第23話 どうやら盗賊王女は冒険者の村に逃げ込んだらしい。
俺、櫻井健一――いや、転生戦乙女であるアルテナが、今いる兎天原の東方には、通称、冒険者の村と呼ばれているエフェポスという名の村があるワケだ。
え、何故、そう呼ばれているのかって? エフェポスの村出身である戦乙女仲間のオリンデの使い魔である兎獣人のハニエルこと兄貴とヤスの話だと、件のエフェポスの村は兎天原の南方へ向かう連中の中継点として利用されているからって話だ。
ああ、兄貴&ヤスの話じゃ兎天原の南方には、兎天原の東方以上に古代に兎天原に大いに栄えていた古代文明ことウサルカ文明の遺物が存在しているって話である。
オマケに兎天原の南方は、大体、六割が砂漠であり、あっちこっちに山のように巨大な逆三角形型の古代遺跡が、多々、見受けられるそうだ――ちょ、ピラミッドじゃん! うへぇ、俺が本来いるべき世界のサハラ砂漠なんかを連想するぜェ!
その他にも未知の古代遺跡が、まだまだ熱砂の下に数多く埋まっているって話だ―。
そんなこんあで一攫千金を求めるモノ達こと冒険者と呼ばれるモノにとっては、ある意味で垂涎の場所だとは思わないか?
オマケに金鉱山、銀鉱山が多々……まさにうま味の宝庫である!
さて。
「久々の帰郷ッスね、兄貴」
「ああ、しかし、どれだけ村を離れていたんだろう。むう、あんな塔のようなデカい建物なんて遭ったかなァ……」
「故郷ねェ、懐かしさもあるかもしれないけど、ここには盗賊姫が逃げ込んでいるっぽいな」
「そうみたいだな。でも、ここじゃ人間は珍しい。獣人の冒険者ばかりだしな。そんなワケだから見つけやすいかも」
久々の帰郷だァ——と懐かしがる兄貴とヤスの気持ちもわかるけど、ここには盗賊に堕ちた名門騎士団こと聖イリアーナ騎士団のリーダー格――勿論、頭目が逃げ込んでいるようだ。
しかし、ソイツは人間だ。エフェポスの村に於いては珍しい存在である――ナニせ、一獲千金を求める飽くなき冒険者達は、そのほとんどが獣人だしね。そんなところに人間の冒険者がいたとしたら目立つことこの上ないはずだし。
ん、戦乙女であるお前らも人間の姿をしているし、エフェポスの村ン中じゃ目立つ存在じゃないかって? あ、ああ、言われてみれば、そうである。
「ま、とにかく、村の市場へ向かってみようぜ。情報収集なら任せろ!」
「おう、任せた!」
「こっちッスよ。皆さん、こっちこっち」
「ちょ、ヤス、俺が案内しようと思ったのに……」
「兄貴は方向音痴だから、故郷であっても迷子になりそうだし☆」
兄貴は方向音痴かァ、そりゃ危険だ。ヤスに案内してもらった方が、無事にエフェポスの村の市場へ到着できそうだなァ。
それはともかく、情報取集は大事だよな。んで、市場のような場所なら、様々な情報が飛び交っているだろうし、エフェポスの村の中に逃げ込んだっぽい盗賊団のボスの居場所も呆気なく掴めるかも。




