見開かれた目。
それを縁取るまつ毛はふっさふさ。
手足はスラっと長くてバランスも良い!
絶句して時が止まっている天使を遠慮なく愛でる。
もちろん上から下までですよ!