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第27話 甘党死霊使いさん。そこは楽しむところじゃないと思います!

「ドゥッフッフ~☆ ゾンビ、ゾンビ、ゾンビィィ! 死体を蘇らすのって――たぁ~のしいィィーッ! 超楽しいって感じィィーッ!」


 ――と真っ赤な派手な仮面をかぶった奇妙な女は妙竹林な歌を歌う。


 むう、だが、そんな妙竹林な歌に反応するモノはいない――当然である。ナニせ、ここは背の高い雑草が密生する上、繁華街から離れた場所、即ち郊外の人気のないヨモツヒラサカ共同墓地という古い墓場の中だしね。


 他の場所だった場合、絶対に変人だァ——と避けられそうだし、オマケに逮捕されるかもなァ、コイツ……。


 さて、ここは人気のない場所とはいえ、未発掘状態の遺跡が多々、オマケに金鉱山も多々――そんなうま味な話がある兎天原の南方へ当然とばかりに一攫千金を得るためにやって来た冒険者達の中継点として利用される兎天原東方最大の村エフェポスの村なワケだ。


 ここは村であった〝村〟ではない。住人の大半が兎獣人というワケで大きな建物が、ほとんど存在しないだけである。そんなワケだ。都市と言っても間違いないレベルの大きな町である。


「ああん、死体って最高ゥ――ッ! ふ、服なんて着ていられるかッ! さあ、始めるかァ、操屍術をォォォ~~~!」」


「ちょ、アイツ――露出狂!?」


「フ、仲間がいたぜ☆ しかし、服の下に水着とは……よし、アタシもマジで脱ぐかッ!」


「「「ちょ、アンタまで脱ぐなーッ!」」」


 赤い仮面をかぶった女は、ナニを思ったのか着ている服を脱ぎ始める――なぁんだ。服の下に水着を着ていたかァ! あ、どうでもいいけど、スタイルは何気に抜群だな。


 むう、同じ露出狂の仲間だ――と喜んだマリウスが纏っているビキニアーマーの一部を外そうとしているぞ!? ちょ、やめろっての! まったく変態の嗜好はわからないぜ……。


 それはともかく、赤い仮面をかぶった女の足許には、小さな黒い箱が三つほど――う、もしかして棺だったりする!? で、中身は当然――ゾンビとして蘇らせるつもりである遺体が入っているに違いない……止めに入るか、否! 傍観し続けるか……どうする、俺!


「あの変態が奇妙な呪文を唱え始めたぞ」


「一緒になってタダでさえ際どいビキニアーマーの一部を脱ごうとして変態に変態呼ばわりって矛盾しちゃあいないか? あ、ああ、本当だ。奇妙な呪文を唱え始めたな、アイツ」


 赤い仮面の女は、両腕をバッと広げながら、ブツブツと奇妙な言葉をつぶやき始める。ナニかしらの呪文だろう――むう、そんな呪文ってもしかして!?


「うひゃあ、あの女の足許にある黒い箱……いやいや、棺が動いたッス!」


「ハハハ、気のせいだろう、ヤスゥ?」


「気ノセイデハナイ! 間違イナク動イタゾ!」


「オマケニ、アノ呪文ハ――死者蘇生歌ノ一節ダ!」


「ゴブリン天使ブラザーズ……それマジ? ってこたァ!」


「わお、棺桶の蓋をぶち割ってナニから飛び出してきたーッ!」


 死者蘇生歌の一節!? 赤い仮面の女のが詠唱した呪文、それが――ああ、やはり棺の中には遺体が入っていたようだ。赤い仮面の女が詠唱した呪文――死者蘇生歌の一節に反応し、三つの棺の蓋が同時にぶち割れ〝中身〟が勢いよく外に出てきたぞ……ゾンビと化した状態で!


「兎獣人のゾンビだ!」


「あの小さな棺だし、兎獣人に相応した大きさだからなァ」


「お、おい、どうでもいいが、あの兎獣人のゾンビ……も、もしかして……」


「何年か前に流行り病で亡くなったウサヤマさんッス! ああ、ゾンビの中にウサバヤシさん、それにウサベさんもいるッス!」


「むう、要するに、あの三体のゾンビは、お前達の知り合いってワケね」


「その通りッス!」


「しかし、皮肉な再会になるなァ、こりゃ……」


 ウサヤマ、ウサバヤシ、ウサベ――赤い仮面の女が詠唱する死者蘇生歌の一節に反応し、禍々しいゾンビとして蘇ったモノ共は、兄貴とヤスの知り合いっぽいな。


 うーむ、兄貴の言う通りだな。これはある意味で皮肉な再会になるんだろうなァ、状況的に……。


「さて、とりあえず、ゾンビは三体だ。だが、兎獣人故にどこまで役に立つか……ん、誰だ、そこにいるのはッ!」


「「「ギョッ——‼」」」


 うは、赤い仮面の女は、俺達が石碑の外――鬱蒼とした背の高い雑草が密生してる茂みの中に身を潜めていることに気づいたのか!? むう、三体のゾンビを差し向けてくるか――。


「おお、私の大好物のおはぎだ☆ デュフフフ~……身内を蘇らせてくれって依頼してきた誰かさんからのお供え物かな?」


「…………」


 ふう、どうやら気づいていないようだ。仮に気づかれていたら先に打って出ようと思ったんだけどなァ、魔法をぶちかましてやるって感じで――。


「その三体のゾンビは役に立つんでしょうね?」


「おお、姫! とりあえず、ゾンビ騎士……いや、ゾンビ盗賊の足しにはなるだろうさ」


「まあいいさ。ゾンビ共を引き連れて行けば〝アイツら〟のもとへ往けば、きっと間違いなく逃げ出すわ。その時に捕えようって計画だしね」


(ん、フードをかぶった人物だ……アイツもしかして!)


 フードをかぶった人物が赤い仮面の女のもとにやって来る――アイツは聖イリアーナ騎士団こと盗賊共のボス! 俺は赤い仮面の女がアレかと思ったんだが……ん、アイツらはゾンビ共を引き連れて誰を捕える気なんだ!?


「私がゾンビとして蘇らせたモノは……三十体ほどかな? 少ない気もするけど……よし、向かうわよ、ネクロリリー!」


「ホイホイ、了解したッ――だけど、その前に邪魔者を始末しなくちゃいけませんね……そこッ! いい加減、隠れていないで出て来いッ!」


「ギャッ――うへ、今、骨を投げつけられた!」


「大腿骨ッスね。多分、犬とか猫の――」


「ちょ、その前に俺達の存在がバレてるーッ!」


 はわわ、やっぱりバレていたのね! そんなこんなで赤い仮面の女――ネクロリリーが、俺達が身を潜める茂みの中に、ナニかしらの動物の大腿骨を投げつけてくるのだった。


 むう、こうなれば、奴らとの戦いは回避できないだろうなァ……よし、やってやるぞ!


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