プロローグ 魔物大戦
初めて投稿させていただきます。
おの小説を楽しんでいただければ幸いです。
―― 玄野ぐらふ
上空から大きな石が容赦なく降り注ぎ、町を破壊していく。
数十匹のグリフォンが、弓や魔法で狙えないほどの上空から町を攻撃しているのだ。
(あいつらやりたい放題だな)
絞首刑台の上で縛られているペルセウスは、上空を飛び交うグリフォンたちを見上げて、どうしたものかと思案していた。
「ペルシー様! 魔物たちが町に雪崩込んで来ます!」
光の妖精クリスタが、魔物の大群が町に侵入しはじめたことを告げた。
「もう南門が破られたということか。予想よりもだいぶ早いな」
冒険者ギルドの情報が間違っていたということかなのか?
いや、おそらくそうではない。奴らは故意に侵攻の速度を早めたのだろう。
シーラシア防衛隊は魔物たちに裏をかかれたのだ。
ペルシーでさえ魔物がここまで戦術的に動くとは予想していなかった。彼らが騙されても仕方のないことかもしれない。
「クリスタ、パメラ、プランBに切り替えて、あの魔法を使うぞ」
魔法の出し惜しみをしている場合ではなかった。
領主の好判断で、幸い町民たちの避難は済んでいる。
今こそあの魔法を使うべきだろう。
町に侵入した魔物たちや、まだ防護壁の外にいる魔物たちの総数は八百匹ほどである。
ペルシーは魔眼を使って、巨人族を中心に大型の魔物を捉えた。
それは彼の頭の中で、地図上の赤い点となって現れている。
「パメラ、俺の頭にシンクロしてくれ」
『既にシンクロしている。いつでもいける!』
ペルシーのヘッドギアに組み込まれた魔法AIのパメラドールは、幻想魔法を発動する準備を終えていた。
ペルシーを縛り付けていたロープが一瞬で蒸発して、彼の両手は自由を取り戻した。
そしてその手を空に向けて突き出した。
「幻想魔法! ペルセウス座流星群!!!」
ペルシーが魔法を唱えると、成層圏より更に上空の空間が歪みだし、大きな石が次々と出現する。
出現した石は重力で加速しながら地上に落ちてくる。
それらは空気との摩擦で燃え上がり、ペルシーによってロックオンされた魔物たち目掛けて降り注いでいった――。