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木苺は酸っぱい  作者: あかね
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「木苺!おはよう。」

紀野 苺が弥桜高校の1年C組教室に到着したとき後ろから呼び止められる。

「菖蒲。…まーた今日も注目の的になってるねー。」

苺が振り替えると男女関係なく辺り一体の視線を集めている超美人の親友、高嶺 菖蒲がいた。

「外見ばかりしか見ないお馬鹿な外野なんて気にするだけ時間が無駄でしょ。そんなことより今日は転入生がくるって知ってる?」

毒舌は相変わらずキレッキレだ。

「あぁ、緒方 奏君ね。なかなかの「ええー知ってるの?」だった…」

「うん、今朝あった。」

その後、どんな感じの子だったかを聞かれ、ピアスが5個ついてたと言うと興味が失せてしまったみたいだ。



今日のHRは転入生が来るという噂のせいもあっていつも以上にざわざわとうるさい。

担任の中沢は転入生よりも一足先に教室に入るとうるさいからそろそろ黙れー、とやる気なく注意してから転入生を招き入れた。

「おーい、待たせた意味は特にねーが入ってこい!」

ガラガラという古典的な音と共に今朝見た不良のような格好のままの緒方 奏が入ってくる。

途端にわくわくとしたざわめきが嫌なものへと変わっていく。

元々会って話をしたことのある苺はこの空気にいるのがモヤモヤとしていた。

ちらりと奏の顔を見るとそこにはなにかを諦めたように色を無くした瞳があった。

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