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第3話

 



 ......。


 ...。


 演じたら何故か説教がはじまってしまった。


 どうやら街の城壁から抜け出してこんなところに来たのを怒っているらしい。


 この場所には危険な獣が居るのを知ってるだろう?...とか、戦争で野党が増えてるのは常識だから知ってるだろうとか。

 全くそんな情報知らないし、街を抜け出した覚えも無いのだが、今は大人しく説教を聞くしかない。



「もう辛くても街から一人で出るんじゃないぞ? わかったか?」


「はい...」



 いや、何が『はい』なのかわかんないけど、何とか最後まで説教を聞ききった。これで街まで連れてってもらえるはずだ!

 その後の事はそれから考えるしかないんだけど、まずは衣食住をどうやって確保するか...。何をするにしても情報が足りなすぎる。



「ふむ......。そう言えば名前を聞いてなかったな」


「え、あ、えっと、メイです」


「メイか。私はリディアだ、よろしくな」


「は、はい、よろしくおねがいします」



 そう言って握手だろうか? 私に手を差し出してきた。それをゆっくりと握り返すと、リディアさんは優しく微笑んだ。


 うっはぁ......。美人の笑顔は眩しすぎる。



「それじゃあメイ。私が街まで送っていくから...」


「......ん?」



 いきなりリディアさんが険しい表情をして周囲を見渡し始めた。



「まずいな...」


「まずい...?」



 私も周囲を見渡してみるけど、特にまずそうなものは見当たらない。


  --ザザッ


 んうっ?


 今、木々の間を何かが通り過ぎていったような...。



「メイ。絶対に此処から動かないでくれ」


「えっ?」


「囲まれた。守れる自信はあるんだが、こいつらは想像以上に厄介なんだ」



 そう言い切ったと当時に、何かがリディアさんの後へ飛びかかってきた。



「危なっ...」

「ハァァッ!!」



 咄嗟に私が声を上げようとした瞬間、一瞬で剣を抜き放ったリディアさんが飛びかかってきたモノを斬り飛ばした。


 す、すんごい。何、この人...。


  --ドサッ


「...?」

   --うげぇっ...


 切り飛ばされて落ちたモノに目を向けると、クソでかいオオカミが痙攣して横たわっていた。


   --グルルルルルルルルル


「げげっ」



 奇襲が失敗したからなのか、木々の陰からいっぱい出てきた!!

 1 2 3 4567...。

 ......。

 いやいやいや、この数は流石に無理でしょっ!?


 リディアさん一人で大丈夫な...の?


  --ガウウッ


   --ザシュッ


 --ザッ

    --ザシュッ


 お、おおおおっ!!


 一瞬で2匹も倒しちゃった!!

 この人、人間離れしてるくらい強い!!



「ハァアアアアッ」


    --ドシュッ

  --ザッ 


     --ザシュッ



 そのままの勢いで周囲のオオカミを斬り飛ばしていくと、あっという間に全部のオオカミを切り倒してしまった。



「リディアさんすご..「っ!! メイ」」


  --へっ?


 リディアさんに名前を呼ばれて、慌ててその目線の先に顔を向けると、オオカミが私に覆いかぶさるように飛びついてきて...。



「ぬあああぁぁぁぁぁっ!!」


  --エナジードレイン!!


 私は咄嗟にスキルを発動すると、突き出した腕に触れたオオカミが一瞬で砂になって消え去った。


   --サラサラサラ...


「こ...こっわ...ぬほあっ」



 足元がいきなり崩れて、そのまま尻もちをついてしまった。

 完全に忘れてたけどこの(スキル)、地面も砂になるんだった...。



「お、おい...メイ」



 えっ?


 名前を呼ばれて振り向くと、物凄く驚いたような表情でリディアさんがこっちを見て固まっていた。


 あれ? もしかしてマズった?

 ど、どうしよう。何か言い訳とかした方がいいのかな?



「ユニークスキル...」


「ぅえっ?」


「今のは...まさかユニークスキルか?」



 え、えーっと...。



「ユニークスキル...って?」


「あ、あぁ、そうか...スラム育ちなら知らない事もあるのか」



 あ、はい。スラム育ちじゃないけど何もしらないデス。



「しかしこれは、放ってはおけんか...」


「えっ?」



 あ、あれ? 何か変な雰囲気になっちゃったんだけど。放っておけないって何?

 ちょっ、無言で私の手を握るのやめて。恐いから。ホント恐いから!!



「メイ、そのスキルは人前で使ってはだめだ」


「うぇっ? なっ、何で!?」


「それは『ユニークスキル』と言って、非常に珍しいスキルなんだ。

 貴族や王族なら問題ないんだが、スラム出身の身でそのスキルを持っていると知られれば、奴隷に落とされる可能性が非常に高い」


「なっ...」


  --なん...だと...


 私の持ってるスキルこれだけなんだけど!! しかもこれ使えなかったら食事でしか魔力回復できないんだけどっ!?

 まずい完全に想定外だ! てっきり魔法とかある系の異世界転生で、あんまり派手じゃないしこれくらいなら大丈夫だと思ってた。


 完全に誤算だ!!



「大丈夫だ。助けてしまった以上、私がそうならないようにきっちり面倒を見る。

 見捨てるのは性に合わんしな。 ...だから安心してくれ」


「う、うん」



 ごめん、リディアさんに安心してって言われたけど不安しか無い。

 いったい私これからどうなるんだろう...。



 


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