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ロスアンジェルス引っ越しと親の呼び寄せ

 次の異動地はロスアンジェルスに決まった。


 ハワイの家を引っ越してロスアンジェルスに来る前に、日本で夏休みを過ごすために妹の家に1ヶ月居候した。不景気な時期に3人も押し寄せて来て、妹の旦那の怒りが爆発し、ついに後半は大げんかになった。失意のどん底のままLAに到着した。


 この時に母は妹夫婦と暮らしていたのだが、やはりお互いが限界に達して母も家を出ることになってしまった。


 そんな事情があり(親の呼び寄せ)をすることになった。

これはアメリカ在住者が家族をアメリカへ呼び移住権を取ることなのだ。


 母は終戦後「これからは英語の時代だ!」とすぐに英語学校へ通い基地で長く働きていたので英語もかなり話せる。前から母を呼び寄せたいと思っていたが、長く暮らした日本を離れて外国暮らしは嫌と、首を縦に振ってくれなかった。

夫もいつも「ママ~アメリカに来ればいいじゃないか、一緒に暮らそう」と言ってくれてた。やっと母も決心してアメリカへ来ることになった。


 まずは家探し。LAは家賃がものすごく高いので、予算内でなかなか3部屋の家が見つからなかった。ハワイも高かったけれど、軍から出る家賃の補助金でぎりぎり足りていまた。LAは小さめのアパートメントでも20万円以上の家賃で、3部屋のアパートはかなり足が出てしまった。


 それから母が来るときにうっかり片道の飛行機チケットを買って送ったら、

LAに到着してから「入国できない!」と電話がかかってきた。往復のチケットを持っていなければアメリカに入国できないそうだ。

すぐに飛行機会社に問い合わせて、帰り用の仮のチケットを購入して空港カウンターに送り、やっと入国ができた。


 すぐに軍で夫の扶養家族の書類を作り、IDカードの申請もした。

だが、なんとアメリカに住むために必要な永住権。いわゆるグリーンカードは実の子供じゃないと親のスポンサーになれなかったのだ。 このことは全然知らなかった。

それまでは夫が母のスポンサーになれると思いこんでいた。スポンサーになれるのはアメリカ国籍保持者のみなのだ。


「……え、ちょっと待てよ。 私まだアメリカ国籍取ってないよ~~」私は永住権の保持者で国籍はまだ取っていなかった。


 永住権とは(ずっと住んでもいいよ、でも市民じゃないからな、政府の仕事はさせないよ)ということ。それプラス(アメリカ国民じゃないと親呼べないからな)ということだ。

こういう時に肝が座ったおっさんに変身する私。


「まかせとけ~今から国籍取る!いつかは取ろうと思っていたんだもん。これから勉強して最短コースで取る!」

「そんな、娘に国籍まで変えさせて、悪いよ、ここにいられないよ」と母が言うので

「いいよ、親のためならナニ人になってもいいよ!」と自分では感動的な良いこと言った!と思っていたら、

「あ、じゃあナニ人がいいかな?インド人とか?なんちゃって!」


……ふざけてる場合か? 本当に悪いと思ってないな。


そんな話をしつつ、オンラインなどでアメリカ国籍の取り方を調べはじめたのだった。


アメリカ市民権の勉強


 市民権の取り方の流れは、申請書類を記入して移民局に提出し、移民局からの通知で指紋採取を行い、書類提出から数カ月後にインタビューと筆記テストを受ける。

インタビューでは英語での会話能力、それから自分のビザ関連の資料について質問され、英語の読み、書きのテストがある。 

また、アメリカの歴史、政治に関する基礎知識を試すテストも行われる。 

合否の結果はその場で知らされ、合格者は宣誓式の通知を郵送で受け取る。そして、指定された日に指定会場に出席し、帰化証明書が発行されてアメリカ市民となる。申請料は675ドル(当時)


「うわああテストが歴史と政治い。日本語だってわからないのに、どうしよう」 

オンラインで問題を見てみると難しい!! やばいよやばいよ~と言いつつ、もう一回よく見ると【書類提出から数カ月後にテスト】と書いてある。


「なんだ、数ヶ月もある。勉強すればいいじゃーん」と根が楽天家の私は考えたが、何かが引っかかる。数カ月後……


 あ~!特別なビザとか持ってきていない母、6ヶ月しかいられないはず。ま~に~あ~わ~ない~。ビザを持たずに来た場合その期間を過ぎると違法滞在になり最悪の場合国外追放。きゃ~。


 LAには日本人用の無料新聞が何紙もある。そこに載っている(無料弁護士相談)に電話をすると「この場合は大丈夫だと思います」というお言葉でやっと安心して勉強に取り組むことができた。

国籍を取ることには夫は賛成で、喜んでくれた。そしてアメリカ人の友達は口をそろえて


「え!そうなの!おめでとう!エキサイトするでしょう!?」という。

感覚が違う。なんとなく祖国を捨てるような気持でウエットな日本人的な感覚だったのだけど、「おめでとう~」なことなんだ。


 本当に移民の国なんだなあ、そして(アメリカ人)であることに誇りを持っているんだな。そういうのは素敵だなと思った。

それから国籍を取ると名前を変えられる。


「いっそエリザベス・メアリー・ローズなんて感じの、こってこてな名前にしようかな」というと、夫は

「好きにしてもいいけど、それはちょっとないよね」息子も大反対。母も

「そんな名前絶対に呼ばないからね」と評判悪いのだった。つまんないな。

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