序章
何者かの策略か? それとも偶然なのか?
41歳、会社員、櫻井健一は、出勤途中、謎の光に包み込まれる。
そして気づいた先は、見慣れる純白の神殿、そして目の前には武装した少女達。
「新たな姉妹の誕生ね」
と武装した少女のひとりがつぶやくのだった。
~物語の概要~
『俺、異世界に転生し、魔女になります』の続編、或いは似て非なる並行世界の物語として描くつもりです。
スターシステムを使っているので前作のキャラも多々、登場すると思います。
つまらない作品かもしれませんが、読者の皆々様、どうぞよろしくお願いします。
~登場人物~
・櫻井健一――主人公。戦乙女アルテナとして転生することになる。
・マリウス——先輩戦乙女。露出狂。
・オリンデ――先輩戦乙女その2。
・ハニエル&ヤス――マリウスの使い魔である兎の獣人。
・アイオーン――主人公の使い魔。自称、妖精だが見た目は淫魔である。
『おめでとうございます! アナタは転生しました! あ、でも、その姿は……ま、まあ、新しい生を楽しんじゃってください☆』
むう、そんな声が聞こえてくる——ちょ、転生? ワケがわからん……。
ああ、だけど、光だ――純白の光が広がっていく! だが、気持ちのイイ光だァ……あ、あああ、ヤベェ、イッちまそうだァァァ~~~!
「何もかもが真っ白だぜ」
むう、あの光は気のせいだった? ハッ――と気づいた時、俺は何もかもが真っ白な大広間にいるぞ。
お、おおおッ……なんだかんだと思い出したぞ! 俺は確か炎天下の中、会社へ向かっていたはずなんだが? 何故、見知らぬ、こんな場所に……。
「う、うお、なんだ、コイツらは! お、女の集団…だと…!?」
今いる場所がどこなのかはともかく、鎧兜で武装した若い女の集団が、円を描くように俺を取り囲んでいる。
コ、コイツらは何者? いや、その前に俺は何かトンでもないコトでやっちまった? まったく記憶にないんだが、もしかして恨まれるようなコトを知らぬ間に何かやっちまったか……。
ん、どうでもいいけど、武装した女の集団の中に〝大人〟の姿が見受けられない――どいつこいつも平均年齢16、7歳って感じだな……ってことはJK?
も、もしかして、どこかの女子高にでもいるのか、俺?
「新たな姉妹の誕生ね」
「今回は上手くいったようだ――が、駄肉型のようだ」
「……でも、流石はブリュンヒルデ様だわ☆」
「だけど、中身はどうかしら? なんだかんだと、外見よりも〝中身〟が大事だしね」
「どうでもいいけど、あのコ……頭が弱いお馬鹿さんっぽい気がするわ」
「ククク、確かに。あの惚けた顔を見ていると笑いが込み上げてくるわ」
俺がどこにいるかなんて後回しだ。そんな俺を円を描くように取り囲む武装した女の集団が、そうペチャクチャと会話を始める――ってか、馬鹿にされてないかぁ、俺ェ!
「さて、新たな姉妹の誕生を祝いたいところだが、我々は何気に忙しいのだ」
「まあね、集めなくちゃいけないモノがあるしね。ふう、たまにお休みがほしいところね」
「つーか、暇なのはマリウスくらいじゃない?」
「アイツの場合、暇してるっつうかサボり癖がある性質の悪いコなのよね」
「ああ、アイツね。確かにアイツくらいだよね。ウチらの中でも暇も持て余してそうなのって」
「ねぇ、ホントにいいの? アイツなんかに任せても?」
「ま、とりあえずアイツのもとに案内するわ。ついて来て」
お、おお、どうしたんだ? 今度は我々は忙しい――と言い出したぞ、連中。
んで、小柄な黒髪ショートカットの娘を残し、その他の武装した女達はいなくなる。
「私はオリンデ。階級は下級第二位に属する戦乙女ワルキューレよ。ちなみに、アンタは下級第三位――つまり最下位ってワケ」
「は、はあ、そうなのか……」
「不満そうね。でも、仕方がないわ。アンタは生まれたばかりの――それはともかく、マリウスの部屋へ到着したわよ」
小柄な黒髪ショートカットの娘はオリンデと名乗る――んん、下級第二位の戦乙女? 何を言っているんだ、コイツは……。
オマケに俺は下級第三位の――ますますワケがわからん。
さて、そんな俺とオリンデとかいう娘は、あの何もかもが真っ白な大広間にある東西南北、四方にある通路の南側の通路を抜けた先にあるいくつかの部屋のひとつの前に立っている。
ここが件のマリウスがいる部屋ってワケだ。
「ドアをノックするのをちょっと待って! この部屋の主――マリウスは変態だから気をつけてね」
「ヘ、変態!?」
「う、うん、そんなワケだからアイツに感化されちゃ駄目よ。これは忠告よ、忠告!」
「お、おお、わかった」
マリウスは変態…だと…!? オリンデがそんなことを言うモノだから、俺がドアをノックするのに躊躇してしまう。
感化されちゃ駄目ねぇ……うん、肝に銘じておくとしよう。
「お、ドアには鍵がかかっていないようだ……へ、変態だァ!」
「変態だと!? これがアタシの基本スタイルだ。何か文句でもあるのかね、君ィィ!」
「エ、エエエーッ! 基本スタイルなのかよー!」
「ね、言ったでしょう? マリウスは変態だって――ああ、露出狂という種類の変態らしいわ」
マリウスの部屋のドアには鍵がかかっていないようだ――とそんなワケで意を決して開けてみたんだが、次の瞬間、俺が思わず大声を張り上げる。
何せ、ドアを開けた途端、赤い派手なハイレグ型のパンツ以外、何も身に着けていない赤髪ツインテールの長身の美女の姿が、俺の双眸に飛び込んできたワケで――コ、コイツがマリウスって人物のようだ。
ん、どうでもいいけど、この謎めいた場所で初めて見かける成人の女性だ――露出狂のようだけど。
「ん、オリンデじゃん。つーか、初めて見る顔だな、ソイツ……ああ、新人ってワケね」
「新人?」
「おい、何も説明してないのか? じゃあ、教えてやる――お前さんは新人の戦乙女だ」
「戦乙女?」
「むう、寝ぼけてるのか? よし、そこの鏡を見ろ――中々可愛いじゃない☆」
「え、可愛い? う、うおーッ……なんじゃ、こりゃーッ!」
新人の戦乙女…だと…!? この露出狂――マリウスとかいう女は、一体、何を……え、壁に据えつけてある鏡を見ろって? う、うおー! 俺はその刹那、再び大声を張りあげてしまうのだった。
何せ、鏡に映っている俺の姿は、150㎝あるかないかという小柄な体格だが、それに反するかの如くスタイル抜群な黒髪ロン毛の美少女の姿が映り込んでいたワケで――つーか、俺なのか……俺の姿なのか!?
「お、おかしいな? 俺は……男の筈だ!」
「男だぁ?? ハハハ、このワルワラ宮殿には男なんざぁ、ひとりもいねぇぞ」
「な、なん…だと…!?」
「ちょ、その前に男ってナニ? 新種の生物のことかしら?」
「ああ、オリンデは男の存在を知らなくて当然だな。ここは女性しか立ち入れぬ聖域だからな……あ、だがゴリラはいるぞ」
へえ、俺はワルワラ宮殿って建物の中にいるのね――って、ここは女性しか立ち入れる女の聖域だぁ!? あ、ああ、だからオリンデは男の存在を知らないのかもね……ちょ、ゴリラがいるのかよ! なんじゃ、そりゃー