葵ちゃんの状況。
「おー来た来た」
光が薄れ辺りを確認すると何も無いただただ広い真っ白な空間にクラスみんながいた。
見た事の無いおじさんが来たとか言ってるけど私達には関係無い。
とりあえずクラスメイトの安全確認をしなければ…
クラス委員長と副委員長が男女の点呼をとる。
「あれ?葵っちは?」
「さっきまで一緒だったのに…」
「美園さーん葵っちが見当たらないんだけどそっちにいるー?」
「いえ、こちらにも居ません。」
「男子は全員いたよ」
「女子は結城さんがいません」
その発言に男子勢がざわめく。
学校のランキング上位の女の子の1人が行方不明、勉強が出来てスポーツ万能、人当たりも申し分無いその上可愛い結城さんが居ないのだ。
「な、なんで結城さんが…」
「葵ちゃんどこー」
「葵っちー」
「あのそろそろ話を聞いて欲しいんだけど?」
おじさんの事は完全無視のクラスメイト達。
でもそこでメロン…ゲフンいやいや、かっちゃんがおじさんに質問した。
「おじさん葵っち知らない?」
「それの話を含めて説明させて欲しいんだけどダメかい?」
「みーちゃんおじさんが葵っちの事知ってるってー」
そこら辺を探していたミズキが瞬間移動したかの様なスピードでおじさんの前に現れて胸ぐらを掴んで揺する。
「おい、おっさん葵をどこやった!」
男子顔負けの勢いである。
その声が辺りに響き男子勢がおじさんの周りを取り囲む様に集まる。
その光景を第三者が見たらおやじ狩りの現場にしか見えない事だろう。
「おっさん結城さん出せやー」
「結城さんは俺らの天使やぞ」
「結城さんに何かあったらおっさんただじゃおかねーからな」
口々におっさんを問い詰める男子勢の勢いがマジでおやじ狩り現場すぎる。
「い、いや、あのー、せ、説明するんで離してもらえないかな?」
おっさん哀れである。
「おっさん早く葵の事教えなさい。 今ならまだ怒らないから。」
胸ぐらを掴んで揺すってる時点で結構怒ってるよね… そうだよね?
ミズキにとって葵は1番の親友であると同時に好きな人でもある。
そう、ミズキの葵への好きはライクではなくラブの方のガチだったりする。
葵本人は気付いていないがかっちゃんは気付いている。
ちなみにかっちゃんはすぐ彼氏ができたりするが別れが早いようだ。
「とりあえず今いない女の子はここね」
パチンと指を鳴らすと何も無い空間から葵がクリスタルの中に入った状態で出てきた。
「葵っち」「あ、葵…」
クリスタルの中で手を合わせ瞑想している葵は幻想的でとても美しかった。
周りの男子も女子もその光景に目を奪われた。
「この子は魂だけ拐われてしまったのさ。このクリスタルはこの子の保護石だから触らないでね。」
「おっさんどういう事だよ」
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