カップルの日常〜ゲーム編〜
「ねーねー」
俺はゲームが好きだから、君と一緒にいる時もついついゲームを始めてしまう。
「なーにー?」
スマホの街づくり型ゲームに熱中して棒読みの声で返事をしてしまう。
「ねーねー」
君の声が近くなったと思ったら、背後から抱きつかれた。
正直、ゲームに集中なんてできなくなってる俺がいる。でもなぜかいじわるしたくなって集中できていないゲームを続けてしまう。
「もー!んっ!」
「あっ」
スマホを取られてしまった。
「何すんだよ!いいところだったのに!」
なんてことは言わずに、俺は無言かつ満足そうな顔で君を見つめつつ、スマホを取り返そうとしている。
そうこのやり取りがしたかったのだ。構ってほしそうな君が本当に愛おしいのだ。
スマホを取られてもいいようなゲームを選択しているのは絶対に言わないし、スマホを取られたいなんて君は思ってもないだろうけれどね。
「街づくりやめるから返してー」
「ホントに?」
「うん、やめるやめる」
信じてなさそうな表情で渋々返してくれた。
まあ、続きをしますよね。寝転がってうつ伏せになりながら、ゲームを始めてしまう。
「ねーねー」
と、君が寝転がっている俺の上に乗っかってくる。
言ってみれば、某双子お笑いコンビの『幽体離脱』のうつ伏せバージョンである。
俺はこの体制がすごく好きで、たまに背中に乗ってとお願いしてしまう時がある。
なんというか、落ち着くっていうか、君の体重を感じるのが幸せだとかそういう感じだ。
決して踏まれたいだとかそういう感情ではない。断じて。心に誓って。
いや、背中に立ってもらうのも好きなんだけどね。
そんなこんな考えていると、さすがに痺れを切らしたらしい。
「もー!嫌い!」
と、俺から離れてベッドに寝転がって、スマホでゲームを始めていた。
正直嫌いという言葉には軽くショックを受けたし、やり過ぎたなーと少し反省。
ということで、やっと俺はゲームをやめたのである。
「ねーねー」
ほんの5分で立場が逆転である。たった5分。されど5分。
マジで立場が変わる5分後である。MT5か。バイクにありそう。バイク全く興味ないけども。
そんなしょうもないことを考えつつ、どんなゲームをしているか覗いてみる。
ツムツムだった。
これはスマホ取ったら怒られるわ。グーで殴られるわ。ご飯抜きって言われるわ。
なんてなさそうでありそうなことを考えながら、彼女の背中に乗っかった。
さっきのお返しである。
重いーと言われつつもゲームが終わるのを待つ。
「終わったー」
「うん、見てた」
「重いからどいて」
標準体型なんだけどなーと思いつつ、ベットに座る。
お互いにベッドに座って見つめあった。最初にアクションを起こしたのは、目の前の好きな女の子だった。
「ん」
腕を広げた。
ぎゅーしたいのサインだった。
こういうのがあるから、いじけさせるのをやめられないんだよなーと思い、抱きしめる。
抱きしめつつ、幸せを噛み締める。
ずっとこうしていたいなーと思っていると、
「「ぐぅ〜」」
お腹がなった。お互いに見つめあって笑いあう。
ふと、時計を見たら昼の11時。
「お腹すいたね。朝昼ご飯どうする?どっかで買ってこようか?」
「んー、適当に作るよ。テーブルの上、片付けておいてね。」
「あーい」
スマホを取らなかったから、ご飯抜きにならなかったのかな?
ささいな日常にも幸せが転がっているみたいです。